成長 発達

心理学には非常に沢山の分野がありますが、その中でも発達心理学という言葉を耳にした事はありますか?発達心理学とは、人が年齢を重ねる中で現れてくる変化を研究する心理学です。人間の一生での心と体の成長、その発達の過程を心理学の理論をもとに研究する心理学の中の1つの分野です。動物から人間への進化や、生まれてから成熟していくまでの変化を研究し、その発達の段階における意味を明らかにします。この発達心理学を学ぶことで得ることが出来ることとは一体何なのでしょうか?また、発達心理学を学ぶことが役に立つ仕事にはどのようなものがあるのかをお話していきます。

 発達心理学とはどのような分野か 発達心理学を学ぶことで得られること 発達心理学の知識を生かせる資格・仕事とは

発達心理学とはどのような分野か

メンタルヘルスコンディショニング講座:メインテキスト1<2章>:行動の発達

発達心理学とは、人間の一生における心と体の成長やその発達の過程を心理学の理論をベースとして研究する分野のひとつです。発達心理学という言葉を聞くと、子供の発達について学ぶものと考える方もいらっしゃるかもしれませんが、実際は幼児が成長して成人となり、そして老年齢になり死を迎えるまでの全ての時期においての成長や発達について研究します。発達心理学は、子供と関わる仕事で働く人や、小さな子どもを持つ母親以外の方にも広く役立つ学問であると言えます。

学ぶ内容は、嬉しい・悲しいなどの感情である情緒や、周りの人との関係性や関係の形成の仕方である社会性、身の回りの環境に自分がどのように関わるのか、また自分の考えへの理解・記憶などの認知、そして身体能力などの様々な要素が発達して変化していくことでどのような変化が起きていくかが挙げられます。

人間は、生まれてから赤ん坊の時期を過ごし、子どもになり、青年になり、成人になります。そして、中年になり、老人になり、最後には死を迎えて、この世での人生を終えるのです。この全ての時期での発達過程における心理を研究したものが、発達心理学です。

初めは、子どもが大人になるまでの発達過程についてが発達心理学の研究対象でした。発達心理学が人の一生を「生涯にわたり発達するプロセス」として捉え、老年齢を含めて研究対象とし始めたのは近年のことです。以前までは中高年は「衰退」の時期として捉えられていましたが、人格や知恵など身体以外の面では向上や成長がみられるという指摘が強くなって来ました。そうして人は人生を通じて柔軟に変わることができることが認識され、発達心理学は人を生涯発達するものとして捉えるようになったのです(下山晴彦(2012), 『面白いほどよくわかる!臨床心理学』, 西東社, p80)。

上述した生涯発達の視点を取り入れた発達理論として有名なのが、発達心理学者E・H・エリクソンの発達理論です。エリクソンの発達理論では、8つの発達段階が示されます。(1)乳児期に始まり (2)初期幼児期, (3)遊戯期, (4)学童期, (5)青年期, (6)成人前期, (7)成人期, (8)老年期が続きます。ここで、人間が人格を形成し社会的に順応するうえで各段階において達成すべき課題を「発達課題」と呼びます。発達課題が達成されれば次の段階へ成長しますが、達成できなかった時は心の問題が生じます。例えば(5)青年期の際の発達課題は「アイデンティティの確立」ですが、課題が達成できなかった場合は「アイデンティティの拡散」という心の問題が生じるとされています。また、(8)老年期においての発達課題は「統合性」で、達成できなかった場合の心の問題は「絶望」とされています(同上, p81)。

発達心理学とは、このような様々な年代の全ての発達や発育についてが研究範囲であるため、心理学の中でも非常にボリュームの多い分野なのです。

発達心理学を学ぶことで得られること

感情 子供 家 ソファ 犬

発達心理学とは、人間の成長や発達の過程を心理学の理論をもって研究する分野ですが、人がなぜそのような行動をとるのか、なぜそのような発言をするのか、といった今自分にある問題をどのようにすれば乗り越えられるのかということに対しての答えを導き出すことにも役立ちます。

性格や遺伝などのその人が元々持っている内面的な要因と、環境などの外面的な要因から考えることを通して、人の心の成長や発達について理解を深めることができます。それでは、発達心理学を学ぶことにより、どういったことができるようになるのでしょうか?発達心理学とは、人間の様々な行動はどのように起こるのかを研究する心理学ですので、発達心理学を学ぶことによって、人々が抱える心の問題を客観的に見ることができるようになります。

人間の心はどんどん変化をしていくものです。発達心理学を理解すれば、その人に対して客観的に見ることができるようになるため、あなた自身の心の問題や、身近な人の心の問題に対して、冷静に対処できるようにもなり、よりよい関係を築くことが出来るようになります。発達心理学を学習していれば、それぞれの時期で内面的な問題を抱える家族についても、どうしてそのような感情になるのか、どうしてそのような行動をとるのかなどが客観的に理解できるため支えとなることもできます。

発達心理学を学ぶことでご家庭において育児で悩む機会も減らすことができるでしょう。2013年の全国調査において、6歳以下の未就学児童を子に持つ親の育児の悩みTOP3は「つい、感情的に叱ってしまうことが多い(35.5%)」、「子どもが食事の好き嫌いが多い(24.1%)」、「叱り方がよく分からない(20.7%)」の3つだったという結果が出ています(参照:特定非営利活動法人 子育て学協会(2014), 幼児期の子育てに関する悩み調査)。こうした悩みは、子どもがどうしてそのような行動をとるのか、その背景を学ぶことで対処方法を見つけやすくなります。

さらに、発達心理学を学ぶことは自分自身を理解することにも非常に役立ちます。自分自身の発達段階などを知ることで、自分の精神的な課題や悩みの原因、また自分自身が乗り越えるべき課題がどのようなものか、といったことを相対化し理解する助けになります。

発達心理学の知識を生かせる資格・仕事とは

学校 教室 教育
身近に居る家族や友人とよい関係を作れるようになるなど、非常に身近なことに活用できる内容を学ぶ発達心理学ですが、実際に発達心理学で学んだことを活用することができる資格や仕事にはどのようなものがあるのでしょうか?

有名なものとしてあげられるのが、臨床発達心理士です。臨床発達心理士とは、一般社団法人臨床発達心理士認定運営機構が認定する民間資格で、発達心理学をベースにして発達的な観点を持って業務を行います(参照:臨床発達心理士とは| 臨床発達心理士認定運営機構)。臨床発達心理士の具体的な仕事内容としては、発達に関係する問題を心理テストや面接、行動の観察などを行うことで分析、判断し、具体的に支援していきます。子供だけではなく、大人まで年齢は問わずに生涯を通して支援していきます。支援する内容としては育児に関しての不安や悩み、虐待、いじめ、不登校、引きこもりなどの現代的な問題、自閉症や知的障害、学習障害や注意欠陥多動性障害などの発達障害、社会適応や老年期の様々な問題などがあげられます。

また支援する人のそれぞれの生活環境に合わせて、様々な仕事場があります。乳幼児期であれば保健所や保育所、幼稚園や児童相談所など、小学校から高校生の場合には特殊学校や養護学校、学童保育など、成人から老年期であれば障害者施設や作業所、老人ホームなどで働くことができます(参照:臨床発達心理士の資格と仕事について紹介します! | 臨床発達心理士の活躍の場)。臨床発達心理士は、あらゆる年齢の発達に関わる幅広い専門家に開かれた資格です。

臨床発達心理士は、人間が生まれ、成長し加齢していく流れの全てにおける発達に寄り添い、その場面場面で必要とされる援助を提供します。主な活躍の場としてよくあげられるのがスクールカウンセラーであり、まさしく発達の過程上で様々な問題にぶつかることが多い、思春期の子どもたちを救い、導く役割りをしています。その他にも、今後時代のニーズに合わせた様々な場所での活躍が期待される仕事ですので、学ぶ価値のある資格です。

また、当サイトでご紹介させていただいているメンタルヘルスコンディショニング講座でも発達心理を学ぶことができます。取得できる資格は臨床発達心理士と同じ民間資格で、一般社団法人ハッピーライフカウンセリング協会が認定するメンタルヘルスコンディショナー®です。メンタルヘルスコンディショニング講座は全体としては、医学的根拠に基づいたココロの可視化を通じて、心の問題に解決策を提示するため、最先端ウェアラブルを活用した【健康測定】や【ストレスチェック】、【自律神経バランス診断】などを体験しながら、精神疾患につながりかねないストレス対策などを具体的に学ぶ講座ですが、ココロの問題の探求として、理論の深い洞察ではなく実際的なココロの問題、主に客観的に観察される行動の発達、そしてココロとカラダの相互関係(心身一如)などの領域も学んでいきます。

少しだけ具体的に説明しますと、新生児期や乳児期では愛着の形成など、幼児期や児童期では言語や自己制御機能の個人差と発達など、青年期では思考や社会性の発達やアイデンティティの模索など、成人期では成熟した人格の特徴や中年クライシスなど、老年期では心理や生き方などを学びます。たとえば老年期の方が知っておくと勇気づけられる次のような事も学びます。
『二つの知能』
「ことばの意味」や「社会的適応」など、これまでの経験に基づく判断や対応が求められる「結晶生能力」は、かなり高齢になるまで発達していることを明らかにしています。 一方、スピードが求められたり、新しいことを学んだりする「流動性能力」は、加齢に伴い低下していくことが明らかにされています。このことを知っておくだけでも後期高齢者の方たちを力づけることができるはずです。

メンタルヘルスコンディショニング講座:メインテキスト1<2章>行動の発達

人間が生まれてから死ぬまでの成長や発達の過程を心理学の観点から研究する発達心理学は、数ある心理学の中でもより私達にとって身近な内容を研究対象としています。発達心理学で学ぶことができる内容は、仕事に活用することができるだけでなく、家族や友人そして自分自身が何らかの問題を抱えたり、行き詰ってしまったりしたときに上手く対処することができるようになるために活用することも出来る知識です。仕事のために学びたいという方はもちろん、周囲の人や自分自身の人生をよりスムーズに充実させたい人にとっても学ぶ価値のある学問が発達心理学です。

記事 メンタルヘルスコンディショニング講座講師・佐々木幹

佐々木幹

佐々木幹メンタルヘルスコンディショナーⓇ

投稿者プロフィール

株式会社スマイルエデュケーション3代表取締役
一般社団法人ハッピーライフカウンセリング協会代表理事

大手民間スクールで約30年間スクール経営に携わり、販売マーケティングを皮切りに、商品開発室、教務室、学務室、通信教育センターの各部門責任者を歴任

現在は、自身が企画したメンタルヘルスコンディショニング通信講座の資格(メンタルヘルスコンディショナー)を取得し、「Live」「Love」「Smile」をかけ合わせた造語『LiLoveS』をコンセプトとしたハッピーライフカウンセリング協会と、学ぶすべての方の笑顔を目指すSmileCom(スマイルコム)のスクール運営を行う一方で、当サイト(メンタルヘルス情報サイト)の記事執筆を手掛けている。

メンタルヘルスコンディショニング講座はコチラ
https://smile-learn.com/product/

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コメント

    • 美術の先生
    • 2019年 2月 18日

    「結晶生能力」って人間国宝みたいなことなのかな。
    でも、年をとっても伸びる知能ってなんかいいね。

    • 佐々木幹
      • 佐々木幹
      • 2019年 4月 24日

      美術の先生さん

      コメントありがとうございます。
      そうなんです。「年をとっても伸びる知能」っていいですよね!!発達心理学の記事にメンタルヘルスコンディショニング講座のテキストの1部を紹介したのは、(私も58歳になりましが、)「人生100年時代。まだまだこれからだ!」と多くの高齢者の方々にも知って欲しかったからなのです。

      そういえば、Yahooニュースにもこんな記事がありました。
      『「高齢者は詰んだ」とはいえない 若い人ほどクリエイティブという思い込み』にも、「60歳以上の起業家の割合は、実に3割を超えている。・・・」のような記述もありました。
      https://news.yahoo.co.jp/byline/endotsukasa/20170731-00073941/

    • ほっしー
    • 2019年 6月 11日

    発達心理学って言葉を見たときにイメージしたのは幼児から大人になるまでの知識がつくまでの発達かと思いましたが、対象は子供だけではないんですね~。
    身近な人の心の問題に冷静に対処できるようになるということで、発達心理学を学んでみたいなあと思いました。

    • 佐々木幹
      • 佐々木幹
      • 2019年 6月 11日

      ほっしーさん

      投稿ありがとうございます。
      ほっしーさんが思われたように、ぜひ少しでも良いので発達心理学について知っていただきたいです。

      最近、NHK NEWS WEBで「ひきこもりクライシス“100万人”のサバイバル」という記事が目に留まりました。https://www3.nhk.or.jp/news/special/hikikomori/?tab=1

      私は今から10年前リーマンショックが起きた時、『派遣村』騒動などがあったのを思い出しました。TVのインタビューで「仕事がない」「派遣切りにあった」と多くの人が答えていました。それから1週間ぐらい後に、ニュース報道を聞いていたあるコンビニ店主が、「うちで働いてくれ」と求人を出したが、「あれだけ職がないと騒いでいた人たちが、誰も応募しなかった。」という新聞記事を見ました。
      職業選択の自由はわかるけど、60歳未満の健康な人が生活保護とか受けるのはどうなんだ!と正直思いましたし、今でも『シニア求人』とかで検索するとコンビニでも引っ越しでも清掃でも、仕事があるので「もっと頑張れよ!」という気持ちも残っています。

      ただこのサイトを運営するようになり、さまざまな事例を見聞きする中で、「ココロの闇っていうのはなかなか消えないな!」と思うようになりました。そして「人はどういう状況がハッピーなんだろう」と考え、その中でたどり着いた私の答えが『スマイル』でした。

      ひきこもりが『犯罪者予備軍』という負のレッテルが貼られたり、『働かざる者食うべからず』『生活保護者を甘やかすな』などと思う人がいるのは、私もかつてそう思っていたので、よくわかります。ただ、ココロが弱っている人たちが『スマイル』を取り戻すためには、周りの人たちの笑顔が必要です。少しで良いから心の病に対して知識を持ち、ひきこもり負けるな!などの記事があった時、イイネをつけるなど、ほんの少しで良いから優しい心をみなが持てば、スマイルの輪が広がると思っています。ひきこもり対策や保護施設などを国や自治体が考えるのもいいけど、周りの人のほんの少しの無理のない「好意」や「笑顔」が広がれば、結構な数の人が再び『スマイル』を取り戻すことができると思っています。
      (長文失礼しました。)

        • ほっしー
        • 2019年 6月 12日

        再び記事を読みにきたらお返事が!早速のご返信ありがとうございます!
        自分も働かない人に対して疑問を感じるタイプなのですが、佐々木様から頂いたお返事を読んで、考えを改める良いきっかけになりました。
        働きたくても働けない人もいますよね。発達心理学を学ぼうか考えていましたが、そういう人たちにももっと寄り添えるように、そのほかの心理学についても知りたいと思いました。
        優しい心や笑顔を意識して過ごしていこうと思います。

        • 佐々木幹
          • 佐々木幹
          • 2019年 6月 12日

          ほっしーさん

          何度も投稿いただき、ものすごくありがとうございます。
          小さな輪が増えたようでとてもうれしいです。

          ところで、ほっしーさんは北口榛花さんという方をご存知でしょうか?
          女子やり投げで最近、日本新記録を出した笑顔がとてもかわいい女性です。
          偶然テレビ(たしかニュースステーションだったと思います)を見ていたら、彼女がインタビューされていて、女子アナに「笑顔が素敵ですね」みたいなことを言われた時、「笑顔は幸運を呼び寄せるから」とお母さんに言われて育ってきたそうです。スランプの時の泣き顔映像も流れていましたが、やはり最後は笑顔が幸運を引き寄せたんだと思います。すばらしいお母さんの教えだと思いました。

          一瞬でファンになった私としては、ぜひ東京オリンピックで女子やり投げ史上初のメダルを獲得して欲しいと思います。発達心理学と関係ない話ですいません< (_ _)>

            • ほっしー
            • 2019年 6月 14日

            再びお返事ありがとうございます!
            北口榛花さん、恥ずかしながら知りませんでした。
            検索してみましたが確かに笑顔が素敵な方ですね!笑顔は幸運を呼び寄せる、良い考え方ですね。自分も心がけようと思います。
            東京オリンピックでも注目したいと思います!

          • 佐々木幹
            • 佐々木幹
            • 2019年 6月 14日

            ほっしーさん

            こちらこそ何度もありがとうございます。
            笑顔が素敵な北口榛花さん、一緒に応援しましょう。
            数々のドラマが期待される東京オリンピックでは、世界中の人と笑顔でつながれたら最高です!!
            ▽私の好きな言葉です。
            A warm smile is the universal language of kindness.

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