コミュニケーション障害とは

コミュニケーション障害という医学用語があることをご存知でしょうか。人づきあいが苦手である、人見知りであるという人を「コミュ障」であるということがあります。「コミュ障」という言葉はコミュニケーション障害の略語です。しかし俗称で呼ばれるコミュ障=コミュニケーション障害と医学用語のコミュニケーション障害とは大きく意味が異なります。コミュニケーション障害で悩む人々の中には造語として呼ばれるコミュ障と混同されることによって悩む方も少なくありません。

今回は造語であるコミュ障とコミュニケーション障害の違い、コミュニケーション障害とはどのような病気であり、どのようなことが原因により症状があらわれているのか、その症状などについてお話していきます。

コミュ障との違い 症状について 診断について 治療について まとめ

コミュニケーション障害とコミュ障の違い

はじめに、コミュニケーション障害はどんな疾患なのか、コミュ障という造語との違いを交えながらご紹介したいと思います。

コミュニケーション障害はコミュニケーション症群またはコミュニケーション障害群とも言われる医学用語です。対してコミュ障はコミュニケーション障害を元にネット上で生まれた造語、ネットスラングです。コミュ障という言葉はコミュニケーションが苦手な人、得意ではない人に対して利用されることの多い言葉です。コミュ障という言葉は比較的ライトに、軽い表現として使われています。人見知りの人や異性と話すことが苦手な人を揶揄してコミュ障ということもあります。

コミュニケーション障害と医学用語で呼ばれる方は単純に人づきあいが得意でないということでなく、様々な症状を持っています。コミュニケーション障害に代表される症状とはどのようなものなのでしょうか。

コミュニケーション障害と症状

コミュニケーション障害は、精神的疾患だけでなく、視覚障害・聴覚障害といった身体的な要因で引き起こされることがあります。コミュニケーション障害というと単にその人の性格による問題なのではないかと誤解する人もいるかもしれませんが、コミュニケーション障害では、実際に医師が「診断名」として使用している病名となり、特定の症状がみられた場合に診断されます。
コミュニケーション障害と紐づけられやすい症状についていくつか挙げていきます。

吃音(きつおん)

吃音は小児期発症流暢症とも言われ、会話途中にいきなり無言になる・単語が不自然に途切れる・どもる・音節や語尾をよく反復または延長するといった症状が挙げられます。このような症状は緊張した場面やストレスがかかるような時に引き起こされやすく、悪化しやすいようです。このような症状は6割から8割の子供が治ると言われていますが大人になっても続く場合は、他の精神疾患または神経損傷が引き起こされていると考え、成人期発症非流暢症と言われるようになります。

言語障害

または言語症と言われ、語彙力が乏しく相手に自分の伝えたいことを伝えるために必要な表現力が足りないことが主な症状です。具体的には、数字や文字配列を暗記することが苦手である、過去の話をなかなか話せないといった症状があります。言語による症状は幼少期には気づかれにくく、成長していくに従って、日常生活の様々な場面に影響を与えることで初めて発見されることとなります。この障害は大人になっても続けて発症することが多いようです。

語音障害

または言語症と言われ、語彙力が乏しく相手に自分の伝えたいことを伝えるために必要な表現力が足りないことが主な症状です。具体的には、数字や文字配列を暗記することが苦手である、過去の話をなかなか話せないといった症状があります。言語による症状は幼少期には気づかれにくく、成長していくに従って、日常生活の様々な場面に影響を与えることで初めて発見されることとなります。この障害は大人になっても続けて発症することが多いようです。

社会的コミュニケーション障害

または社会的コミュニケーション症と言われ、単純なコミュニケーションだけでなく、日常生活においてのコミュニケーションが難しいと感じる障害です。コミュニケーションが容易に進まない原因は様々です。

・ジョークや比喩表現、謙遜などを文面通りに受け取ってします。相手の話していることの本意を上手にくみ取ることが出来ない。
・表情や行動などから相手の感情を読み解くことが難しい。
・具体的には挨拶や何気ない会話などでさえも行うことが困難である。
・相手や場面に応じた話し方ができない
・場所や状況、TPOに合わせた振る舞いが出来ない。決められたルールに従うことが苦手である。

社会的コミュニケーション障害を患っている人は、コミュニケーションの失敗を恐れて社会との関わりを徐々に避けるような傾向があります。

コミュニケーション障害と診断について


コミュニケーション障害の発症年齢は幼少期から学生時代が多く、その症状によって対人関係の構築や学業において苦労する患者も少なくありません。コミュニケーション障害は単独で発症するだけでなく、他の疾患と併発することもあります。また、発達障害(※)の可能性も考えられます。コミュニケーション障害は、障害ごとの特徴がそれぞれ少しずつ重なり合っている場合が多いので、診断名を特定しづらいと言われています。コミュニケーション障害の症状が表れたからといってすぐにコミュニケーション障害という診断が下るわけではありません。診断には総合的な判断が必要となりますので、「相手に合わせた会話ができない」「時間が守れない」「ルールが守れない」などの症状が何度も出るようでしたら、まずは■精神保健福祉センター都道府県別の相談機関に問い合わせてみてはいかがでしょうか?もちろん専門の医師に診ていただく事も有効です。

※参考記事:発達障害とは

発達障害とは


コミュニケーション障害の治療

コミュニケーション障害の治療にはいくつかのアプローチ方法が知られています。代表的なものとしては、薬物療法と心理療法の2つです。薬物療法では、コミュニケーション障害の完治でなく、症状を緩和し、患者の不安や興奮を鎮めるといった観点が大きいようです。患者自身はコミュニケーション障害の症状により、日常生活の中で大きなストレスを抱えながら生活をしていることとなります。うつ病といった二次障害を引き起しやすいこともコミュニケーション障害の特徴です。薬物治療ではこれらの問題についても対処を行っていきます。2つ目の心理療法では、認知行動療法が用いられることが多い傾向があります。認知行動療法とは、物の見方や捉え方といった人の認知機能にフォーカスを当て、働きかける療法です。訓練により日常生活での負担を軽減することを目指します。具体的には、患者が人と接する上でこれらの症状によってストレスを受けていることに気づいてもらうこと、ひとつひとつの問題について適切な解決方法を模索していくこと、現時点でなにが出来、何が出来ないのかについて考えてもらいます。コミュニケーション障害ではこれらの治療のほかにも、言語聴覚士のもとで発声や言語能力のトレーニングを行うことも有効であるといわれています。

まとめ

発達障害情報・支援センターに次のような文章が書かれていました。
『大事なことは、その人がどんなことができて、何が苦手なのか、どんな魅力があるのかといった「その人」に目を向けることです。そして、その人その人に合った支援があれば、だれもが自分らしく、生きていけるのです。』
コミュニケーション、主に話し方や話す内容・認知の方法などの基準は人それぞれです。そして症状の度合いにもよるのでしょうが、対処方法も人それぞれで異なっています。ただ、コミュニケーション障害という病気で本当に困っている人がいることは知っておいていただきたいです。「コミュ障」は自分に向けて使うのは良いでしょうが、そして友人間などで言い合っている「コミュ障」は冗談だとわかっているのですが、やはり他人に向けて「コミュ障」と使って欲しくないですし、もし自分の周りにそのような方がいたら、少しだけ心を砕いていただけたらと思います。

記事 メンタルヘルスコンディショニング講座 講師・佐々木幹

佐々木幹

佐々木幹メンタルヘルスコンディショナーⓇ

投稿者プロフィール

株式会社スマイルエデュケーション3代表取締役

大手民間スクールで約30年間スクール経営に携わり、販売マーケティングを皮切りに、商品開発室、教務室、学務室、通信教育センターの各部門責任者を歴任

現在は、自身が企画したメンタルヘルスコンディショニング通信講座の資格(メンタルヘルスコンディショナー)を取得し、「Live」「Love」「Smile」をかけ合わせた造語『LiLoveS』をコンセプトとしたハッピーライフカウンセリング協会と、学ぶすべての方の笑顔を目指すSmileCom(スマイルコム)のスクール運営を行う一方で、当サイト(メンタルヘルス情報サイト)の記事執筆を手掛けている。

メンタルヘルスコンディショニング講座はコチラ
https://smile-learn.com/product/

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コメント

    • おおの
    • 2019年 3月 27日

    コミュ障って気軽によく使っているし人見知りのことをコミュ障と言ったりするけど
    本当の診断されたコミュニケーション障害の人はもっといろいろな症状があるということにびっくりしました。
    コミュ障は今当たり前のように気軽に使われている言葉だけど使い方を見直さないといけないなぁと思いました。

    • 佐々木幹
      • 佐々木幹
      • 2019年 5月 29日

      おおのさん

      返信が大変遅くなり失礼しました。そして投稿ありがとうございます。
      記事を読んでいただいてとてもうれしいです。
      おおのさんも親しい友人にしか「コミュ障」は使われないでしょうから、私も頭が固いかなーと思いながら記事を書きました。
      ただ聞く人によっては差別用語のように受け取られるかも?と思い、他人には使用しないで!と書かせていただきました。

    • ひとみしり
    • 2019年 7月 26日

    コミュニケーション障害と聞くと精神的疾患のイメージだったのですが、視覚障害や聴覚障害の方もコミュニケーション障害に悩む方がいらっしゃるのですね。自分のことをコミュ障だとか冗談っぽく言うことはあるけど、ちゃんとした理解をしっかりしておきたいと感じました。

    • 佐々木幹
      • 佐々木幹
      • 2019年 7月 26日

      ひとみしりさん

      投稿ありがとうございます。
      コミュ障って、たぶん使っている人は親近感を持って使っている人の方が多いと思います。
      だから、仲の良い友人間などの時は、コミュ障に限らずなんでも気にせず、話したらよいと思うのですが、ネットはどうかな?と個人的には思います。
      たとえ有名人でも、コミュ障みたいなことを見知らぬ人から書かれたら、少しヘコむかもしれない。
      ほっんとに、正体を明かさないで一般個人に対して、いろいろ書き込む人は???です。

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