神経症は不安障害とも言われます。神経症は、心の障害で以前まではノイローゼとも呼ばれていました。しかし、神経症と精神病とは異なり、神経症は心や体の機能障害と考えられているため器質的な病気ではありません。神経症の例としては潔癖症のように清潔を保たなければ落ち着かない、クモやヘビに対する恐怖症などをあげることもできます。今回は神経症について紹介していきます。

神経症の原因

神経症は遺伝的な原因があるともいわれていますが、ほとんどは性格的な要因で発症すると考えられています。弱気と強気の両方の要素を持つ性格の人が、神経症を起こしやすいといわれており、「責任感が強いけれど劣等感を抱きやすい」「忍耐強いけれど融通が利かないところがある」「思いやりがあるけれど不安に敏感」といったような、長所と短所の両方の要素を同じくらいの割合で持っている人が神経症を起こしやすいともいわれています。また神経症について欧米で知られる人の特徴としては、困難に直面したときに敏感に反応してしまう人です。自分の感情をコントロールできなかったり、ストレスを上手に対処できなかったりすると、神経症に陥りやすいと言われます。またイライラしやすい、不安を抱えやすい、欲求が強いなども神経症になりやすい人の特徴です。

神経症の基底的な感情として不安が大きく関わっていると言われており、不安を感じ、不安へ正しく対処できない状態にあると、さらなる不安を生み出すことへと繋がり、その状態が続くことで神経症へとなる場合が多いようです。そのため、神経症は様々なタイプがみられますが、不安を感じやすい点を共通点としてあげることができます。

神経症にある様々なタイプ

先ほども触れましたが、神経症はいくつかのタイプに分かれています。タイプ別にいくつかの神経症について紹介していきます。

神経症の一つ目として「社会不安障害」があります。社会不安障害は、わかりやすくいうと特定の状況・対象に対して、恐怖感を異常に抱いてしまう神経症です。社会不安障害は大体2種類に区別することができ、よく使われている症状の名称として、高所恐怖症や対人恐怖症があります。高所恐怖症は、本能的に高い場所にいると自分の身を守ろうとして恐怖を感じます。そして対人恐怖は、人前でのスピーチのように、他人から注目される状況に恐怖を感じます。また対人恐怖は、暗闇や閉所に加えて、クモやヘビなどに対して恐怖を感じる事もあるようです。

次に紹介する神経症は、「不安神経症」です。不安神経症は社会不安障害とは少し違い、決まった状況や物に限定されずに不安が現れてしまうものです。不安神経症で例をあげるとしたら、全般性不安障害とパニック障害をあげることができるでしょう。全般性不安障害は心配に対する不安で、「家族が病気になったらどうしよう」「失敗したらどうしよう」などの心配を抱え込み、不安で気持ちがいっぱいになってしまいます。そのため全般性不安障害では、リラックスできない状態が続き、目眩や発汗、震えなどの身体的症状を伴う場合もあるようです。パニック障害は不安発作とも言われ、死んでしまうかもしれないというような強い不安から、吐き気や呼吸困難、胸痛や動機などの自律神経症状が現れます。症状は数分から10分以上続く事もあり、慌てて病院に駆け込まれる事が多いようですが、ほとんどの場合、病院に着いた頃には症状が無くなってしまうようです。

そして、代表的な神経症の一つとして「強迫性障害」があります。強迫性障害は、心の中に不快なイメージが繰り返し浮かんできます。自分で過剰なもの、無意味であるとわかっていてもその不快なイメージを打ち消せず、そのイメージに支配されてしまいます。強迫性障害の不快なイメージとしては、「過失」「病気」「死」「不潔」など、自分や他人に危害が加えられる恐れのイメージが多いです。不安や心配を打ち消そうと考えを落ち着かせるために自分自身に対して強迫行為をするのが強迫性障害の特徴です。例としてはしつこいほどに手を洗ったり、施錠の確認をしたり、何度も入浴したりする行為をあげることができます。

また他には「気分変調症」や「解難性障害」という神経症もあります。気分変調症は、気分が晴れることなく、憂鬱な気分が継続します。その状態が続くことによって、軽度のうつ状態が症状として現れます。病識が保たれているものの、心理的な葛藤が生まれやすいのも特徴で、慢性のうつ状態が2年以上に及ぶようになるようです。また途中、大うつ病を合併症として引き起こる例も少なくないようです。解難性障害は、ヒステリー性神経症とも言われ、精神や身体の機能が意識から解難してしまい、自分の意思によってコントロール出来ない状態の事を言います。上手に歩けなかったり声が出なかったりするほか、記憶が断片的に失われていたりする事など、病気ではないのにも関わらずこれらのような症状が出ます。
そして最後になりますが体に症状が現れる「身体表現性障害」というのも、神経症の一つにあります。このタイプは、病院などで身体的な症状を訴えるのですが、医師が異常無いと判断しても医学的に原因を追及するように求めてくるのが特徴です。身体表現性障害には「身体化障害」「心気障害」「身体表現性自律神経機能不全」「持続性身体表現性陣痛障害」といくつかの区別があります。身体化障害は、女性にみられやすく、身体の様々な部位に症状がみられますが、頻繁に症状が変わるように言います。吐き気があったり、皮膚に異常を感じたりと、訴える症状は様々です。心気障害は、重篤な病気にかかっているかもしれないと考え、しつこく検査や診察を受ける傾向がみられます。身体表現性自律神経機能不全は、自律神経失調症に似た症状が現れ、例えば心臓神経症や過敏性腸症候群などがあげられます。そして持続性身体表現性陣痛障害は、慢性的に疼痛を感じるものの実際のところ痛みの原因がない症状のことを指します。

神経症の治療

現在では、神経症の治療に薬物療法が取り入れられる事があります。有効性が確認されている事もあり、症状の改善も期待することができます。主に神経症に対して使われる薬は、抗うつ薬と抗不安剤です。抗うつ薬は、もともとうつ病に対して処方される薬であるものの、神経症に対しても効果があると確認されているようです。そして抗不安剤は、緩和精神安定剤とも言われます。不安を軽減する薬として使われ、鎮静したり、筋肉の緊張を和らげたりするほか、眠気作用などの働きがあります。

様々な心療内科などで神経症の治療として薬を使われるようになりましたが、薬で治療をしたとしても、完全に症状を抑えられるとは限りません。例えば、パニック障害のようなタイプに対しては、薬物療法は高い効果を期待出来ますが、社会恐怖あるいは強迫性障害のようなタイプに対しては、半分程度しか効果を実感出来ない事が多いようです。また、薬物の投与をやめると、回復に向かっていた神経症の症状が再発する例も少なくありません。そのため、薬の服用を中止出来ないような状況にもなるようです。そのため薬で治療を受ける場合、完全に症状を無くす事を目的としてではなく、不安を乗り越えるための補助的な認識を持つ方がいいとも考えられれています。

神経症は本人がきちんと症状に向き合っていることや治療の受け方も大切ですが、周囲の接しかたも重要となってきます。本人がどういった不安や心配を持っているのかを理解し、神経症の方を単に休ませるのではなく、適度に活動させてあげるのが良いと言われます。神経症のタイプにもよりますが、無理に接するように対応するのではなく、距離を置く事も大切といえます。そのため神経症は、個人の努力だけでなく、周りのサポートも必要とされる症状であるといえるでしょう。

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