アスペという名で広く知られるようになってきているアスペルガーは、広汎性発達障害に属する精神疾患のひとつです。精神疾患というと即治療が必要なのではないかというイメージがあるかもしれませんが、アスペルガーは見えて分かるような症状、社会生活がまったく送れなくなるものではないため、治療を行っていない方も多い傾向があります。アスペルガーは目に見えて分からない、社会生活が可能であるからこそ、生きる上での不自由を実感することの多い病気となるのです。日々がうまくいかない、かといって、致命的な病気でもないため大げさな治療やサポートを受けることも難しい、そうした理由から、医療界のみならず、幅広い人々にとって重要なテーマとなってきています。周囲にアスペルガーの人がいる場合に、適切な接し方ができるよう、そして自分がアスペルガーの場合でも、快適な人生を送れるよう、正しい知識を身につけることが大切です。

 

■アスペルガーとは

アスペルガーは、アスペルガー症候群、AS、自閉症スペクトラムなどとも呼ばれています。3つめの「自閉症スペクトラム」という言葉の通り、アスペルガーは自閉症のひとつであると数えられています。アスペルガーでは、普通の人が特に意識せず体現できる「社会性」、「コミュニケーション力」、「こだわり」といった要素に偏りが生じるため、社会における生活の上で難を抱えることも少なくありません。いずれの要素においても共通しているのは、想像力が大きく影響している点です。想像力が乏しい、弱いことが起因して、これら3症状を引き起こしているといえます。以下より、それぞれの詳細について紹介していきます。

まずひとつに、社会性です。これはすなわち、大勢の集団にいる際どのように振る舞うかということです。普通の人であれば、いわゆる空気を読むという作業をおこなうことで、どのような振る舞いをすべきか、どういった発言をどのタイミングでするべきかなどが判断できます。そしてこれは、決して難しい作業でもありません。ですがアスペルガーの人は、そもそも空気を読むという作業が苦手です。前後の展開を踏まえながら、今どういった流れになっているかという想像をすることが難しいためです。そのため、社会で浮いた存在となってしまいやすく、結果的に自分世界へ引きこもってしまう、いわゆる自閉症の状態へと陥りがちです。

次に、コミュニケーション力です。アスペルガーの人は、集団における振る舞いが苦手ですが、一対一の会話が得意というわけでもありません。相手が何を言っているのか理解できない、どのようなことを望んでいるのか読み取れないのです。そのため、それらが容易にできる普通の人とは会話が続かないのです。また逆に、発信側となって言葉を発することも困難であると感じていることも多いようです。人によっては吃音やどもりが起こることがあり、これも社会生活が困難であることを大きく後押ししてしまう要因となっています。コミュニケーション能力の欠如は、アスペルガーの症状の中でも特に注意すべき部分かもしれません。

こだわりの強さに関しては、一概に悪いことと決め付けるべきではありません。そもそも「こだわりが強い」という言葉は、マイナスどころかむしろ褒め言葉になることも多いです。事実アスペルガーと言われる人の中には社会的な成功者が多いという事実があります。
とはいっても、拘りが強いことは周囲との協調を考える上では不要ななることが多いことも多いです。極端に強いこだわり貫くことは、集団生活を送る上で周囲の邪魔にすらなりかねません。空間を満たす空気に気付きが及ばず、ただひたすら一点へと集中してしまうといった具合です。これもまた、多方面へ意識が及ばないという想像力の弱さが要因になっています。

このように、アスペルガーの特徴である3要素は、いずれも想像力の欠如が原因となったものが多いようです。想像力が強い、弱いということは、個性の問題に過ぎず、たいした問題でないと思う方もいるかもしれませんが、アスペルガーとなると偏りが極端となり、社会生活に影響を及ぼすレベルであるため苦労が多いのです。

■アスペルガーか否か診断するには

アスペルガーは、専門的にいうと前項のような症状ですが、簡単に表現すると、空気が読めない、変わり者といった風にもいい換えることができるかもしれません。そのため近年は、そうした個性を持つ人へ向けて使う蔑称のような存在ともなっており、問題視されています。それこそ、「アスペ」という短縮した言い方で若者が気軽に使うようなシーンも広く見られており、それはアスペルガー患者をより一層肩身の狭い感覚に追いやる原因となっています。また逆に、実際は罹患していないにもかかわらず、周囲からの決め付けによって精神障害者であると思い込み、また別の症状が伴うといったケースも存在します。安易な発言や決め付けはおこなわず、正しい観点から判断することが大切です。

基本としては専門病院を受診することがおすすめです。個人による診断は、思わぬ思い込みや症状悪化を引き起こしかねません。また専門家に相談することでさまざまな問題の解決の糸口につながることも多いものです。

とはいえ、ある程度の特徴、傾向を把握することで、受診すべきかどうかを個人で検討することは事実有益です。次のような特徴に当てはまるかどうか、チェックしてみてはいかがでしょう。

明確な指示をされないと行動を起こせない。
空気が読めず浮いてしまう。
冗談が理解できない。
あいまいなニュアンスが苦手である。
興味のあることには頑ななこだわりを持ち続ける。
寝坊や遅刻などが頻発している。
興味がないことは一切受け入れられない。
急な変更があった際柔軟に対処できない。
名前を呼ぶことなく指示されたときに気付けない。
空気や表情から相手の気持ちを察せない。

上記は、いずれもアスペルガーの特徴として代表的なものです。当てはまる項目が多ければ多いほどアスペルガーである可能性は高いといえるかもしれません。とはいえ、勝手な決めつけは禁物です。可能性の範囲に留め、断定についてはやはり専門医を受診して明確なアドバイスを仰ぐとよいでしょう。

■アスペルガーだと気付いたら

ここまで、アスペルガーという病気の症状について紹介してきました。アスペルガー症状のマイナス面、デメリットをメインに取り上げていますが、とはいえだからといって絶望する必要はありません。アスペルガーの各症状は見方を変えることで魅力や個性、他の人にはない能力として発展することがあります。そのためアスペルガーの傾向を感じ、医療機関で診断されたらどのように付き合っていくかを考えることが大事です。

まず重要なのは症状を理解し、マイナス面をどのように補っていくのか、またアスペルガー症状のプラス面を知ることです。たとえば頑ななこだわりは、周囲の意見に左右されず、ひとつの物事をとことん追求できる力とも言い換えることができます。この力は経理や財務、法務・情報管理、プログラマーといった、数字や情報と向かい合うこと、研究職など個人で没頭して進めていくことが求められる仕事において大きな武器となります。加えてこれら職業は、苦手分野である社会性やコミュニケーション力をそこまで必要としない仕事でもあります。こだわりの強さを活かせる、アスペルガー向きのジャンルの職業があるのです。

その他にも、決められた応対を軸としてお客さんと接することができるコールセンターやテクニカルサポート、個性こそが力となるクリエイティブ業界、アーティスト業界、興味の偏りを活かした専門分野での活躍など、外へ出るための間口は決して狭くありません。うまくいかないことによるネガティブ感情から引きこもるのではなく、適正を意識した生き方を考えていくことは明るい人生につながっていきます。

アスペルガーは、想像力の乏しさが要因となった発達障害のひとつです。普通の人がごく当たり前におこなっている空気を読む作業や相手の気持ちを読むといった作業が苦手であるため、社会生活の足かせとなる場合が少なくありません。ですが、一方でこだわりの強さもまたアスペルガーの特徴の一つです。アスペルガー症状特有の能力を活かし、社会での生き方を見出していくことが大切です。まずは自分の傾向を把握していくことが大切なのです。

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