NLPとメンタルケア

「心のケアには、どんな方法が一番良いの?」
「それぞれどんな違いがあるの?」
と聞かれることがよくあります。

あまりにも多くの手法があって、どれが良いのか見極めることが難しく感じられることもあるでしょう。

その中で、近年、世界中で、浸透してきている“NLP”というものがあります。

NLPとは、Neuro・Linguistic・Programming(神経言語プログラミング)の略です。
セラピーや心理療法の分野から、政治やビジネス、スポーツ、医療、福祉、教育、芸術、クリントン元大統領やオバマ元大統領のプレゼンテーションに至るまで、NLPは、あらゆる分野で活用されるようになっています。

NLPとは NLPの特長

 NLPとは、いったいどういうものなのでしょうか?

そのスタートは、1970年代のアメリカです。その当時のベトナム戦争の帰還兵のPTSDに、NLPが短時間で劇的に改善したり、治癒は不可能とも言われていた恐怖症や精神疾患にもNLPが大きな成果をもたらしたりしたことから、注目を浴びるようになりました。

 

NLPは、元々カリフォルニア州で、コンピューター理論や数学の専攻であったリチャード・バンドラーと、言語学の専門家であったジョン・グリンダーが、優れた成果を挙げているセラピスト達のアプローチを分析して、体系づけたところから誕生しました。

 

その後NLPは、セラピーだけでなく、何かの偉業を成し遂げた人、アスリートでめざましい成果を挙げた人、ビジネスで大きく成功した人、奇跡的に病から生還した人、さらには、グルシャーマンと言われる奇跡と言えるようなことを起こしているような人達まで、“うまくいっている状態”を研究し、分析し、誰でもシンプルに活用できるように、NLPのテクノロジーとして進化させていきました。

 

様々なメンタルの手法を見ると、NLPとの共通点が認められることがよくあります。それは、NLPのスキルの一部を特定の目的に活用しているからということもありますが、NLPは、セラピーや心理療法でうまくいったアプローチを分析し、その共通する卓越性を体系づけ、包括的に、進化させているからなのです。

 NLPの特長

では、そのNLPの特長を見ていきましょう。

1.NLPとは、Neuro・Linguistic・Programming(神経言語プログラミング)の略
“N”とは、神経のことで、特に五感(視覚・聴覚・身体感覚・嗅覚・味覚)のことを表しています。私たちは五感を通して、外界で起きていることを知覚し、自分の中にストックしていきます。また、周りから何かの刺激を受ければ、すぐさま内部の体験から関連データを検索しに行きます。その五感を通したインプットやアウトプットを調整していくことができるのがNLPです。もう少し詳しいことを後述しますね。

NLPの“L”とは、言語のことです。話したり書いたりする“言語”だけでなく、身振り手振りや表情、声の調子やボリュームや高さなどの“非言語”も含まれます。何をどのように伝えるかによって、自分とのコミュニケーションも、人とのコミュニケーションも変わってくるのです。NLPでは、効果的なコミュニケーションや質問法を解析して、体系づけたものを身につけることで、自分とのコミュニケーションが改善されて自己肯定感を高め、周りとの関係性もずっと良くなっていきます。また人により良い影響を与え、対人関係、交渉、セールス、説得、プレゼンテーションなどにも、その言葉の威力を発揮していくことができます。

NLPの“P”は、プログラミングです。私たちが、誕生時から現在に至るまでのあらゆる経験を通して、自分の中に無意識的にも意識的にも取り入れてきた習慣やパターンのことです。その中には、信号が赤であれば止まるというような、役に立っているプログラムもあれば、苦手な人を見ると不快になるというような、役に立っていないプログラムもあるでしょう。その場合、役に立っていないプログラムを良いものに書き換え、役に立っているプログラムはさらに良くしていくことができるのです。

2.解決志向・未来志向
NLPの研究によって、ビジネス、スポーツ、政治、教育、医療等、分野を問わず、偉大な功績を成し遂げた人に共通して見られることがあります。それは、未来志向であり、問題に対して解決志向であるということです。

NLPでは、辛い過去を深く掘り下げて原因追及をするということはしません。
NLPが誕生した当時のアメリカでは、心理療法や精神分析の傾向として、何か問題があると、その原因を追及して、過去の出来事を掘り下げるということをしていました。幼少時や生育時にどんなことがあったのかを何度も繰り返して話させるということをするわけです。

レモンを想像しただけで唾液が出るように、脳は、現実と想像の区別がつきにくいので、昔あったことを具体的に思い出して言語化するという作業は、まさに今起こっているかのように、感情的な負担をかけることになります。そして、たとえ、特定のトラウマや過去に問題の原因があると特定されたとしても、どのように解決したら良いかわからないままで、治療家が変わるたびに、毎回同じ話を繰り返し、かえって傷を深めてしまうことも見られるのです。

一方で、NLPは、どうなりたいか、何をしたいのか、どう生きたいのか、そのためにどう今の課題を解決していくのかにフォーカスをしていきます。そうすることによって、脳はそれが実現したところをイメージし、解決する資質や方法も生まれやすくなるのです。

3.五感を活用して、プログラムを変える
私たちは五感を使って、周りで起こっていることを常に認識し、意識の中にストックしています。そして、何かの刺激や質問に対して、そのストックから、インターネットの検索エンジンのように探しだし、意識上にのぼらせるということをしています。

たとえば、「どんな食べ物が好き?」と聞かれた途端に、自分の好きな食べ物を意識の中から探し出し、それを視覚化したり、味や香りや食感を思い出すというようにです。

また、場合によっては、自分の苦手なもの、辛い体験などが、望まないのにフラッシュバックしてしまうということもあります。その際に、NLPでは、その五感のイメージの仕方を調整することが可能になります。辛い体験も、その再生の仕方によって、まったく違った印象や感情をもたらすものに、短時間で書き換えることが可能なのです。

4.在り方、生きる姿勢が変わる
NLPは、在り方や生きる姿勢が、そのベースにあります。
「どんな行動にも状態にも肯定的な意図がある」、「人の本質的な肯定的な価値は一定不変のものである」、「周りの状況を変えようとするよりも、自分自身の反応を変える方がずっと価値がある」などの様々な理念があり、それらをベースにした在り方が基盤となって、様々なスキルや方法やテクニックがあるのです。

創始者のリチャード・バンドラー博士が、「私はNLPを個々の人間が自分自身を自由にするために創った。自分自身を解放することができれば、毎瞬間を愛のために生きることになる。自由がすべてであり、残りのすべてが愛である」と言っています。
NLPのスキルによって、不要な囚われや自分自身に制限をかけることから解放され、真の自分らしさを生きられるようになるのです。

5.マイナスをプラスに逆転させる
通常のカウンセリングやセラピーや、メンタルケアのためのスキルや治療のアプローチは、一般的にマイナスの困った状態を、何も問題がない状態にするというものがほとんどです。しかし、NLPの場合は、すべての体験を肯定的に生かし、あらゆる問題を糧として生かしていこうという姿勢があります。そのため、マイナスの状態が、その状態になる前よりもずっと良くなって、より幸福で健康になるような、プラスの状態に逆転させることができるのです。

6.身につけたスキルは、あらゆる場面で活用できる
一般的にカウンセリングやセラピーのスキルは、その目的のためにのみ活用できるものが多いのに対して、NLPは、どんな場面でも活用できます。しかも、その場で使っているということを相手に言わなくても、対人関係で、相手と強固な信頼関係を築き、仲良くなったり、相手を助けたり、双方の共通のゴールを達成しやすくしたり、学習や記憶力を高めたり、セールスの成績を向上させたり、影響力や説得力を高めたりすることができます。いわば使えば使うほど、磨かれて輝きを増していく、一生ものの財産となるスキルだと言えます。

 

NLPとは、私が思うに、表面的なテクニックを超えた、人間力を高め、あらゆることを好転させるための哲学であり、スキルであり、テクノロジーなのです。

NLPは日本でも急速に広まってきていますが、その分、トレーナーや、コーチ、セラピストの技量や経験値や志向は様々です。あなたの目的や希望に叶った、経験豊かなプロフェッショナルを選ぶことをお勧めします。

白石 由利奈

白石 由利奈日本のNLPの伝道師

投稿者プロフィール

NLPミレニアムジャパン代表、株式会社SEEDS OF LIGHT代表取締役、一般財団法人日本フラワーレメディセンター代表

大学で臨床心理学を専攻し、在学中より、青少年や障害児のカウンセリングや心理療法に携わる。
1996年NLP創始者リチャード・バンドラー博士よりNLPトレーナーの資格を取得。
日本各地でNLPの認定コース、NLPトレーナーなど有資格者の為のスキルアップトレーニング、カウンセリング、コーチングを行う。
バンドラー博士より、世界で唯一“Enhancing International Cooperation”の認定、またアジア女性唯一のNLPマスタートレーナーの認定を受けている。

監訳書:『望む人生を手に入れよう』リチャード・バンドラー博士著(エル書房)、『リチャード・バンドラーの3日で人生を変える方法』リチャード・バンドラー博士、オーウェン・フィッツパトリック、アレッシオ・ロベルティ共著(ダイヤモンド社)
著書:『今日から仕事が変わるNLP7つの秘訣』(主婦の友社)、『バッチフラワーBOOK』(小学館)など

http://www.nlpsol.com

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コメント

    • ジョージ
    • 2019年 9月 04日

    NLPって初めて聞いたけど、広がっていけばいろんなことに応用できそうで良いな~。
    自分もNLPってやつを勉強してみたいな。

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