ストレスのメカニズムについて

「ストレス」という言葉は様々な場面で使用されることが多く、私たちに身近な存在ですが、ストレスとは一体何なのでしょうか。ストレスが発生する原因、ストレスが起こるメカニズム、ストレスが慢性化することによって生じる身体への影響、ストレスを軽減する方法など、知っているようでよく知らない「ストレス」について今回はご紹介させていただきます。

ストレスの原因 体への影響 ストレスに負けないために

ストレスはなぜ起こってしまうのか

はじめに「ストレス」が生まれるメカニズムから説明していきます。ストレスと聞くと、精神的な苦痛から発生するものと思いがちです。この概念自体は、間違ってはいません。しかし、ストレスが生まれるのは精神な苦痛からだけではありません。自分の身体に感じる外的な刺激、精神面に感じる内的な刺激によっても、心身は反応します。例えば、暑かったり寒かったりといった体感温度の変化や、引っ越しや転職などで発生する生活環境の変化からもストレスは生まれます。
また病気などによる身体的な苦痛、日常生活で感じる騒音、人混みでの息苦しさなど、ストレスが生まれる原因は人によって実に様々です。

ストレスが生まれる大まかなメカニズムは痛いと感じたり、悲しさや寂しさ、怒りを感じたりと、その反応が大きければ大きいほどストレスとして心身に負担をかけるといわれています。ストレスは、苦痛に感じる出来ごとそのものが直接の原因ではなく、その出来ごとによって起こる心身の反応(緊張した状態)が原因となります。そのため、同じことを経験しても、ある人には耐えがたいほどのストレスだと感じることが、別の人には苦痛を感じるほどストレスと感じない人がいるといった個人差が発生します。

またストレスの原因をストレッサーと言います。先ほど紹介したようにストレスが生まれる過程や原因は人によって異なるため、人の感じ方の数だけ様々なストレッサーがあるといえるでしょう。できればストレスは少ない方がいい、日々穏やかに過ごしたい、と思っている方も多いと思います。しかし、ストレスを全く感じないという方は存在しないと思います。人は日常生活を送る上で何かしらのストレスを感じ、抱えながら生きているともいわれています。極端なストレス反応は心や身体に負担を掛けてしまいますが、適度にストレス反応することは正常なことであり、心身にとってほどよい刺激にもなっている為、多少のストレスは心身にとって必要とも考えられています。

しかし、ストレスの恐ろしいところは強く感じすぎてしまい、それが長い期間消えない場合です。極端に反応が強かった場合、心や身体は次第に何かしらの影響が出て変化していく場合があります。どのような影響があるのか、心身へ起こるメカニズムについて次に説明していきます。

ストレスによっておこる体への影響

メンタルヘルスコンディショニング講座:メインテキスト2<1章>:臨床心理学とメンタルヘルス

ストレスには段階があります。まずはじめに段階ごとのメカニズムと全身の反応、精神面に関わる大切なホルモンを分泌する機能のひとつである副腎機能のメカニズムと反応を見て行きましょう(参考:あなたの「副腎」疲れてない?体調不良の原因にーヘルスUP-NIKKEI STYLE)。

ストレスの第一段階は警告反応期と呼ばれ、ショック相と反ショック相に更に分けられます。ショック相は名前の通り、出来ごとによるショックを心身が受ける最初の段階です。そして反ショック相では、ショック反応から身体が抵抗を始めます。これを警告反応期といい、ストレッサーに抵抗する準備態勢が整えられます。
第二段階は抵抗期といいストレッサーに対する抵抗力が平常よりも増加して維持される時期とされています。
第三段階は疲憊期といわれ、ストレッサー刺激が長く続くことで抵抗力が低下し、カラダももはやストレスに耐えられなくなって種々の適応障害が生じるようになります。副腎機能も低下するので必要なホルモン分泌も難しくなります。これがストレッサーを受けてから心身に浸透するまでのメカニズムです。

疲憊期に入ると心身に変化が出てきますが、まずかかりやすいのが精神的な疾患です。パニック障害や心的外傷後ストレス障害などを含む不安障害、うつ病などが挙げられます。身体的に影響が出る場合も多く抵抗力が落ちることから、消化器系の内臓や機能が正常に働かなくなり、胃潰瘍になったり、下痢や便秘などの症状が長く続いたり、感染症に罹りやすくなる場合もあります。また、自律神経が乱れることから眩暈や耳鳴りが激しくなったり、過換気症候群と呼ばれる心因による呼吸困難に陥ったりすり場合などもあります。

しかし、ストレスを感じたからと言って、すぐ身体に影響が出るわけではなく、抵抗期の段階までは抵抗を続けます。抵抗力を強めるホルモンを放出したり、体内がエネルギッシュになるように血圧や体温を上昇させ血流を促進させたり。その段階でストレッサーを忘れうまく解消することができれば、その次の疲憊期を迎えることなく、いつも通りの日常を送ることができるのです。

ではどうすれば第三段階の疲憊期を迎えずにストレッサーから解放することができるのでしょうか。うまく解消する方法、ストレスに負けない方法などを次から紹介していきたいと思います。

ストレスに負けない体になるためには

大切なことは、原因となっているストレッサーとメカニズムを正しく知ることです。先程も触れましたが、ストレッサーは人それぞれです。そのため「自分には自分だけのストレッサーがある」ということをまず理解し、どのような場面でストレスを受けやすいのかを知る必要があります。この事柄については他人を参考にすることはできないので、きちんと自分の心と向き合うことが大切です。

客観的且つ冷静になれる状態の時に改めて自分を振り返ってみて、どんな場面で、何に誰に対して、どんな出来ごとに対して、自分は怒ったのか、ショックを受けたのか、不快な思いをしたのかをよく考えてみてください。自分のストレッサーを知ることができたら、次は先程の心身のメカニズムを思い出しながら、第三段階の疲憊期まで引きずらないような努力が必要です。

簡単に説明しましたが、「自分を見つめ、向き合っていくこと」はとても難しいことです。その理由としては、人の性格がみんな違っているからです。捉え方や感じ方を変えていくということは、その人自身の考え方を変える必要も出てくるということです。考え方を変えることはなかなか容易ではありませんが、自分自身を変えなければまた同じようなストレスを感じてしまいます。

「自分の考え方を変えるなんて無理だ」と思われる方もいるでしょう。そのような方は、今までの経験から対処法を変えてみてはいかがでしょうか。過去と同じストレッサーから反応してしまうケースは非常に多いと言えます。前回はこういう感じ方をして対処した結果、身体を壊してしまった、などと言う失敗の経験があれば、次はどうすればいいかが自ずと見えてくると思います。そして、前のように苦しまずに済む新たな対処法が見えてくると思います。

また、物理的に変えることが可能なストレッサーであれば積極的に変えていくことも大切です。苦痛な人付き合いをやめる、生活環境を変えてみる、思い切って転職をしてみる、など、方法はいくらでもあります。自分を変える、環境を変えることで解決方法の幅はぐんと広がるはずです。

ストレスとそのメカニズムについて少しは理解いただけたでしょうか。ストレッサーは完全に避けられるものではありません。ストレッサーは目に見えるものではないので、感じたことに鈍感にならずしっかりとメカニズムを理解した上で行動に移す必要があります。また誰にでも起こりうることと理解し、心身のメカニズムについて一連の流れを把握しておくことも必要です。そのためストレスと上手に付き合っていくことと、ストレスの解消方法や気持ちを切り替える方法を身に付けておくことも大切です。

記事 メンタルヘルスコンディショニング講座講師・佐々木幹

佐々木幹

佐々木幹メンタルヘルスコンディショナーⓇ

投稿者プロフィール

株式会社スマイルエデュケーション3代表取締役
一般社団法人ハッピーライフカウンセリング協会代表理事

大手民間スクールで約30年間スクール経営に携わり、販売マーケティングを皮切りに、商品開発室、教務室、学務室、通信教育センターの各部門責任者を歴任

現在は、自身が企画したメンタルヘルスコンディショニング通信講座の資格(メンタルヘルスコンディショナー)を取得し、「Live」「Love」「Smile」をかけ合わせた造語『LiLoveS』をコンセプトとしたハッピーライフカウンセリング協会と、学ぶすべての方の笑顔を目指すSmileCom(スマイルコム)のスクール運営を行う一方で、当サイト(メンタルヘルス情報サイト)の記事執筆を手掛けている。

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