「雰囲気や人の気分を感じやすい」「小さなことをクヨクヨ考えてしまう」「いつも自分が悪いと責めてしまう」「音や照明、匂い、痛みなど些細な刺激が気になる」「人が多い場所や賑やかな場所がとても苦手だ」という人はHSPかもしれません。

HSP気質とは? HPSは自律神経失調症になりやすい? HSPの健康法とマインドフルネス HSPの長所と短所 HSPに向いている職業

世の中の5人に1人というHSP(とても敏感な人)気質とは?

HSPとはHighly Sensitive Person(ハイリ―センシティブパーソン:とても敏感な人)の略語で、世の中の5人に1人の割合と言われています。HSPは、五感(視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚)はもちろん第六感やスピリチュアなこと、痛み、空腹、喉の渇き、疲れなど身体を通した感覚に敏感です。そして共感性があり良心的で、洞察力や直観力にも優れているといいます。感受性が豊かであることは、自然の中など良い環境では良いエネルギーを吸収でき、音楽などを理解する才能があったり、美味しい料理は美味しさを十分に味わうことができます。
HSPであることは、生活や人生をよりよくしてくれる一方で、日常の中でストレスを抱えることも多いことでしょう。

このHSPという概念は、1996年にアメリカの精神分析医で学者のエレイン・N・アーロンの著書「The Highly Sensitive Person」の中で提唱されました。アーロン博士自身がHSPであり、自身を内視し、さまざまな調査や研究を重ねた結果、見出したのがHSPの概念です。

HSPは周囲の環境に敏感で、人の多い場所、賑やかな場所、いやな匂い、強い光、食べ物、痛みなど普通の人にとっては些細な刺激がストレスとなり、神経が高ぶりやすいという特徴があります。そのため自律神経が乱れやすいなど健康の問題を抱えやすいと言われています。またHSPは共感性が高く、環境や他の人との境界性が薄いため、その場の雰囲気や、側にいる人の気分などにも影響を受けやすいといいます。

目の前の人が怒っていたり、悲しんでいたり、落ち込んでいると無意識に同調してしまい、同じ気持ちになってしまうそうです。HSPは人の気持ちを理解できるので気が利くという反面、側にいる人の気分や影響を受けてしまうため、育った環境や親次第でHSPの特徴は長所にも短所にもなり、トラウマを持ちやすいとも言われています。

そんなHSPは一人の時間が休息の時間になりますので、一人でいることを好む傾向があるようです。感受性が豊かなため恋に落ちやすいのですが、人と生活することがストレスとなるため結婚生活が辛く感じるHSPは多いといいます。パートナーや子供の気持ちを察することができるということは、良いパートナーや良い親になれるのですが、パートナーや子供の気分が良い時ばかりではありません。HSPはパートナーや側にいる人に自分がHSPであることを理解してもらうことが大切でしょう。

アーロン博士の著書で、HSPは、お店やお部屋に入ると一瞬にして自分がそこにいたいのかどうか、その場の雰囲気は自分にとって友好的か敵対的か、空気は新鮮かよどんでいるか、花を活けた人がどんな人柄か、まで察するといいます。
HSPがこうしたことを自然に感じていても、それをHSP自身が特別な能力とは思ってもいない場合がほとんどです。自分の中で起こっていることは他人と比較できないので、気づくのは、自分は他人よりもいろいろなことに耐えられないといことだけでしょう(「ささいなことにもすぐに「動揺」してしまうあなたへ」著:エレイン・N・アーロンより引用)。いわゆる第6感が鋭いHSPもいるようです。

そのHSPの敏感さは性格でも病気でもなく生まれ持った気質で、少数派のため生きづらさを感じているHSPは多いにちがいありません。アーロン博士をはじめ、アメリカの心理学者のジェローム・ケーガン博士など専門家達の研究により、性別や国籍に関係なく世の中の20%がHSP気質であることがわかっています。アーロン博士同様、HSPであったとされる精神科医でユング心理学の創始者であるカール・グスタフ・ユングは、人の内向性や外向性について研究していますが、HSPの特徴でもある内向的な人は世の中の4分の1の割合でいるといっています。
HSPの特徴は、ユングがあげた内向的なタイプの特徴にぴったりあてはまるため、HSPイコール内向的な人と誤解されることがありますが、HSPの中に刺激を求めるような外向的な人が30%いるとアーロン博士の研究データがあります。内向的なHSPは、受ける刺激も少なく、共感しやすい少人数の集まりを好む傾向があります。HSPの大半はスリルより安心を優先させる内向的なタイプで「ひきこもり」といわる人達もHSPに多いようです。

外向的なHSPは、内的世界をもちつつ、社会的な外向性を兼ね備えたタイプで、大勢の中の一人でいることに安心と親しみを感じます。大家族や寮生活など過去に大勢で過ごした経験があるのかもしれません。外向的なHSPは、冒険や探検好きな人もいて、同じことの繰り返しに飽きてしまい、旅をするときは行ったことのない場所に行く傾向があるようです。しかし、HSPでありながら外向的であるというのはある意味大変です。敏感な気質にもかかわらず、刺激を求めてしまうため、人一倍、疲弊してしまうからです。内向的なHSPより外交的なHSPの方が刺激やストレスを受けてしまう傾向があります。

HSP気質は内向的なタイプと外向的なタイプがいて、HSPといっても超敏感なHSPから非HSPに近いHSPなど敏感の程度や種類に差があるそうです。特に化学化合物に敏感で化学調味料が添加された食品を食べると気持ち悪くなるというHSPや電磁波に敏感なHSPなどさまざまです。自分がHSPと思う方や身近にHSPがいる方は、どんな刺激に敏感でどんな環境がつらいのかなど知り予防や対策すると良いでしょう。自分がどうしてほしいのか、何に秀でているのか、自分の限界点を周囲に伝えることは大変かもしれませんが、周りに協力を求めることで必要以上に刺激を受けなくてすむようになります。敏感であることは生まれもった気質で、人間にとっては大事な気質です。HSPの中にはHSPであることを自覚し、刺激を回避したり、自分にあった仕事したり、環境を変えるなどして生活しているHSPはたくさんいます。自分や子供がHSPか気になる方はHSPに関しての書籍やWEBのサイトでチェックテストを受けてみるとよいでしょう。

HPSは自律神経失調症になりやすい?

HSPは病気でも性格でもなく生まれ持った気質ですが、敏感すぎる気質であるため引き起こしやすい病気や症状があります。
HSPの脳は普通の人以上に膨大な情報(刺激)を認識してしまうため、脳内の処理が過剰になり神経が高ぶりやすく、そして疲れやすいといいます。そのためHSPは慢性的な過度のストレスで起こる自律神経失調症にかかりやすいと言われています。自律神経失調症は動悸や腹痛、頭痛、睡眠障害、摂食障害など症状があるにも関わらず、検査をしても特に問題がなく、病名がつかない状態をいいます。緊張した時に活性化する交換神経とリラックスした時に活性化する副交感神経のバランスを保つことによって人は健康を維持しています。しかし、過度なストレスがかかりつづけると常に緊張した状態となり、自律神経のバランスが崩れて自律神経失調症の症状があられます。

さらに自律神経のバランスが乱れた状態が続くとうつ病やパニック障害などココロの病気や過敏性腸炎や心筋梗塞などさまざまな症状や病気を引き起こします。HSPは些細な刺激に敏感なため交換神経のスイッチが入りやすい状態です。神経が高ぶっていると感じたら。ゆっくり呼吸をしたり、お水を飲んだり、瞑想をするなどリラックス法を知っておくとよいでしょう。

HSPの健康法とマインドフルネス

HSPの敏感さは脳の情報処理能力が大きく関わっています。感覚が鋭いHSPはこの脳内の処理能力が極めて高いと考えられています。その場の空気を読んだり、ミスや違いにすぐに気づくことができる反面、過剰に情報が入ってくると脳がフリーズしてしまいます。神経が高ぶり、逆にミスをおかしやすい状態になります。HSPは意識的に自然と触れ合う時間や神経を落ち着かせる環境と習慣を身につけると良いでしょう。
HSPの研究者たちはマインドフルネスなど瞑想がHSPに有効であるといっています。
マインドフルネスのエクササイズは意識的に刺激を遮断し、脳に休息を与えることができるのでお勧めです。
※マインドフルネスついてはこちらの記事をご覧ください。
「ココロとカラダが元気になるマインドフルネスとは」「マインドフルネス実践法」

<ストレスを感じやすいHSPのリラックス法>
・呼吸法や瞑想、マインドフルネスエクササイズ
・芸術的な趣味をもつ
・一人の時間を取るようにする
・自然の中で過ごす時間をもつ
・動物と過ごす
・音楽を聴く時はヘッドフォンで聞く
・アロマーテラピーを活用
・ブルーライトカット
・デジタルデトックス
※テレビやインターネットからの情報も必要最低限にする。
・水を飲む
・ヨガや水泳、ウォーキングなど適度な運動を生活に取り入れる。
・目を閉じる
※80%の外の刺激は視覚から入ってきますので、目を閉じれば瞬時にチャットアウトできます。

HSPの長所と短所

HSPの長所と短所は紙一重です。環境や刺激の質や量によって長所にも短所にもなります。敏感なためトラウマを受けやすく、親の育った環境の影響で生きづらさを感じているHSPもいれば、マイナスの刺激を避けて、好きな仕事をしながら普通に暮らしているHSPもいます。

<長所>
・共感性があり思いやりがある。
・直感力があり、外れる確率が低い
・ひらめきが強くアイデアマンである。
・慎重で危機管理能力が高い。
・1つの物事についてたくさんの異なる視点とからとらえることができる。
・感受性が高く芸術家に向いている
・相手の気持ちを理解できるので気が利く
・とても誠実で責任感がある
・仕事が丁寧でミスが少ない(落ちた環境での作業の場合)
・アートやよい音楽、美味しい物など楽しめる
・学ぼうとしなくても学んでしまう
・サポートするのが得意
・洞察力がある
・真面目で優しい

<短所>
・神経が高ぶりやすい
・問題が起きたときに目をそらないためクヨクヨしやすい
・素早く返答できない
・争いが苦手
・痛みの耐性が低い
・不眠になりやすい
・ひきもりになりやすい
・大勢の前で話すのが苦手
・不安や恐怖を感じやすくトラウマになりやすい
・賑やかな場所、人が多い場所が苦手(外向的なHSPは例外)で疲れやすい
・同時進行で複数のことができない。
・寒さや空腹、喉の渇きを感じやすい
・共感性が高く、境界性が薄いため、他人の問題も自分の問題と捉えてしまう
・責任が強すぎて自分を責める傾向がある
・育った環境や親の影響を受けやすい
・自己肯定感が低い
・完璧主義で、がんばらないと好かれないと思っている

HSPに向いている職業

HSPは科学者や芸術家に多いそうです。HSPの持つ感性やひらめきは画家や音楽家、小説家、映画や舞台監督などの芸術家向きで、デザイナー、コピーライターなどクリエイティブな職業に向いているそうです。HSPはフリーランスがよいのですが、よい環境であれば会社組織の中でも商品開発や危機管理で能力が活かすことができます。
またサービス業や人をサポートする職業についているHSPも多くいるようです。

参考書籍
「鈍感な世界にきる敏感な人たち」著:イルセ・サン(訳:枇谷玲子)
「ささいなことにもすぐに「動揺」してしまうあなたへ」
著:エレイン・N・アーロン(訳:冨田香里)
「敏感すぎて困っている自分への対処法」著:苑田純子
「大人になっても敏感で気づきやすいあなたへの19の処方箋」:長沼睦雄

メンタルヘルスコンディショナー・高橋晶子

高橋 晶子

高橋 晶子メンタルヘルスコンディショナー

投稿者プロフィール

Allo 代表 ペット事業(ペットケアサービス/コンサルタント)、マインドフルネストレーナー

19歳の時、難病を発症し生活が一変。
24時間点滴、絶食という入院生活を経験し、痛みがないこと、食事ができること、歩いて移動ができることなど日常あたりまえのことに幸せを感じ健康の有難さを実感する。

海外生活(オーストラリアとカナダ)がきっかけとなり持病が好転。
ボランティア(老人ホームや障がい者の施設)、レースクイーン、バックパッカー、ファームステイ(農業)、広告代理店、旅行会社、商社、IT、金融etcを経験し、ベンチャー企業に就職後、ペット事業で独立。

経験を含め、自分のためにインプットしてきたことが人の役に立っていることに喜びを感じる機会が増え、メンタルヘルスコンディショナーの資格を取得。
また、学生時代の心理学の授業では学ばなかったポジティブ心理学とマインドフルネスに出会いマインドフルネストレーナーとなる。
これまで以上にココロとカラダの健康にアンテナをはりアウトプットしていきたい。

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コメント

    • れーな
    • 2019年 5月 08日

    HSPは初めて聞いたけど、5人に1人はいるということにびっくりした。クラスに6人はそういう人がいたのかもしれないと思うとなんだか不思議。感覚が過敏な人にはたまに出会うけど、HSPだったのかなあとか考えた。病気ではないということは治りはしないということなのかな。できるだけHSPの人も過ごしやすい世の中になるといいなあと思います。

    • 佐々木幹
      • 佐々木幹
      • 2019年 5月 08日

      そうそうに記事をお読みくださり、ありがとうございます。

      私もHSPという言葉は、メンタルヘルスコンディショナーの高橋さんの記事により知りました。
      シャイで道徳心が高いと言われている日本人には、HSPの方がたくさんいそうですよね。
      高橋さんによるとHSPは感受性が豊かであるそうなので、マインドフルネスを実践されれば、より良い日常が送れるのは間違いなさそうです。。。
      マインドフルネス実践法(by高橋さん)
      https://mentalhealthjoho.com/stress-mechanism/1524.html

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