癌とストレス①
- 2018/3/22
- 特別寄稿
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私は2016年9月に「肺がんステージ4」を宣告され、1年生存率30%、5年生存率10%以下と医師に伝えられました。
癌という病気は遺伝性と考えている人が多いですが、実は違います。
癌細胞は毎日約5000個ほど身体で生まれているのです。しかし自己の免疫機能がそれを退治しているため、健康が守られているのです。
したがって、癌という病気は「免疫機能の低下」が引き起こすものと言えるのです。
そして「免疫機能の低下」を引き起こす大きな原因が「ストレス」です。
ある程度の「ストレス」は良い仕事などパフォーマンスを発揮する場合に役立ちますが、一定の閾値を超えた「ストレス」を受け続けると「免疫機能の低下」につながってしまうのです。
戦闘モード | リンパ球とがん細胞 | 刺激中毒 |
戦闘モードは交感神経を刺激する
私の場合は「コミュニケーショントレーナー」や「カウンセリング」の仕事のほかに「ボクシングジムのトレーナー」もやっていました。それぞれが好きな仕事で、大変充実した毎日を過ごしていました。そこへ突然の「肺がんステージ4」宣告でした。 今なら分かります。好きな仕事をしていても「ストレス」は溜まり続けていた、ということに。
「コミュニケーショントレーナー」ではほぼ毎日、見ず知らずの多数の人々のトレーニングを行い、夜はボクシングジムへ。技術を教えるにはまず自分が納得してからと、自己のトレーニングも欠かしませんでした。また、担当しているプロ選手が3人いましたので、1年中誰かの試合が決まっていて、常に「戦闘モード」だったのです。身体もこころも休まる暇はありませんでした。
「戦闘モード」は自律神経の「交感神経」を刺激します。つまりは緊張状態です。弓を強く引き続けると、弦が切れてしまうように、人間も緊張状態が続くとどこかしら不調が発生します。それはメンタルの不調であったり、身体の不調であったりします。僕の場合は最悪の癌だった、ということです。
「戦闘モード」の反対「リラックスモード」が「副交感神経」です。こちらは「緩む」方向です。「緊張」と「緩み」があってはじめてよいバランスが生まれるのです。
リンパ球とがん細胞
「交感神経」優位になると血液中の白血球の構成が代わります。通常の場合、白血球の種類の分類として顆粒球と言われる細菌などの外敵や古くなった細胞の死骸などを食べて処理する係りが約60%存在します。そして約35%はリンパ球でウイルスやがん細胞を見つけて攻撃する係りです。残り約5%はマクロファージでサイズの大きな異物を食べるので貪欲細胞と呼ばれています。
「交感神経」優位になると、「顆粒球」の割合が増え、「リンパ球」が減ります。つまりがん細胞を攻撃する免疫機能の低下につながるのです。そしてさらに顆粒球は寿命が2~3日と短いため、死んでいくときに大量の活性酸素を体内に発します。その活性酸素が体細胞の破壊を引き起こすのです。
つまり「交感神経」優位で生きていると「免疫機能」が低下し、活性酸素が大量発生して体細胞破壊がすすみ、最悪癌細胞が増大してしまう、ということなのです。私の場合、癌が発見されたときのリンパ球は15%まで落ち込んでいました。
刺激中毒の現代社会
現代社会に生きている我々は常に「ストレス」にさらされ、「交感神経」を刺激され、また、ゲームやスマホなどの更なる「刺激」をもとめて「交感神経」を刺激しつづけています。これはある意味では「刺激中毒」と言えるのではないでしょうか。
緊張して手が冷たくなった経験はないでしょうか。私は癌になってから息子の買って来た戦闘系のテレビゲームをしたところ、手足が冷たくなり、呼吸が苦しくなりました。それ以降、ゲームは一切しておりません。これは身体の末端が傷ついても出血を少なくするために血液が身体の中心部に集まるために起こると言われています。手足の末端の血流が悪くなるのです。戦闘系のテレビゲームや緊張を強いるパズルゲーム、ギャンブルなどを多くしていると、頭や思考レベルでは楽しんでいるかもしれませんが、実は身体に少しずつダメージが蓄積されているといっても過言ではありません。
そして「刺激中毒」の向かう先が「病気」だとしたら、どこかで気づいてストップをかけなければなりません。車で一般道を80kmで運転すると恐い感じがしますが、高速道路では遅く感じてしまうように、自分がどれだけ「刺激中毒」にはまっているのか気づかなければ、止まれないのです。
また、なぜ自分が刺激を求めるのか、という部分にも注目しなければなりません。退屈だから? ヒマだから? なぜリラクゼーションミュージックでなくハードロックなどの刺激を好むのか? なぜついついテレビ画面やスマホの中で「大量殺人」をしてしまうのか?その刺激で自身の何を埋めようとしているのか?仕事で「交感神経」を刺激し、ストレス解消と称してまた「交感神経」を刺激する。これでは「免疫機能」は低下する一方です。また、いったい何に「ストレス」を感じるのか? その種類や度合いは人によって様々です。「自分とはいったい何なのか?」これは心理学の分野になります。
人はオギャーと生まれ、親に育てられる過程で様々な刺激を受けます。そしてその刺激によって人それぞれの「感覚パターン」や「感情の反応パターン」あるいは「思考のパターン」を身につけます。そしてこれらは必ず歪みを持っています。その歪みが個性であったり長所にもなりますが、ある特定のパターンが「ストレス」を強く感じすぎてしまったり、あるいは「ストレス」を溜め込んでしまったり、あるいは「ストレス」を作り出す行動に駆り立てられてしまったりするのです。根本的にストレスを軽減させるにはその行動やパターンの根底にある「パーソナリティ(性格)」を深く見ていく必要があります。パーソナリティがストレスをつくり、パーソナリティがストレスを感じる、いわば自作自演のストレスゲームを気づかぬうちにしてしまっている可能性があるのです。
確かに「ストレス」として発生した様々な現状はその都度対処して消していくことは可能ですが、一番良いのはその「根っこ」自体を解消することだと思います。「心身一如」という言葉があるように、心と身体は一体で考え、ホリスティックに対応していく必要があると言えます。
私は「肺がんステージ4」宣告をされ、人生が変わりました。すべてがひっくり返りました。幸い復帰できましたが「健康である」ということは何にも換えがたいものだと経験しました。人生は「生きていて」こそのものなのです。
メンタルヘルスを甘く見てはいけません。それはこれを読んでいるあなた自身の「いのち」や「人生」と密接に関わることなのです。
コメント
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刺激中毒というのは、今生きている限り全員がなりそうな感じじゃね。ストップするにも本人の気づきがなきゃいけんし、難しい。
田中さん
投稿ありがとうございます。
気がつかないで、返信しなくてごめんなさい。
田中さんの言われるように、私たち全員が何らかの刺激を求めているので、ストップするのは難しいですね。中毒になるくらいのめり込んでしまったら、ストップの努力よりも、他に何か好きなことを見つける努力の方が、良さそうです。
まず癌細胞が毎日生まれているというところにびっくりしました(゚Д゚;)
ストレスだけが理由ではないと思いますが、身内にも癌で亡くなった人がいるので、ストレスが原因のひとつということに驚きでした。
なるべくストレスには気を付けていきたいです!!
わんさん
投稿ありがとうございます。
癌とストレスの関係を言い切るなど、記事投稿してくださった、ご自身もステージⅣで余命宣告を受けながら生還してきた刀根さんだから言えることですね。
闘病中はがんに関するものは、医学書を中心にスピリチュアルなものまで、相当読み込んだそうです。ストレスは人を成長させますが、行き過ぎれば人を病に追いやります。そのことを知ってさえいれば、苦難な時でも何とかなります。