パワハラに悩んだら

雇用形態が多様化するとともに、一昔前と比較すると労働環境は大きく変化しています。グローバル化やIT化、職場における労働者が受けるストレスは増加傾向にあるといわれています。ブラック企業という呼び名に表されるように、業務上、特に人間関係でストレスを抱え、労働相談が増えてきています。職場でのストレスの中には立場を利用したプレッシャー、パワハラが問題となっています。特に民間企業では、独自の精神論が社風として通るため、パワハラは公になりにくいという問題があります。パワハラの基準とは、何を指すのでしょうか?職場でパワハラを受ける影響や、受けた時は何をすべきなのかについて、ご紹介いたします。

パワハラとは何か

上司から部下に対する圧力、と受け取られがちなパワハラ。実はパワハラは職場での人間関係のすべてが対象となります。同僚間、後輩や部下による嫌がらせもパワハラに含まれています。パワハラは役職の上下だけでなく、専門知識や経験、人間関係の優位性などでも起きているのです。

パワハラの基準は、業務の適正な範囲を超えた嫌がらせや圧力であり、それが継続的で、日常化していることも多く傾向があります。具体的なパワハラは、身体的な攻撃・精神的な攻撃、過大な要求・過小な評価、人間関係の切り離し、個の侵害など様々なです。

1.身体的攻撃・精神的攻撃
身体的攻撃は、殴る・蹴る、胸ぐらを掴む、物を投げるなどの傷害に当たります。日常的に行われれば、不安な職場環境で業務を遂行することになります。精神的攻撃には、大声での叱責や説教、人前でのからかいがあり、「給料泥棒」「役立たず」といった発言は、暴言や侮辱に当たります。これらは、人格権侵害にあたり法的にも違法性が高いといえます。

2.過大/過小要求
過大な要求では、明らかに達成の困難なノルマを課したり、徹夜での業務や仕事の持ち帰りを強要すること、不可能な仕事量の強要が挙げられます。ブラック企業でよく取りざたされている長時間労働は、疲労が蓄積していくことにより労働者の身体だけでなく心も蝕んで
いきます。深刻な状態では過労死や自殺を招く原因にもなります。気づかないうちに心身の
バランスを崩し、冷静な判断が失われていきます。過小な評価もパワハラに当たり、極端に仕事を減らす、プロジェクトに参加させないで雑用をさせる、など大きな問題となっています。

このように業務上優位な立場を利用し、理不尽な圧力をかけていきます。指示をしたにも拘わらず、始末書を書かせるなどの責任をターゲットに押し付けることもパワハラに当たります。

3.切り離しや個の侵害
人間関係の切り離しは、職場での協力依頼を制限すること、同僚たちの前で「無能」や「役立たず」などの暴言をいい、関わらないように仕向けることを指します。個の侵害は、挨拶の無視、私物への監視、プライベートへの干渉があります。休暇の理由を執拗に聞くこと、有給休暇を取らせないなどもこれに含まれます。

このようなパワハラ行為は、人格否定であり働くものの権利を侵害し、業務のスムーズな進行を妨害します。パワハラは職場内でのいじめを助長するきっかけにもなり、助けを求める機会さえも奪うことがあります。

パワハラによる影響

パワハラによって受けることによる影響は様々です。パワハラを受けているのではないかと思ったら早めに対処していくことが大切です。

1. 集中力の低下や能力が発揮できなくなる
教育的な指導の名のもとに行われるパワハラの中には、経営者が黙認していることや、周囲の人間が間に入りにくいことで継続的に行われやすいという特徴があります。長期にわたる精神的な攻撃や、過大な要求が続く中で被害者の精神的なストレスが蓄積していくことで、心身共に悪影響を及ぼすとわかってきました。注意が散漫になり、本来の能力が十分に
発揮できなくなることがあります。仕事ができる上司であっても、被害者の人格を否定すること、自信を喪失させることは業務上大きなマイナスとなるのです。

2.うつ病などの精神的疾患を発生する恐れがある
日常的なパワハラは被害者の心に恐怖をうえつけ、萎縮してしまうこともあるでしょう。感情を抑える習慣がついてしまう方もいます。パワハラを受け続けることで意見を言えなくなるだけではなく、対人恐怖症になる可能性もあります。このような状態が続くと、うつ病などの精神的疾患を発症するかもしれません。うつ病は、何事にもやる気や関心を失い、食欲不振や不眠症、性欲減退の症状があらわれる病気です。

3.身体にも悪影響がでる
精神的な病だけでなく、身体的には頭が重く感じたり、頭痛が止まなかったり、感情が沈み込んでしまい、涙が出てくるなど驚くことがあるかもしれません。長時間労働により疲労回復の時間がないことで慢性疲労症候群となります。慢性的なダメージは脳や心臓疾患、関節痛、睡眠障害などを発症する確率が上がります。

さらに、強いストレスが胃腸にかかり、神経性胃腸炎になることもあります。過剰な胃酸の分泌や、胃の運動機能が低下し、悪化すれば胃潰瘍に進行します。円形脱毛症になることもあります。

仮に、職場に行くと考えただけで、吐き気を感じるようになっているなら、パワハラの強いストレスを受けているかもしれません。パワハラは、心身にかかるストレスが予想以上に多く、最終的に職場に行くことができなくなり、休職や転職に追い込まれるケースも珍しくありません。自分では大丈夫だと思っていても、急に体が動かなくなることもあります。

4.職場の全体の雰囲気を悪くする
パワハラの被害者は1人だけでなく被害者が移ることもあります。「次のターゲットは自分かもしれない。」、「ターゲットになりたくない」という感情から職場は殺伐として、雰囲気が悪くなることもあります。パワハラの被害は直接のターゲットのみにとどまらないのです。

パワハラに遭ったら何をすべき?

それでは、あなたがパワハラにあったらどうすればよいでしょうか。パワハラにあったら何をすればよいのか見ていきましょう。

1. 悩みを相談するだけで楽になれることも

「つらい」と感じたら誰かに相談することが大切です。友達や同僚、先輩でもいいので、つらく感じている気持ちを話し、打ち明けましょう。社内の相談窓口や、労働組合、労働局、地域の男女共同参画センターなど相談窓口などに訪れるのもいいでしょう。声に出すことは非常に重要です。

2.休む勇気を持つことも大切
心身に影響が出ているときは、病院へかかり、医師の診断を仰ぐ必要があります。出勤すること自体で症状が悪化することもあります。医師からドクターストップが告げられることもあります。急に休むことと周囲に迷惑をかけるのではないか、自分の仕事を放棄することではないかと心配されることも多いでしょう。しかし体のことを第一に考えることが何よりです。対処が遅れることで、症状が改善するまで時間がかかり復職が困難となるケースも少なくありません。症状が改善することでようやく正常の判断を行うことが可能となりますので、復職するか、転職するかを考えるという選択肢があることを覚えておいてください。

3.パワハラの証拠を残そう
2009年には、労災(労働者災害保険法)認定の判断基準の審査項目として、パワハラによるストレスや、自殺、精神疾患が追加されています。一人でも従業員を雇用している事業所は、労災保険を納める義務があります。雇用形態は問わないため、事業所の労働者であれば誰でも保険給付を申請できるのです。もし労災認定されれば、補償を受けることができます。

労災認定のためには、証拠が重要となります。「パワハラではないか?」と思ったら、日記などに残しておくと役立ちます。「いつ、どこで、誰が、何を言ったか、何を行ったか」といったようなメモを取り、具体的に整理しておくことが大切です。ICレコーダーで音声を記録することも有効です。またパワハラによる影響で病院にかかったときの診断書も証拠となります。

これらの証拠がそろったら社内の倫理委員会、もしくは労働基準監督署等へ相談に行きましょう。証拠や事実関係を整理することは自分の気もちを整理することに繋がります。自分自身の申請となる場合くじけそうになることもあるかもしれません。しかし戦ったという事実はこれからの人生において大きな自信につながっていきます。

ブラック企業の言葉を耳にすることが増えてきた昨今、公にならないパワハラなど、労働者をめぐる環境は不安定になっています。残念なことですが、企業全体の余裕がないことで長時間労働の強要や、感情に起因するパワハラ、従業員の切り捨てがまかり通っていることも少なくありません。しかし労働者には幸せに働く権利があることを忘れてはいけません。一人で悩まず、誰かに相談することから始めてみて下さい。

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