心理カウンセラーとは

メンタル心理カウンセラー

昨今テレビや雑誌等のメディアやスマートフォンなどのアプリなどでも、人の心理に関する内容が人気です。その多くは「恋愛」でその次は「性格診断」あたりでしょうか?無料で気軽にできるので、職場や合コンの場などで話題にできるのが人気の秘密でしょう。心理テストは本格的なものもありますが、その多くはアフィリエイト広告や特定の企業の商品やサービスの誘導ツールとして配信されていますので、利用する際は最低限、そういうことも心得ておきましょう。

さて、占い感覚でいろいろな心理テストをおこなううちに、人の深層心理に深い関心を抱いたり、かつて経験したココロの悩みを解き明かしたくなったりして、昨今では心理カウンセラーを目指す人も増えてきています。

 

心理カウンセラーという職業とは 心理療法と心理カウンセラーの関係性は 心理カウンセラーになるには 心理カウンセラーになることのメリット

心理カウンセラーという職業とは?

ビジネスストレス
心理カウンセラーという職業は、占い師と似ているところがあります。なぜかというと、相談者の悩みをしっかり聞き、会話を通して、どのように現状を考えどんな行動を取ればよいのか等、相談者の悩みを解決していく過程が似ているからです。

心理カウンセラーという大きな枠組みの中に「夫婦問題カウンセラー」や「離婚カウンセラー」「マリッジカウンセラー」という職業があるのですが、1991年に日本で初めて「離婚カウンセラー」を職業として成立させた岡野あつこ氏によると、「この仕事(離婚カウンセラー)をする前に離婚問題の相談者がどこに相談していたかというと、それは占い師でした。実際に今でも占い相談の9割は恋愛問題、夫婦問題です。」とのことです。

似ているとはいえカウンセラーと占い師は明らかに違います。例えば「夫婦の離婚の危機」という悩みを相談者から離婚カウンセラーと占い師が受けたとしましょう。相談者の気持ちに寄り添い、相談者の悩みを聞く部分には大きな違いはないかもしれません。では、どのような違いがあるでしょうか?

『離婚カウンセラー』(※1)
離婚したときと婚姻関係を続けた時のメリットとデメリットを、法律に照らしてアドバイスできなければなりません。非弁行為はしてはいけませんが、財産分与や慰謝料の問題が相談者にあれば弁護士の知識が必要になります。年金分割の問題があれば社労士の知識が、離婚する際の条件が決まった際、公文書にするための公正証書の書き方や提出方法などは行政書士の知識が必要になります。未成年の子どもがいる場合には、その養育や親権問題にも専門的知識がないと、カウンセリングができません。

離婚カウンセラーは、相談者の悩みを傾聴し、法律をベースにさまざまなシュミレーションを相談者に提示して、どうすることが自分の幸せにつながっていくのかを相談者自身に考えさせ、今後の人生を改めて見つめなおさせ、一緒に最善の道、幸せにつながる道を探っていくことができなければなりません。

『占い師』
離婚カウンセラーのもっとも重要なスキルに傾聴能力がありますが、これは占い師の方もお持ちかもしれません。そして占い師は、相談者の雰囲気や相談内容を過去の体験に照らし合わせて、占断(せんだん)することでしょう。占いには「当たるも八卦当たらぬも八卦」という言葉が示す通り、相談そのものが自分の不安や悩みの気休めのために利用するケースが多いので、相談者の本気度も低いと言えます。

占い師は、相談者の心の悩みをじっくり聞いてあげて、自分の得意の占い技法を使って、相談者の不安や悩みの気持ちを軽くしてあげることができれば、合格だと思います。

現代の日本社会において、ストレスによりメンタルヘルスを悪化させる人や心の病を抱える人が増加傾向にあります。増加要因の1つには、簡単に怒りをぶつけられる、また拡散させられるSNSの存在も大きいと思います。職場での人間関係、学校でのいじめ、パワハラやセクハラ等々による問題も、職場や学校という「リアルな現場」とSNSの「バーチャルな空間」のダブルで、ストレスを悪化させる環境があるからです。

心理カウンセラーの職業の中で、最初に夫婦問題カウンセラーや離婚カウンセラーを紹介させていただいたのは、相談者(クライエント)が病人ではないからです。他にもメンタルトレーナーやNLP、産業カウンセラーやメンタルヘルスコンディショナーなど、ココロが弱っているけど病気になっていない人が対象であれば、医療行為が絡まないので心理カウンセラーとして職業は成り立ちますし、ストレッサーが多い現代では、ますます必要とされる職業だといえるでしょう。

※1:離婚カウンセラーとは

離婚カウンセラーとは


心理療法と心理カウンセラーの関係性は

メンタル心理カウンセラー
ココロが病むのはストレスが大きく関係していますが、ストレスに陥りやすい性格というのはかなり証明されており、さまざまな研究もされていています(※2)。ストレスになりやすい性格に「真面目」「完璧主義」があるのですが、どちらもとても良い性格です。ただ、その真面目さゆえに過度なストレスに襲われても自分1人で解決しようとし、症状を悪化させることがよくあります。真面目な人なのに頑張りすぎた結果が、うつ病だったり、最悪は自殺にまで至ったりしては悲しすぎます。

心理カウンセラーは、そんな真面目な人が陥ったうつ病や適応障害など精神障害の治療もサポートする場合があります。もちろん医療行為は一切できませんが、資格や経験によっては医療連携をするケースもまれにあるようです。

公益社団法人 日本精神神経学会のHPの中に「精神科医療機関受診についてQ&A」というページがあり、その中に「Q. 精神科の医療機関以外に、こころの問題の相談に乗ってくれる場所はあるのですか?」という質問に対する回答がありましたので、1部引用させていただきます。
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精神的な不調の背景にある様々な生活上の問題について、医療機関以外への相談をすることもできます。地域生活支援センターで悩みを相談してみると、医療とは異なる視点で一緒に解決策を考えてくれます。家族の方は医療機関の家族会への参加だけではなく、同支援センターの家族教室への参加は役に立つことが多いはずです。障害者支援センターや障害者就業センターは就労や社会参加を希望する方の支援してくれます。自立支援法のサービスにはホームヘルプもあり、ヘルパーさんと一緒に買い物や家事をすることで、生活技能の訓練も出来ます。
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医師が在籍している国や自治体の施設では、心理師や保健師のような有資格者が活躍しているようです。念のために繰り返しますが、日本ではうつ病や適応障害など精神障害の治療は、たとえ国家資格を取得していても一切してはなりません。なぜなら日本の公認心理師や臨床心理士はアメリカの臨床心理士と異なりドクターではないからです(※3)。精神障害の治療を精神科医(ドクター)以外がおこなえば医師法違反で罰せられることになります。

実際に「心理カウンセラーになりませんか?」と謳っている教育機関の多くで、「行動療法」とか「箱庭療法」などの心理療法を教えています。これらの知識を得ることは、とても良いことですが、精神障害を患っている方に対してのカウンセリングという仕事にはつながりません。カウンセリング実習などを学んでない場合は、ボランティアでも難しいと思います。
ひたすら傾聴に徹するロジャースの「クライエント中心療法」であれば良いと思われる方がいるかもしれませんが、、精神障害を患っている患者さんには使ってはいけません。スクールによっては「医師と連携することが大切だ」「お医者さんは、忙しくてカウンセリングの時間の取れないので、薬物療法などの医療はお医者さんが受け持ち、カウンセリングは心理カウンセラーが受け持つ!」「チーム医療が大切です。」などと謳っているスクールもありますが、民間資格しか持ってない人がチーム医療へ参加することはありえません。

「心理カウンセラーとして開業や副業はできますか?」という質問に「はい。なれます。」という回答はウソではありませんが、それは対象者(相談者/クライエント)が健常者である場合のみで、うつなどの精神障害で苦しんでいる方々が対象の場合は、1部の例外を除いて心理カウンセラーとして開業も副業もできません。

心理カウンセラーという仕事は知識だけでなく経験も大きく影響するので、仕事としてやっていけるかどうかは人によります。その1部の例外の人というのは、50時間程度のカウンセリング実習しかしたことがない人ではなく、公認心理師や理学療法士、作業療法士、保健師や学校教員など、もともと専門職についている方々です。そうした方々が心理カウンセラーの学習をして心理カウンセラーになることはあります。何の専門性も持っていない人が、民間の心理カウンセラー資格を得たところで、心理療法を扱う心理カウンセラーになれるわけがありません。
※2人間関係のストレスについて

人間関係のストレスについて

※3公認心理師ウィキペディア(Wikipedia)臨床心理士との対比

心理カウンセラーになるには

メリット
心理カウンセラーと一口に言ってもその種類は様々です。活躍するフィールドに応じて必要な知識も異なってきます。心理カウンセラーは、資格取得によって活躍の場が広がる傾向にもあります。小中高の学校を対象にいじめや不登校などの悩みを抱える生徒に向けたスクールカウンセラーと呼ばれるカウンセリングもあれば、企業の中では発生したパワハラやセクハラ、仕事のストレスを対象にした産業カウンセラーといったものも心理カウンセラーの職業の中には含まれます。教育、産業以外にも医療現場や高齢者施設など心理カウンセラーは活躍フィールドが広い一方で、その場所ごとの相談者に合わせた対応スキルも問われます。心理カウンセラーになるために、カウンセラー関連の資格取得は絶対条件ではありません。自身が求める活躍フィールドを意識しつつ、その場にあった適切なカウンセリングが出来るよう知識やスキルの向上を目指すことが重要です。

心理カウンセラーとして一番重要となるスキルは、人の話をよく聞くことができるということです。相談者が話しやすい環境や雰囲気を作ることも心理カウンセラーにとって大事なこととなります。それもただ相談者の話を頷いて聞いているだけではダメです。相談者の立場になり、物事や事象に対して最善の解決法を導くために、自分の実体験だけでは足りなくなるでしょう。相談者に寄り添いながら行うカウンセリングには、経験以外にも知識や情報、話術含めた技術が必要不可欠です。それらを習得するために心理学を学ぶことは有効になるでしょう。

特許庁の外郭団体である独立行政法人 工業所有権情報・研修館で「商標」にチェックを入れて、キーワード「心理カウンセラー」で検索すると、35件の商標(審査中含む)が出てきます。出願日は2007年5月9日から始まってまっており、2019年4月23日出願が最新となっています。この商標登録や出願状況を見ると心理カウンセラーがブームになったのは、この10年の傾向のようですね。詳細は検索いただくとして、「商標(検索用)」を紹介させていただきます。
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・幼児心理カウンセラー\財団法人田中教育研究所(一般財団法人田中教育研究所)
・風水心理カウンセラー(一般財団法人風水心理カウンセリング協会)
・日本ビジネス心理カウンセラー協会\Japanese Business Mental Counselor Association(メンタルヘルスマネジメント株式会社)
・臨床心理カウンセラー(クラウンエクステリア株式会社)
・全心連公認 プロフェッショナル心理カウンセラー(一般社団法人全国心理業連合会)
・筆跡心理カウンセラー(株式会社バレエライフデザイン)
・§Cosmetic Psychology Counselor∞美容心理カウンセラー(一般社団法人メンタルサポートセンター)
・子育て力検定(一般社団法人日本子育て心理カウンセラー協会)
・恋愛心理カウンセラー(谷内 辰徳)
・恋愛心理カウンセラー協会(谷内 辰徳)
・エクステリア心理カウンセラー(ファンタジスタnet株式会社)
・キッチン心理カウンセラー(ファンタジスタnet株式会社)
・ポジティブ心理カウンセラー(徳吉 陽河)
・J∞LESA\福祉心理カウンセラー(ファンタジスタnet株式会社)
・アフェクティブ心理カウンセラー(高倉 恵子)
・傾聴心理カウンセラー(一般社団法人日本傾聴連合会)
・ココロゴトcafe(一般社団法人プロフェッショナル心理カウンセラー協会)
・JCCA子育て心理カウンセラー(学校法人沖縄中央学園)
・あがり症専門\心理カウンセラー(児島 弘樹)
・教育心理カウンセラー認定講座(一般社団法人未来民間教育)
・ポジティブマインドフルネスカウンセラー(一般社団法人ポジティブ心理カウンセラー協会)
・歯科心理カウンセラー(荻原 聡美)

以上、登録済み商標

・一般社団法人日本子育て心理カウンセラー協会(学校法人沖縄中央学園)
・人間関係心理カウンセラー(水沼 利浩)
・認知症心理カウンセラー(一般社団法人日本福祉人材育成協会)
・夫婦・家族心理カウンセラー(ファンタジスタnet株式会社)
・ポジティブ感情カウンセラー(一般社団法人ポジティブ心理カウンセラー協会)
解決療法心理カウンセラー(一般社団法人解決療法心理カウンセラー協会)
JAAMP\夫婦心理カウンセラー(ファンタジスタnet株式会社)
家族心理カウンセラー(ファンタジスタnet株式会社)
チャイルド心理カウンセラー(ファンタジスタnet株式会社)
子供心理カウンセラー(ファンタジスタnet株式会社)
メンタル心理カウンセラー(ファンタジスタnet株式会社)
ポジティブ心理療法士(一般社団法人ポジティブ心理カウンセラー協会)

以上、審査中商標、2019年6月24日現在
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心理カウンセラーになることのメリット

カウンセリング
心理カウンセラーを目指すうえで一番重要なことは、相談者の悩みをともに分かち合い、一緒に解決に繋げようと思えるか、ということが極めて重要です。「人の話を聞くのが好き」「同じような苦しみを抱えていた自分の経験を活かして、少しでも手助けになりたい」「暗闇から抜け出すほんの小さな光だとしても、少しでも支えになりたい」といった想いを持つ方であれば、十分に心理カウンセラーとしての資質はあるでしょう。

ある心理カウンセラーをインタビューした時、「数年前にカウンセリングをしたご相談者が、未だに野菜やお米を送ってくれたり、ライフイベントのお知らせをくれたり……。そんな、温かい関係を築くことができるのも、人の心の奥底までとことん付き合ってきたからだと思っています。」と述べられましたが、同じような内容を多くのカウンセラーからも聞きました。これは心理カウンセラーにとって冥利に尽きることでもあり、それ故にやりがいも非常に感じることでしょう。

人の人生を左右するかもしれない心理カウンセラーという仕事が、軽いはずはありませんし、自分自身のメンタルもケアしていかないと相談者に引きずられかねません。ただ「役に立ちたい」という想いのある方でしたら、相談者とともに日々進化していけますし、年齢を重ねれば重ねるほど、信頼も増していく仕事ですので、まさに生涯の職業と言えるのではないでしょうか。

記事(初版 2017/5/5)  メンタルヘルスコンディショニング講座講師・佐々木幹

佐々木幹

佐々木幹メンタルヘルスコンディショナーⓇ

投稿者プロフィール

株式会社スマイルエデュケーション3代表取締役

大手民間スクールで約30年間スクール経営に携わり、販売マーケティングを皮切りに、商品開発室、教務室、学務室、通信教育センターの各部門責任者を歴任

現在は、自身が企画したメンタルヘルスコンディショニング通信講座の資格(メンタルヘルスコンディショナー)を取得し、「Live」「Love」「Smile」をかけ合わせた造語『LiLoveS』をコンセプトとしたハッピーライフカウンセリング協会と、学ぶすべての方の笑顔を目指すSmileCom(スマイルコム)のスクール運営を行う一方で、当サイト(メンタルヘルス情報サイト)の記事執筆を手掛けている。

メンタルヘルスコンディショニング講座はコチラ
https://smile-learn.com/product/

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コメント

    • ゆみ
    • 2019年 3月 15日

    心理カウンセラーになりたいという気持ちがあり、検索していたらこのサイトを見つけました。
    勉強になりました。ありがとうございます。

    • 佐々木幹
      • 佐々木幹
      • 2019年 3月 18日

      ゆみさん

      投稿ありがとうございます。
      心理カウンセラーはとても幅が広いので、どういう立場の方に対してカウンセリングするのか?ということを最初に明確にするのが大切だと思います。がんばりましょう。

    • しゅう
    • 2019年 6月 25日

    心理テストとかが大好きで、心理について勉強してみようかな、どうせなら資格をとりたいな~なんて思って心理カウンセラーについて調べていました。
    医療行為はできないんですね!お話を聞いてアドバイスするくらいならできるのかな~と思っていました。
    人の話を聞くのは好きなのでとりあえずいろいろな講座を調べてみようと思います。

    • 佐々木幹
      • 佐々木幹
      • 2019年 6月 25日

      しゅうさん

      投稿ありがとうございます。
      医療にかかわるアドバイスですが、親しい方に自分の経験でよく効いたお薬などを紹介するのは問題ないです。医師法違反に問われるのは、病気の方にアドバイス(カウンセリング)をして、対価としてお金をもらう行為です。

      資格や講座を調べられるとのコメントを拝見して、イメージしていただくため「心理カウンセラーになるには」の部分に情報を追加させていただきました。参考にしていただければ幸いです。

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