アートセラピーとは

心の病を軽くするためのセラピーには、様々な種類があります。その中の1つである、アートセラピーというものを皆さんはご存知でしょうか?アートセラピーは芸術療法とも呼ばれアートを通して自分の内面に触れ、表現していく手法です。自分の潜在的な部分を知る事もできるので、治療としてだけではなく癒しを与える目的でも使用されます。ではアートセラピーとはどのように行われるものなのでしょうか?また、どのような効果が期待されているのでしょうか?今後、アートセラピーがどのように活用されていくのかを含めてご紹介していきます。

アートセラピーについて

アートセラピーは、絵画や造形などの様々な芸術を通して心をケアしていく心理療法の一つで、欧米で発展したものです。絵画や造形などを通じて自己を表現することで、自分自身でも見えない潜在的な心の中や気持ちを映し出します。絵の具やクレヨン、粘土などの道具を使いながら、何も考えずに自分自身を表現することで、自己を解放することができたり、自分でも気付かなかった自分に出会うことができたりするようになります。

アートというとなんだか難しい感じを受ける方もいらっしゃるかもしれませんが、セラピーにおいては上手い、上手くないといったことは重要視されません。ただありのままに自己表現をするということが大切とされるので深く考えることなく気軽にセラピーを受けることができるのです。

アートセラピーで心と身体を解き放つこと、持っている創造性を高めること、気付いていなかった自己を発見すること、問題を解決する能力を高めること、コミュニケーション能力を高めることなどの効果があると言われています。無意識の部分に触れることや内面を表現することができるので、自分でもよくわかっていないことや上手く言葉に出来ないことなどを、言葉を使うことなく表現することが可能です。

心の病を抱えた人というのは、言葉で人とコミュニケーションをとったり、自分を表現するということが困難になってしまったりすること多いため、こういった方の内面を知るためにアートテラピーは非常に効果的な手段とされています。またアートセラピーには、心の問題に対する治療としてだけではなく癒しを与えるという効果もあります。アートに触れる中で、手や目、脳の感覚を刺激することで、鈍ってしまった感覚を活性化することもできるのでアートテラピーは、老人施設や職場での効果も期待されています。

日本ではまだあまり馴染みの無いアートテラピーですが、欧米では、医療、カウンセリング、宗教などの様々な分野で幅広く利用されています。アートセラピーは子どもから高齢者まで年齢を問わず、心の病を持つ人、軽い悩みを抱えている人、健康な人などその状態も問うことなく非常に幅広い人に行うことが出来る人です。

アートセラピーによって得られる効果とは

絵画などの芸術を通じて、自己表現したり解放したりすることを目的とするアートセラピーですが、具体的にはどのような効果があるのでしょうか?

まずは、自己の感情を表に出すことによって心を開放的にさせる効果があります。自分の中にある感情のうち、表に出すことが難しいものを芸術の中に織り交ぜて表現することで、その感情を解き放つことが出来ます。心の中に抱えているものを表に出さず、負の感情を心の中に溜め込むことは、ストレスの原因にもなりますのでそれを回避するという効果もアートテラピーにはあるので、うまく心理的な浄化を行うきっかけとなっています。

さらに、芸術作品に表れた自分の深層心理を改めて知り、客観的に見るという効果です。アートセラピーの際に使用した芸術作品には、自分でも気付かなかったような心の状態がうつし出されます。その作品に何が表現されているのかを読み取っていくことによって、自分の持つ内面の状態を客観的に見ることができます。

他にも、制作した作品を通じて、人と交流をすることができるという魅力もあります。心に悩みを抱えた人や、精神疾患を患っている人というのは、人とコミュニケーションをとることが非常に苦手です。しかし、セラピーの中で作品について話をすることで、自然と周囲の人とコミュニケーションを取ることができます。

そして、作品を制作する中で、手先を動かすことによって筋肉や神経に刺激を与えるリハビリの効果もアートテラピーには期待されています。これは、高齢者の認知症予防や、病気によって神経系に問題がある方の治療にも活用されています。その他にも、芸術に関わることで感情を司る右脳を刺激して、心からリラックスすることができたり、芸術に触れて様々な刺激を受けたりすることによって、日常生活では得られない感情が湧き上がり、新たな好奇心を呼び起こすことのきっかけにもなります。このように、一口にアートセラピーといっても、様々な効果があり、その対象者によって求める効果は違いますが、多くの場面で活用していくことが出来るセラピーであると言えるでしょう。

アートセラピーの可能性

アートセラピーは、言葉を用いない治療法であるということが心をケアしていく心理療法で使用される他の手段とは大きく違っています。心に悩みを抱えた人や、精神疾患を持っている方は、他人と言葉を交わしてコミュニケーションを取るということを非常に苦手とします。また、自分の思っていることや持っている感情を上手く言葉で外にむけて表現することができません。そういった際にアートセラピーを行うことで、自分の内面を芸術作品として表現して、さらけ出すことができます。また作品を介して様々な方と会話するなどの交流の機会を自然と得ることもできます。

そしてアートセラピーは言葉を使わないからこそ大きな可能性を秘めています。まだ文字を読んだり書いたりすることが出来なかったり、話をすることのできない小さな子供や、認知症が進み、自分でも自分がよく分からなくなってしまっているような高齢者の方、言葉の通じない外国人の方の心を理解するためにも非常に役立ちます。言葉を発することはなくても、ただ自分の思うままに作品を作ってもらうことで、彼らの心の中や、考えていることを理解することができるのです。人間が本来持っている感情や、社会性を取り戻すことが出来るリハビリ的な役割りを果たせますし、創造力を強化することもできます。

このように、本当に様々な効果をアートテラピーに期待できることから、今後アートセラピーは多くの場所で活用することが期待されています。現在注目されているのは、災害現場で被害にあった方で大きな心の傷を負ってしまった方の心のよりどころをつくり、楽しみながら本来の自分を取り戻してもらうという用途でのアートセラピーの活用や、高齢者のリクリエーションとしての活用、会社において能力を高めるための教育としての活用などです。

このように、場所も年代も性別も選ばずに活用することが出来るアートセラピーはとても貴重なもので、今後ますます注目を集め、重要視されていくことでしょう。

日本では、まだまだあまり認知されていないアートセラピーですが、海外ではすでに様々な場面で活用されています。アートセラピーは他のセラピーの手法とは違い、言葉で伝えるのではなく、芸術作品を作ることで自分の内面を表現し、自己理解をするという手法をとる稀有なセラピーです。今、社会の中で求められていることに合致する面も多く、これからの日本においてますます広く活用されていくことが期待されます。

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