日常的に受けるストレスから自身を開放するためにヨガなどを生活に組み込んでいる人が増えているといわれています。ヨガの他にもジョギングやボクシングなど色々なエクササイズやボディケアが流行っているようです。また最近では、SNSなどで自分が鍛えた身体の写真を披露している人が増えており、筋トレをはじめ引き締まったボディ作りは男性だけの楽しみではなく、女性にも浸透してきているといわれています。その中で多くの人の注目を集めているのがピラティスというものです。体を動かすフィットネスやダイエットを目的としたものではなく、ストレスから心身を開放し健康を目的とした質の高いものとして親しまれています。ピラティスは海外で人気に火が付いたものですが、日本でもピラティスの人気は高まってきています。
■ピラティスの歴史
教室などでヨガとピラティスが同じように捉えられていたり、両方を教えているクラスがあったりするため、ヨガとピラティスの違いなどがよくわからないと感じている方も多いかもしれません。ピラティスとヨガは、はじまりから本質まで異なるものなのでピラティスの歴史を簡単に紹介していきます。
ピラティスというエクササイズはジョセフ・ヒューベルトゥス・ピラティス氏によって考案されました。ピラティスは、開発者の名前が名称の由来となっているのです。ピラティス氏は自身が病弱だったこともあり、自分の身体をどのように鍛えていけるのかを研究し続けました。そのためピラティスは元々身体の弱い人ができるように考えられているため、激しい運動ができない状況の人でもおこなえるエクササイズとして人気があるのです。
またピラティス氏は、ボクシングやヨガ、体操や武術など様々な分野を試しながら研究を続けてきたので、ピラティスが身体に関係する様々な要素を取り入れた完成度の高いエクササイズということがわかります。そんなピラティスメソッドが活躍したのが第一次世界大戦中だったといわれています。
■ピラティスは負傷兵のリハビリに用いられている
ピラティス氏は第一次世界大戦の時に従軍看護師として働いていました。そこでピラティス氏は激しいトレーニングを行うことができない負傷した兵士たちのリハビリの一貫として彼のメソッド、ピラティスを提案しました。負傷した兵士たちは身体に負担をかけることができませんでしたが、ピラティス氏のメソッドは寝転んだままでエクササイズができました。またインナーマッスルを中心に鍛えていくピラティスのメソッドは怪我の回復を待つ間の体を自由に動かすことができなくストレスを抱えている兵士たちにもできるものが多くストレスを解消するとともに筋力を低下させず回復を早めるために役立ちました。
こうした数々の経験とデータによってピラティス氏のメソッドはさらに進化を遂げていくことになります。現在でも年齢ゆえに激しい運動ができなかったり、寝ている時間が長かったりする人はいると思います。そんな人たちはなるべく身体を動かして筋力をつけたほうが良いと言われても、その運動をする体力がないということがよくあると思います。そのような方はピラティスメソッドのマットピラティスなどを試してみるといいかもしれません。ピラティスを日常的に取り入れることで、限られた状況の中でも筋力を増やしていくことに繋がると思います。
■ピラティスが世界に
何故どのようにしてピラティスというエクササイズは世界で流行になっていったのでしょうか。ピラティス氏は1926年にはアメリカのニューヨークでスタジオを開き、自身のメソッドを広めるようになりました。有益で画期的なピラティスはたくさんの人から注目を集めましたが、その中でもニューヨークのショービズ界で活躍するダンサーやスポーツ選手などがストレス解消や自身のパフォーマンスをアップさせるために自分の生活の中にピラティスを取り入れるようになっていったのです。その結果彼のメソッドは広まっていき多くの若者たちにも受け入れられるエクササイズへと成長していきました。
ピラティス氏自身は1967年に亡くなりましたが、彼の残したピラティスというエクササイズはその後もセレブを中心に人気を保っていくことになります。アメリカのセレブ界で人気が出たものは少し時間を置いて日本にも輸入されるのが多いといわれていますが、ピラティスも例外ではなく近年日本でも運動不足解消としてやストレス解消として自分のライフスタイルにピラティスを取り入れる人が増えてきています。ピラティスは元々負傷兵のリハビリに使われていたものなので、様々な年齢、状況の人に適しているのが強みです。さらに通常の筋トレなどでは鍛えにくいインナーマッスルなどを中心に鍛えられるためアスリートにとっても効果的なトレーニングと認識されています。
■どれくらいの頻度でピラティスをおこなうのが良いか
忙しい生活の中でトレーニングを組み込んでいる人の中には毎日出社前に筋トレをしたりジョギングをしたりとかなりの頻度で運動をしている人がいます。このような話をきくと毎日出勤前や仕事後に運動をするのはちょっと無理かもと感じてしまう人もいるかもしれません。しかし、ピラティスはジョギングや筋トレなどに比べてハードに体を動かすものではないので、運動があまり好きではない人でも比較的、はじめやすいといわれています。もしこれからピラティスを始めようという方で、今までほとんど運動をしてこなかったという方は、週一回からでもいいのでピラティスを始めてみてはいかがでしょうか。
これまでほとんど運動をしていなかった人であれば週一回のピラティスでも体調の変化などを感じ取ることができるかもしれません。また誰かしっかり教えてくれる人が必要という場合はフィットネススタジオなどでピラティスのトレーナーをつけてやってみるのも良いかもしれません。慣れてきたらスタジオでやるのは週一回くらいにして、あと2~3回自宅で実践するのも良い方法かもしれません。
■ピラティスでストレス解消
ストレス解消のために運動をするという人は多いと思いますが、ピラティスもまたストレス解消のために有効なエクササイズだといわれています。その理由としてピラティスのトレーニングにおいては呼吸がとても大事な役割を果たします。呼吸を整えることが人間のメンタルにおいて大切といわれており、ピラティスをやることによって良い呼吸の仕方に繋がります。そのためピラティスはストレスの解消に役立つとも言われています。またピラティスはインナーマッスルを鍛えますので、身体のバランスが良くなりそれによって心身のコンディションが良い状態になることが期待できるようです。
日本よりもピラティスの文化が進んでいるアメリカなどではピラティスを筋力トレーニングとしてよりも、精神安定のための方法として取り上げているところもあるようです。身体を鍛えるだけでなく、気分もスッキリさせるためになにかエクササイズをしたいと考えているならピラティスを試してみてはいかがでしょうか。ピラティスは正しくて美しい姿勢を作るためにも効果的と言われています。呼吸や姿勢など人間の心身に重要と言われるポイントを正していけるピラティスはこれからもっと広まっていくに違いありません。
ピラティス氏がその生涯を終えてからすでに半世紀がたとうとしていますが、彼の残したメソッドはさらなる成長を遂げ多くの人に親しまれるようになっています。病弱だった彼と同じように、今自分の体調で悩んでいる人はたくさんいると思います。そうした悩みをお持ちの方は少しでもストレスからくる体調不良を解決すべくピラティスのエクササイズを定期的に生活に取り入れるのもいいかもしれません。ピラティスは怪我が治ったあとのリハビリや、妊婦の方がおこなうことができるものなので、気になった方は生活にピラティスを取り入れてみるのもいいでしょう。
記事 メンタルヘルスコンディショニング講座講師・佐々木幹
コメント
この記事へのトラックバックはありません。
なるほど!ヨガとピラティスは同じようなものだと思っていたけど、歴史とか全く違うものなんですね!知らなかったのでびっくりしました。通っているジムのスタジオレッスンの中にもピラティスがあるし、やってみようかな~。