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職場のメンタルヘルス
- 2019/1/24
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文部科学省は平成30年12月25日、平成29年度公立学校教職員の人事行政状況調査の結果を公表しました。精神疾患による病気休職者数は5,077人で、前年度(平成28年度)から186人増加しています。これは学校現場だけの問題ではなく、あらゆる産業が直面している職場が向き合うべき課題です。
職場のメンタルヘルス対策はできていますか | メンタルヘルス対策の進め方 | 4つのメンタルヘルスケアの推進 |
職場のメンタルヘルス対策はできていますか
精神疾患と診断される状態の人だけでなく、職場にはメンタルヘルス不調を抱える人も大勢いることが推察されます。「労働者の心の健康の保持増進のための指針」によれば、メンタルヘルス不調とは、「精神および行動の障害に分類される精神障害や自殺のみならず、ストレスや強い悩み、不安など、労働者の心身の健康、社会生活および生活の質に影響を与える可能性のある精神的および行動上の問題を幅広く含むものをいう」とされています。
メンタルヘルス対策の進め方
職場のメンタルヘルス対策策定や見直しは国の定める「労働者の心の健康の保持増進のための指針」に沿って進めていきます。形式だけ整えても、効果が上がらないことも予想されます。常にパフォーマンス(過程)とアウトカム(結果)を評価して改善を行い、産業医等と相談しながら見直しをしていくことが必要です。そのため、指針ではメンタルヘルスケアの進め方などを定めた「心の健康づくり計画」を作成することとしています。心の健康づくり計画のポイントは次の通りです。
- 方針表明:企業としてのメンタルヘルスケアに対する取り組み方針です。これは企業理念や経営方針と一致していないと、形だけのものになってしまいます。健康経営や組織開発の観点から考えると、社員を大切に考えていないような企業風土や経営方針が根付いている場合は、そもそもの企業理念や文化から見直しをしていくことも必要な場合があります。経営者自身が納得し、経営者の口から社員に向けてわかりやすく発信していくことが重要です。
- 目標:達成可能で計測可能な目標を立てます。計測不能な目標では、効果の評価ができません。また、実現不可能な高い目標を立てても効果が期待できないので、企業の実情に合わせてできることから対策していく必要があります。
- 年間の心の健康づくり計画:具体的な対策の実施計画を作っていきます。この場合も目標の実現に必要なことを効果的に組み込んでいきます。手当たり次第何かをするのではなく、何のためにするのかを意識していきます。
- 評価と改善:いつ、どのような指標で評価するのかを決めておきます。単年度では成果が出ない指標もあるので、長期的視点と短期的視点の双方が必要です。また、評価に基づいて改善を進める手順も定めておきます。計画評価改善に終わりはなく、継続するものだという認識が必要です。
また、衛生委員会等で十分審議を行い、次のような事項を心の健康づくり計画に盛り込むこととしています。
事業者がメンタルヘルスケアを積極的に推進する旨の表明に関すること
事業場における心の健康づくりの体制の整備に関すること
事業場における問題点の把握及びメンタルヘルスケアの実施に関すること
メンタルヘルスケアを行うために必要な人材の確保及び事業場外資源の活用に関すること 労働者の健康情報の保護に関すること
心の健康づくり計画の実施状況の評価及び計画の見直しに関すること
その他労働者の心の健康づくりに必要な措置に関すること
4つのメンタルヘルスケアの推進
メンタルヘルスケアでは、次に挙げる4つのメンタルヘルスケアを継続的かつ計画的に実施していきます。
セルフケア
心の健康づくりを推進するためには、労働者自身がストレスに気づき、これに対処するための知識、方法を身につけ、それを実施することが重要です。そのための対策をセルフケアと言います。
ストレスやメンタルヘルスに対する正しい理解
ストレスへの気づき
ストレスへの対処
研修例:
問題解決技法
アサーショントレーニング
認知再構成法
リラクゼーション法
ラインによるケア
管理監督者は、部下である労働者の状況を日常的に把握しており、また、個々の職場における具体的なストレス要因を把握し、その改善を図ることができる立場にあることから、職場環境等の把握と改善、労働者からの相談対応を行うことが必要です。管理監督者がこうした実務を担えるようにするのがラインによるケアです。
職場環境等の把握と改善
労働者からの相談対応
職場復帰における支援、など
研修例:
傾聴トレーニング
職場リーダーのセルフケア
マネジメントトレーニング
事業場内産業保健スタッフ等によるケア
事業場内産業保健スタッフ等は、セルフケア及びラインによるケアが効果的に実施されるよう、労働者及び管理監督者に対する支援を行うとともに、心の健康づくり計画に基づく具体的なメンタルヘルスケアの実施に関する企画立案、メンタルヘルスに関する個人の健康情報の取扱い、事業場外資源とのネットワークの形成やその窓口となること等、心の健康づくり計画の実施に当たり、中心的な役割を果たしていきます。このことを事業場内産業保健スタッフ等によるケアと言います。事業場内産業保健スタッフとは産業医、衛生管理者、保健師、心の健康づくり専門スタッフ、人事労務管理スタッフ等が指針で設定されています。また、産業医等の助言、指導等を得ながら事業場のメンタルヘルスケアの推進の実務を担当する事業場内メンタルヘルス推進担当者を、事業場内産業保健スタッフ等の中から選任するよう努めることとされています。事業場内メンタルヘルス推進担当者としては、衛生管理者等や常勤の保健師等から選任することが望ましい、ただし、労働者について解雇、昇進又は異動に関して直接の権限を持つ人事権を有する者を選任することは適当でないこと、ストレスチェック制度においても、ストレスチェックを受ける労働者について人事権を有する者は、ストレスチェックの実施の事務に従事してはならないなどとされていますので、選任の際には注意が必要です。
具体的なメンタルヘルスケアの実施に関する企画立案
個人の健康情報の取扱い
事業場外資源とのネットワークの形成やその窓口
職場復帰における支援、など
事業場外資源によるケア
メンタルヘルスケアを行う上では、事業場が抱える問題や求めるサービスに応じて、 メンタルヘルスケアに関し専門的な知識を有する各種の事業場外資源の支援を活用することが有効です。また、労働者が事業場内での相談等を望まないような場合にも、事業場外資源を活用する必要が出てきます。こうした取り組みを事業場外資源によるケアと言います。事業場外資源の活用にあたっては、必要に応じて労働者を速やかに事業場外の医療機関及び地域保健機関に紹介するためのネットワークを日頃から形成しておくことが大切です。小規模事業場においては、事業場内産業保健スタッフを確保できないことも多く、必要に応じて産業保健総合支援センターの地域窓口(地域産業保健センター)等を積極的に利用することも効果的です。
情報提供や助言を受けるなど、サービスの活用
ネットワークの形成
職場復帰における支援、など
『参考資料・サイト』
・文部科学省 平成29年度公立学校教職員の人事行政状況調査
・厚生労働省 労働者の心の健康の保持増進のための指針 改正 平成27年11月30日 健康保持増進のための指針公示第6号
・厚生労働省 職場における心の健康づくり〜労働者の心の健康の保持増進のための指針〜
・中央労働災害防止協会 事業場内メンタルヘルス推進担当者 テキスト
記事 メンタルヘルスコンディショナー・白石真樹
コメント
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わたしの友人にも仕事でうつ病をに患った人が何人かいます。この記事の中に書いてあるようなケアが職場の中で行われていれば、もっとつらい思いをする友人も減ったかなと考えました。
仕事でストレスを感じている人は多いと思うので、どんな会社規模でもどんな職種でもこういったメンタルヘルス対策がされていくと良いなと思います。
こずえさん
投稿ありがとうございます。
こずえさんがおっしゃるように、ケアが職場で行われていたら「うつ」に苦しむ方は確実に減ってくると思います。
ただ経験上、職場でのうつはパワハラが絡んでいる場合が多いので、メンタルヘルスを推進する人の選定を誤れば、形だけのケアになると思います。
1番問題なのは一人で悩むことなので、一人にさせないケアを職場で心掛けてもらえることが大切だと思います。