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PMSとは
- 2017/9/21
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生理になると腹痛やイライラ、経血などのあらゆる辛さが伴います。痛さや辛さなどには個人差があるので、まれに症状がかなり軽い人もいるようですが、これらの悩みは多くの人が生理期間に入ると抱える悩みでしょう。生理期間には、動けなくなるほどの痛みから、人間関係に支障をきたしてしまったり、イライラが募ることでの仕事におけるミスをしてしまったり、重要な問題に発展してしまうことも少なくありません。そんな生理症状とうまく付き合う上で、PMSは知っておいて損のない存在です。症状は知っているけどPMSという言葉は知らないという人もいるかと思います。今回こちらでは、PMSについてご紹介していきます。
■PMSについて
PMSとは、「Premenstrual Syndrome」の略称です。日本語では月経前症候群と呼ばれており、いわゆる生理前の諸症状を指す言葉です。あくまで生理前の症状であるため、生理中の期間は含まれません。PMSの基準としては、生理前約2週間に起こる症状とされています。症状の幅は広く、痛みや張りから精神的なもの、さらには肌トラブルまでもが含まれます。以下に、具体例を紹介していきます。
PMSの主な症状としては、乳房の張り・むくみ・眠気・不眠・便秘・下痢・頭痛・吐き気・にきび・食欲増進といった身体的な症状と、イライラ・集中力低下・憂うつな気分・興奮・不安感・無気力・人を避けたくなる・ミスが増えるなどの心の症状の2種類に分類されます。軽度のものから重い症状まで幅広いのが特徴ですが、いずれも不快な気分にさせる要因となるため軽視できません。
また、中でも多くの女性が体感しているPMS症状として、イライラが挙げられます。大手生理用品メーカーのアンケートにおいても、その他多くの諸症状に比べ悩んでいる人が多いという結果が出されています。「会社や学校を休むほどの症状でもないけど、イライラが抑えられなくて、人間関係や集中力に影響してしまう。」そんな微妙な状態だけに、困った経験がある人も多いと思います。他のPMS症状として回答数の多かった症状としては、腹痛・下腹部痛、頭痛・頭が重い、眠気、胸の痛みや張りといった症状があったようです。
■PMSを知ることのメリット
生理時に起こる諸症状の総称なのであれば、わざわざPMSと呼ぶ必要はないようにも思えますが、総称としてPMSと呼ぶことによって認識が高まりやすくなり、予測や対策がおこないやすくなります。またPMSの症状にはどのようなものがあるのか、そしてどのタイミングで起こる可能性が高いかなどが分かっていれば、心の準備やスケジュールの立て方も変わってきます。またケア用品までしっかり用意できていれば、同じPMS症状でもより楽に乗り切れるかもしれません。
予測の方法としては、生理日予測への活用に効果的な基礎体温の計測が有効です。黄体期の特徴である高温相と、その他低温相のバイオリズムを測ることにより、ある程度の生理日が予測できます。生理日の予想ができれば、その日以前2週間をPMS予定期間と考えてください。また基準として、黄体期にあたる期間こそがPMSの起こりやすいタイミングといわれています。この方法や傾向を利用して、対策や準備が可能となるのです。
■なぜPMSが起こるのか
厳密な原理としては、まだ解明されていないのが現状です。そのため漠然と黄体期に起こりやすい症状として、認識しておくと良いでしょう。しかし、黄体期に起こりやすいという傾向からいくつかの原因要素を挙げることは可能です。PMSが起こると考えられる要素は、主に3つです。
まずひとつに、プロゲステロンこと黄体ホルモンの影響です。黄体期特有のこのホルモンが脳内物質や水分代謝に影響することで、体に不調を及ぼしているという考え方です。
次に、脳内物質のひとつであるセロトニンの低下が挙げられます。これは数ある物質の中でも、喜びを感じる脳内物質であるといわれています。排卵日を経て、卵胞ホルモンが減少すると、セロトニン値も急激に低下します。これにより、ネガティブな感覚に陥りやすくなり、PMS特有の精神症状が起こるのではとされています。
最後に、栄養面に関する原因です。PMSになった人は、平均してビタミンやミネラルが欠乏しているそうです。このことから、何らかの理由でこれら栄養素が低下することで症状に繋がっているのではとも考えられているのです。この点に関しては、医療知識がなくても普段の生活から対策することも可能です。前述の基礎体温による予測と照らし合わせながら、食事やサプリメント摂取を意識してみるいいかもしれません。
■PMSの発症は年齢によって異なる
女性なら避けることのできない現象である生理ですが、体のバランスをとっていくには必要なことです。年齢を重ねれば終わりを迎えるときがやってきます。PMSもまた年齢に応じて発症度合いが変化する傾向にあります。毎月の体調のみならず、年齢を考えながらの長い視野における対策もまた、有効といえるでしょう。
まず、子供時代にはほとんど見られません。初潮を迎えていないため、生理に関する体調の変化がまだ起こっていないのです。とはいえ、思春期を経て生理が始まると、成人以前でもPMSは起こり始めます。PMSのピーク時期ではないですが、心と体の変化になかなかついていけないこともあるでしょう。可能であれば、周囲の大人もしっかりサポートしてあげることも時には必要かもしれません。
ピークを迎えるのは、20歳~40歳の性成熟期における、女性ホルモンが多く分泌される期間です。女性の体は妊娠や出産に備えて活発に機能しているため、それと同時にPMSも重くなりやすいのです。
PMS症状の停滞が始まるのは、40歳以降のいわゆる更年期と呼ばれるタイミングからです。女性機能は閉経を迎えるため、生理そのものがなくなります。PMSは月経前症候群と呼ばれる通り、生理があるからこその症状であるため、閉経に伴い一気に収まっていきます。老年期ともなれば、PMSの心配はほとんどなくなります。
このように、年齢によってPMSの見られ方は大きく違ってきます。特に思春期から性成熟期に入り突然症状が重くなるタイミングは、注意が必要といわれています。突然の辛さに、混乱してしまいやすいためです。あらかじめ理解しておく、もしくは周囲がサポートするなどして、トラブルを回避しましょう。
■PMSを少しでも軽くしたいなら
女性特有の症状であるPMSは、女性に生まれた以上仕方のないものであると受け入れている人も多いかもしれません。生理は避けられない現象ですから、それも間違ってはいないでしょう。しかし、PMSを強くする要因を知れば、できるだけ軽くすることは可能です。
主な要因としては、緊張やストレスのかかりやすい環境、繊細さや几帳面さが特徴的な性格、バランスの悪い食生活などが挙げられます。精神やホルモンのバランスを乱す原因となるため、女性ホルモンが影響しているPMSも強まりやすいのです。そのためこれらの要因の改善をおこなうと、人によってはある程度軽くすることができます。しかし、日々生活していく中では仕事や家庭事情で難しい人もいると思います。そんな方は、ファッションや香水、気分転換などで切り替えをするといいでしょう。
PMSでは数々の不調が伴いますが、女性として生きる上で大事な存在です。辛い、苦しいといった症状もありますが、体内では妊娠や出産準備をしています。そのため、PMSや生理痛などをネガティブにとらえずに、工夫を凝らしながら上手に付き合うことが理想的です。
記事 メンタルヘルスコンディショニング講座講師・佐々木幹
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