モラハラに悩んだら

モラハラは「心の殺人」とも呼ばれ、被害者から尊厳や感情を奪ってしまう非常に恐ろしい行為です。ささいなことで突然の叱責をされたり、何でも自分の責任にされたり、精神的ストレスが重なることで、思考する力を失い、自分自身に問題があるのではないか、相手は自分を思って苦言を呈しているのではないだろうか、小さなことにも気を使い、恐怖におびえるようになってしまうという特徴があります。またモラハラは身体的暴力であるDVとは異なり、目に見えないため、被害者だけではなく周囲の人も気付きにくいところがあります。モラハラをする人の特徴や、モラハラを受けたときにはどこに相談すべきかについてご紹介していきます。

モラハラとは何か

モラルハラスメント、通称モラハラは、倫理的、道徳的に相手を中傷する行為をいいます。「どうせ言ってもわからない」、「そんなこともできないのか」、「おまえのせいだ」などの発言は、相手の性格や能力のすべてを否定していきます。モラハラを行う加害者は外面がいい人物も多く、叱責される責任をすべて被害者に押し付けることが特徴です。ときには人前で馬鹿にし、からかうこともあり、周りの人間をまき込んでいくことも少なくありません。モラハラは継続的に行われることの多い反面、被害者だけではなく、加害者さえも無意識に行っている場合があります。

モラハラの被害にあうのは、もともと争いを好まず、「私が悪いことをしたかもしれない」と罪悪感を持ちやすい人が多い傾向があります。そのようなでない場合もモラハラを受け続ける中で異論を唱えれば、さらに事態が悪化し収拾がつかなくなるために、結局萎縮して相手の言いなりになってしまうのです。

モラハラは親密な関係の中で行われることが多く、家庭内で行われるモラハラは離婚原因の一つとなっています。一昔前までは、「誰のおかげで飯が食えると思ってるんだ!」など、夫から妻への精神的中傷が多い傾向がありました。昨今では、モラハラ妻も増加し、必ずしも妻だけが被害者とは限らないようです。家庭内は、閉鎖的な空間で、容易に関係を絶つことができません。DVと違って目立つ外傷もなく、外部から介入しづらいため、モラハラは極めてわかりにくい暴力なのです。モラハラを受け続けると、不眠や頭痛、腰痛、うつ病などの機能障害が心身に現れていきます。不安や緊張が続き、我慢するストレスを抱え続けることには、大きな負担となり、体にも影響が出るのです。モラハラの被害は加害者といる時間だけでなく、PTSD(心的外傷後ストレス障害)となって、精神的苦痛を思い出すことで、長期的に混乱、トラウマに苦しむというケースもあります。モラハラは被害者だけでなく、子供の心身の健康的な成長にも悪影響を与えます。モラハラの中には直接の発言はせず、緊張状態の中で相手に圧力をかける、サイレントモラと呼ばれるものもあります。サイレントモラとは、相手に要求をくみ取るように仕向ける強迫性のモラハラです。サイレントモラの特徴は、無視する、溜息や物音、視線、しぐさ、咳払い、などをうまく使い相手が被害妄想だと思うように仕向けます。そのため、サイレントモラはさらに発見が難しく、「このくらいは耐えなければいけない」と我慢してしまうことも多いのです。

モラハラを行う人の特徴

モラハラを行う人の特徴を具体的に挙げていきます。

1. プライドが高く見栄っ張りで相手によって態度を使い分ける
モラハラを行う人は、外での振る舞いと、家庭での振る舞いが異なる極端な2面性を持っている人も多い傾向があります。「仕事ができる人」「優秀な人」「優しい人」のように、外では人格的に優れた、能力が長けている人として称賛されることを極度に願っているために周囲からは「いい人」と言われていることがモラハラの難しい点です。このような人物の中には、実はプライドが高く、見栄っ張りな性質があり、とにかく自分が正しいと思いたいために、勝ち負けに執着することが多く、自分の都合で物事を考える癖がついているようです。対等かそれ以上と思える相手に対しては問題なくふるまう一方、自分より下と思った相手に対しては抑圧し、支配しようとします。

モラハラを行うときには、「相手が悪いからこうなっている」と責任転嫁をします。些細な問題をみつけ、「どんな育ち方をしたんだ」「人格的に大きな欠陥があるのではないか」など相手が存在や生き方自体を否定し続けます。黙っていても、発言しても、どちらの場合でも否定がやむことはありません。そこに一貫性はなく、自尊心を高めるために、まるで武器のように言葉や態度を使いわけ、攻撃的なコミュニケーションを繰り返すのです。

2. いつも攻撃的なわけではない
モラハラを行う人でもいつも緊張状態を与えるわけではなく、穏やかな時もある場合があります。自分だけがターゲットに対し正統な評価をしている、ターゲットのことを考えて行動しているということもモラハラの特徴の一つです。相手の服従心が強くなるように仕向けているのかもしれません。感情的になって、相手を中傷しているように見えて、実は理性的で常に自分の不利な状態にならないように考えていることも多いです。身体的な外傷を作らないため攻撃の確証を得られず、モラハラの被害者、加害者ともに自覚がない場合もあります。いくつもの言葉攻めを考え、相手を罵倒し、精神的ダメージを与えているのです。大声ではなく、静かに、淡々と攻撃してくるケースもあります。このように理性で緊張状態と穏やかさを使い分け、相手をコントロールしようとするのです。

3.育った環境による防衛本能がある
皮肉にもモラハラを行う人の中には、自身もモラハラ受けて育った人が多い傾向があります。そのため実は自己評価が低く、自分が正しいと思いたい防衛反応が強いために、人を否定することで自分の優位性を保ち、自信を持とうとするのではないかといわれています。ありのままの自分でいられず劣等感や嫉妬心が強いために、自分を保つことに支配されている結果がモラハラであり、モラハラ加害者にも治療やカウンセリングが必要な場合も少なくありません。

モラハラをされたらどこに相談すべき?


人には尊厳を持ち、穏やかに安心して暮らせる場所が必要です。「自分に悪いところがあるから、責められる」と罪悪感を持つこと、「モラハラも愛情の一つ」と感じる必要などありません。秘密を厳守した上で、無料でモラハラ相談ができる窓口がありますので、まずは相談してみて下さい。電話相談だけでなく、面談でも対応が可能です。
何かがおかしいと感じたときには外部の人に話すことが有効です。状況から抜け出すこと、考え直すことは悪いことでなく、あなたにはその権利があるのです。
全国で相談できる機関をいくかご紹介します。

1.配偶者暴力相談支援センター
配偶者暴力相談支援センターでは、カウンセリングや相談機関の紹介を行っており、電話予約をして利用することができます。モラハラ被害を受けている夫の立場でも利用できる、支援窓口です。配偶者暴力防止法に基づいて、一時的な保護や居住先の情報提供、援助を行っています。

2.婦人相談所や女性センター
婦人相談所や女性センターは、女性の保護を含めたモラハラやDVへの施策を行っているため、ぜひ利用してみてください。

婦人相談所では、未成年、未婚、既婚を問わず、女性の抱える相談を受け付けています。女性センターでは、社会で活躍するための自立支援相談や情報提供、弁護士相談を行っています。将来の相談や、面談でモラハラについて詳しく話したい場合は予約が必要です。また、女性センターでは、NPO団体や大学教員による、女性が社会で活躍するための講座受講もできます。

モラハラを受けている場合にはまず、行為者と物理的に距離を置くことが大切です。距離を置くことが出来たら次にはカウンセリングなどを受けてみるようにしましょう。自尊感情を傷つけられること、否定されてきたことは想像以上に自分の心に大きなダメージを残しています。PTSDなどその後に精神不安になることもあります。虚無感が襲ってくること、踏みにじられてきた屈辱や怒りなどが芽生えることもあるかもしれません。また加害者から離れても、ストーキング等付きまといを行ってくるケースでは、警察や、裁判所で接近を法的に禁止することも有効です。法テラスには国の法手続きに関する相談窓口があります。無料相談ができる他、モラハラに強い弁護士など、法律の専門家を紹介してもらえます。

日本で急激に認知度が高まってきたモラハラは、未だに被害者が無自覚で過ごしているケースが大変多いのが現状です。継続的に精神的な暴力を受けることは被害者の精神をはじめ、あなたの周りの大切な人や家族を不安にさせ、悪影響を及ぼします。モラハラをする人も、もとは被害者であった可能性が高く、対処を行うことでいい方向へと繋がります。加害者から離れて、新しい生き方をすることは可能なのです。

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