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性同一性障害とは
- 2017/9/22
- メンタルヘルス 心の症状
- コメント:1件
性同一性障害については詳しく知らないが、聞いたことがあるという方も多いのではないのでしょうか。性同一性障害は身体的な症状よりも、精神的な部分で性別に関して悩める現象です。今回こちらでは性同一性障害についてご紹介していきます。
性同一性障害とはなにか
性同一性障害は、自らの性別に不一致感を伴うものです。例えば、体が男性にも関わらず本当は女性なのだろうと考える事、逆に自分の体は女性なのに、本当は男性なんだと確信してしまう現象です。現状、ジェンダーレスなどの言葉もよく耳にする機会が増え性同一性障害に対しての認識が少しずつですが、深まってきています。しかし、一般的に多くの人々が性同一性障害にたいしての認識があるわけではないようなので、そこで悩みを抱えてしまう方も少なくないようです。また性同一性障害に対して診断したり治療をしたりと、対応できる病院も少しはあるようです。
一般的に、性別は男性と女性の二つに分かれていると考えられます。ですが、実際には性別において、生物学における性別と、自分の性別に対する認識という二つの観点があります。自身の性別に対する認識をジェンダー・アイデンティティと言われ、ほとんどの場合に、生物学的な性別とジェンダー・アイデンティティは一致しているものです。中には生物的な性別とジェンダー・アイデンティティが一致していない場合があり、その状態のことを性同一性障害と呼んでいます。そのため性同一性障害の定義としては、生物学的な性別に対して、ジェンダー・アイデンティティが一致しない状態と言われています。
ジェンダーという言葉ですが、これには大きく分けて3つの意味があります。一つが生物学的な性別を意味しているものです。機能、あるいは形態より区別できる性別の事を、生物学においてはジェンダーと言われるのです。次に社会的や文化的に生まれている性差について使われます。例えば、社会では男性が優位であるような風習がある性差についても、ジェンダーと言われる事があるのです。そしてもう一つが自身の性別に対する認識についてです。自分が男あるいは女である、そして男あるいは女として生きていくことを認識する意味合いで使われます。
性同一性障害による症状
性同一性障害による症状は様々です。一つの傾向として自分の性別に対して嫌悪感を抱いたり、忌避したりするような事をあげることができます。例えば、自分の性器が本当は間違っているのだ、大人になれば逆の性器を持つかもしれない、といったように主張される事もあれば、性器が自分にはなかったら良かったと考えられる事もあります。人間は体が成長し、成人を迎える頃には出来上がってきます。男性では喉仏が出てきたり、筋肉が張ってきたり、声変わりや陰茎が大きくなったりするなどの変化があります。対して女性は、月経が起こったり乳房が膨らんだり、体つきにやや丸みが見られるたりします。このような体の変化に対して、性同一性障害の人は嫌悪感を強く抱くようになるのです。そして、その嫌悪感から、体毛を剃ったり、乳房を隠したりするような行動に出る傾向があるようです。
また性同一性障害の人は自らのジェンダー・アイデンティティと同じ人に対して、同一感を抱く傾向があるようです。自分自身を生物的にもジェンダー・アイデンティティに合わせていきたいと考え、自分のジェンダー・アイデンティティにあわせた服装をするようになったり、行動などもジェンダー・アイデンティティに合わせた動きをしたりするような傾向があるようです。その理由としては、ジェンダー・アイデンティティに沿った生活をしていく事で、しっくりとした感覚を抱くからといわれています。
性同一性障害に似た症状
性同一性障害は、同性を性愛の対象として選ぶ同性愛と混同される事があります。ただこれらは似ているようで違う現象なのです。性同一性障害はあくまで、自分自身の性別に対するジェンダー・アイデンティティによる現象です。なので、同性愛の人は同性を性の対象としてみるのに対して、性同一性障害の人は異性愛、同性愛、両性愛など、様々なケースがあります。
また、服装倒錯症と言われる異性の服装を身につける現象についても、性同一性障害とは異なります。異性の服装を身にまとっているからといって、必ずしも性同一性障害とは限らないのです。昔から、反対の性別の服装を好む人たちはおり、一般的には異性装と言われています。学術的に服装倒錯症と呼ばれるようになったのは20世紀の始め頃で、それから性的快感を得る目的に異性装をしたり、生物学的な性別と反対のジェンダー・アイデンティティを持つ人が反対の服装をしたりする事が分かってきたといわれています。
性同一性障害の人は性的な快感を求める目的に限らず、ジェンダー・アイデンティティに沿っている服装をするよう希望しているために、異性装をするのです。そのため、服装倒錯症とは違いますし、同性愛という考えも性同一性障害の人に対して当てはまらないといえるでしょう。
性同一性障害は治療できる?
性同一性障害の人を対象に診察をしている病院はあります。一般的には三段階で診察を進めていき、精神療法、内分泌療法、外科的治療がされていきます。仮に外科的治療に進んだ場合に関しましても、精神療法と内分泌療法は継続的に行われていきます。
精神療法では、いわばカウンセリングのような形で治療がおこなわれます。性同一性障害を理由にこれまで受けてきた精神的や社会的苦痛を聞いた上で、どちらの生物で暮らしていくのがふさわしいか選択の援助をするのです。さらに、選ばれた性別で生活していく事において支援を行っていくのも、精神療法の中に含まれています。
内分泌療法は精神療法を十分におこなっても、ジェンダー・アイデンティティの不一致感が拭えない事に加え、身体的な特徴をジェンダー・アイデンティティに合わせたいと希望される場合に、内分泌療法が取り入れられます。内分泌療法は言い換えるならばホルモン療法で、希望する性別の身体的な特徴に近づけるため、治療薬を投与していきます。ただ、この治療を受けるにはいくつかの条件があります。選んだ性別に対して持続的かつ適合感がある上、治療を第二段階に移行するために必要な条件が満たされている事です。他にも、身体的な部分で内分泌療法による支障をきたしてしまわない事、副作用や効果の限界の説明を聞いた上で同意する事など様々です。
外科的療法では外性器などに外科的に治療を行い、希望する性別に近づけていく事が行われます。反対の性別に近づけるように治療をしていく事を性別適合手術といい、男女で手が加えられる内容は違います。男性の体から女性の体へ近づける場合、精巣を摘出したり、陰茎を切除したりし、さらに造膣術や外陰部を形成する手術がされます。対して女性から男性へ近づける事で手術をする場合、卵巣や子宮の摘出、尿道を延長したり膣の閉鎖をするほか、陰茎を形成したりする手術がされます。外科的療法も内分泌療法同様に、十分に精神療法と内分泌療法が行われていることや、それらの治療を十分にしても性別の不一致に悩んでいたりすること、選んだ性別だと社会的な家庭にある問題が解決出来ること、などのいくつかの条件を満たしている必要があります。
性同一性障害は、名称を知っている人はいても詳しく知っている人はまだまだ少ないです。ドラマや本、マンガなどの分野でも性同一性障害をテーマにしたものがありますので、もっと性同一性障害に対しての理解を深めたい方は手に取って理解を深めてみてはいかがでしょうか。
記事 メンタルヘルスコンディショニング講座講師・佐々木幹
コメント
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以前友達の元カレが、恋愛対象は女だけど自分が男であることが気持ち悪いと言い始め、女装するようになったと言っていて、女になりたいのに女と付き合うの?と当時は全く理解できなかったのですが、同性愛などと混合して考えていたということが分かりました。性同一性障害の中にもいろんな恋愛への対象があるんですね。勉強になりました。