ストレスは万病のもとであるという言葉を聞いたことがあるでしょうか。
日々受けるストレスは知らず知らずのうちに私たちの身体をむしばんでいるといわれています。日々の生活の中で私たちは多くのストレスを抱えて生きています。人間関係のトラブルに加え、睡眠不足や働きすぎ、ビジネスや付き合いの席でお酒を飲みすぎることもあるかもしれません。現代社会を生きる上でストレスのない穏やかな生活を送ることはとても難しいことです。
人によってはストレスが溜まっているに自覚のない方も多くいらっしゃいます。ストレスは自覚がないから問題がないわけではなく、無自覚のうちに身体に大きな負担をかけている場合もあります。自分にとって今どれくらいストレスがあるのか判別が難しいこともストレスケアの大きな問題です。同じ問題が生じた場合においても人それぞれストレスを感じる度合いは大きく異なります。積み重なったストレスにどのように対処するかも人によって大きく違いますので、自分にあったストレスケアを見つけることが大切です。
ストレスケアを始める前に、ストレスがたまるとどのような不具合があるのでしょうか。こちらのページでは、積み重なったストレスの認識方法、手軽にできるストレスケアなどについてご紹介していきます。
ストレスってなに?
溜めすぎてしまうと心や身体の色々なところに支障をきたすストレス。「ストレス」とはいったい何なのでしょうか。「ストレス」とは物理学の用語から由来する言葉であり、「物体に圧力を加えることで生じるゆがみ」、「楽しい、楽しくないに関わらず、心と体に受けるあらゆる刺激のこと」をいいます。「ストレス=悪いもの」という認識を持っている方も多くいらっしゃいますが、つらい仕事や楽しい食事もすべてストレスであるといえます。刺激のない日々は何も変わらない退屈な状態であり、ストレス自体は決して悪いものではなく、生きていく上で必要な刺激となっています。しかし、一方で刺激が強すぎること、大きな刺激が長く続くことは人間の身体にとって強い不快感や圧迫感、嫌悪感に繋がっていきます。この状態はいわゆる「良くないストレス」であり、適切なストレスケアが必要です。
ストレスケアをする前に
ストレスケアをする前に自分が今どのくらいのストレスにさらされているのかを調べてみることをおすすめいたします。最近では雑誌やウェブサイト、携帯アプリなどで様々なストレス診断が掲載されています。ストレス診断については簡単な質問に答えていくものや脈拍を図っていくものなど形式も様々です。厚生労働省のホームページでも、様々なチェックが掲載されていますので、行ってみるとよいでしょう。ストレスケアの第一歩は、自身がどの程度のストレスを抱えているのか気づくことであるといわれています。ストレスケア診断だけでなく、「最近イライラすることが多くなった」や「なかなか寝付けない」「感情のコントロールがうまくいかない」などということもストレスによる心のサインです。不調のサインを見逃さないようにしていきましょう。
ストレスケアのやり方
自分の抱えているストレスに気付けるようになったら、いよいよストレスケアの手法について学んでいきましょう。ストレスケアにはどのようなものがあるのでしょうか。代表的なものをいくつかご紹介していきます。
感じ方を変える努力をする
同一のストレスを受けた場合においても人により受けるダメージは大きく異なります。ストレスによるダメージを受けやすい方の中には物事を背負い込みやすい、起きた問題について深く考えすぎでしまい、悲観的に捉えがちであるなどの傾向があります。ストレスによるダメージは物事の捉え方によって大きく異なります。あまり深刻になり過ぎないようにすること、自分の価値観だけで物事を判断しないことが大切です。悩みごとの紙に書いて客観的な視点を持つ、職場以外の人間関係を作るなど意識して捉え方を変えてみるとよいでしょう。
睡眠環境の改善
眠るということは、1日働いた脳をゆっくり休ませるための行為となり、ストレスケアに効果的な項目となります。理想の睡眠時間は6~8時間であるといわれています。睡眠不足により脳に疲労がたまると「判断を間違える」、「感情のコントロールがうまくいかない」、「気力や注意が散漫になる」などの傾向になりやすくなります。また睡眠不足により自律神経やホルモンのバランスが崩れることで身体の不調にもつながる場合があります。理想的な睡眠をとるためには、午前中の太陽の光を浴びる習慣をつける、日中に適度の運動を行う、寝る前の時間には穏やかに過ごすことを心がけるようにしていきましょう。
食生活の改善
食生活はストレスケアに無関係なのではという方もいらっしゃるかもしれませんが、食生活は健康なこころを作るために重要な項目です。ストレスケアに有効な食材としては野菜や豆類・乳製品などのたんぱく質となり、カルシウム、ビタミン、ミネラルなどの栄養素を適切に摂取することでこころを安定し、集中力や記憶力を高めることができるといわれています。また、油分や糖分などは過度に摂取しすぎることでイライラしやすくなる傾向があるようです。食事の量についてもストレスケアには重要な項目となります。食べ過ぎた次の日は、量を減らしたり、軽めのものにしたりと調整して、バランスよい食生活を心がけましょう。
一人で解決できないストレスを正しく認識する
ストレスケアの中で大切なのはすべて自分だけで解決しようとしないことです。特に不安や恐怖感、心拍数の上昇や血圧の異常を引き起こすストレスについてはセルフケアの難しいストレスであるといえます。このような場合には専門の機関による診断を受けてみるとよいでしょう。ストレスケアの方法として周囲の協力を得ながら解決する方法を学ぶことはかしこいストレスケアであるといえるでしょう。
ストレスケアと自律神経
ストレスケアをするために知っておきたいこととして、「自律神経との関係性」があります。
自律神経 とは人が生きていくために必要な器官である、心身の機能やバランスを調節してくれる神経となります。自律神経は大きく分けると交感神経と副交感神経があります。
ストレスを強く感じると、自分自身を守るために交感神経が異常に働き、副交感神経の働きが大幅に低下するといわれています。ストレスにより体の機能をコントロールしている自律神経が乱れてしまいます。自律神経は、身体のバランスを保つ非常に重要な器官となりますので、自律神経が乱れることによって体調不良や、自律神経失調症、うつなど深刻な問題につながる場合があります。それを防ぐためにも、日ごろから適切なストレスケアを行い、自律神経のバランスを整えてあげることが必要です。
ストレスは必ずしも悪いものではなく、ストレスによるダメージを軽減するには適切なストレスケアを行っていくことが大切です。ストレスケアというとカラオケやショッピング、美味しい食事を食べることというイメージもありますが、普段の生活の中に行うことのできるストレスケアを身につけることが大切です。自分に合ったストレスケアは現代社会を生きる上で重要なスキルの1つです。溜まったストレスを自分で上手にケアすることができれば不快感を悩まされる時間も短くなります。ストレスケアにより、生きやすい世の中を実現することが可能です。充実した楽しい人生を送るためにも、自分なりのストレスケア方法を今一度見直してみてはいかがでしょうか。
記事 メンタルヘルスコンディショニング講座講師・佐々木幹
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