メンタルヘルスを語るうえで、自律神経の話は欠かすことができません。「メンタルヘルスについても自律神経についてもなんとなくわかるけど、実際はよくわからない」「メンタルヘルスと自律神経の関係についてもなんとなく理解しているけど、きちんと説明できない」という方も多いかもしれません。そのような方によりメンタルヘルスと自律神経の知識を深めていただくために今回は、メンタルヘルスと自律神経についてご紹介していきます。
自律神経とは | メンタルヘルスとは | 2つの関係性 | 健康への具体策 |
自律神経とは
自律神経とは「交感神経」と「副交感神経」という機能からなる神経で、自己の意志とは関係なく24時間働き、循環器や呼吸器などの私たちの体調などを整えてくれる神経です。また体のバランスが良い状態を保つための神経とも言われています。「交感神経」は心臓の動きや呼吸を早めたり、血圧を上昇させたりして体の中の働きを活発にしてくれます。「副交感神経」は「交感神経」とは逆に心臓の動きや呼吸が穏やかにしてくれたり、血圧を下げたり体の中の働きを緩やかにしてくれ、体をリラックスした状態にしてくれます。
私たちが生活を送る中で運動したり、仕事をしたり活発に活動するときには「交感神経」が強く働き、休憩しているときや、寝ているときなどリラックスして体を休めているときなどは「副交感神経」が強く働いています。
そのため、「交感神経」と「副交感神経」がバランスよく私たちの体の中で働いているときは、体調も良く元気な状態を保つことができます。しかし、「交感神経」と「副交感神経」の働きのバランスが崩れると、体調もすぐれず元気がなかなかでにくい状況へと体が変化していきます。自律神経のバランスが乱れることによって体に不調が起きやすいと言われている症状としては、「自律神経失調症」や「神経性胃炎」、「更年期障害」などがあります。
メンタルヘルスとは
メンタルヘルスと聞いて馴染みのない方は、あまり自分と関係ないワードだなと感じてしまう方もいらっしゃるかもしれません。メンタルヘルスとはココロ、精神面の健康のことを指すワードで、メンタルヘルスはココロに精神的な病気を抱えてしまった人だけに関係するワードではありません。メンタルヘルスは心の健康を指すので、私たちが普段生活している中で受けるストレスなどにより心のバランスを崩してしまったときにも、メンタルヘルスは大きくかかわってきます。ストレス社会といわれる現代では、メンタルヘルスというワードは誰にでも関係する言葉であるといえます。また日常生活の中で受けている小さなストレスに加え、突然大きなストレスが現れた場合など、そのストレスとどうかかわっていくかということもメンタルヘルスを考える上で必要なことです。
ストレスは防ぐことができるものと防ぐことができないものがあるかと思います。防ぎきれないようなストレスに悩まされた時でも、ポジティブな気持ちをキープしたり、心が健やかに過ごせる状態に戻したりするために、ストレスのメカニズムについて事前に知っておくことはとても大切な予防といえます。また本サイトの「メンタルヘルスリンク集」なども参考にしていただき、1人で悩むのではなく厚生労働省のみんなのメンタルヘルスやあかるい職場応援団などに相談するなど、さまざまな解決方法があります。その他、ストレスチェックを定期的にやったり、メンタルヘルスの相談窓口を設置したり、社員のメンタルヘルスに積極的に支援を行う企業も増えています。
自律神経とメンタルヘルスの関係
自律神経は体のバランスを整えるための神経なので、自律神経の動きが乱れると、体調がすぐれない状態になりやすいと言われています。また体の働きと心の働きは繋がっていますので、体の状態が好調だと心も健やかで元気な状態になりやすいです。その逆で強いストレスを受けるなどして精神的に疲れを感じたり心のバランスを崩したりすると、自律神経の乱れに繋がり、それがキッカケや原因となり体調を崩してしまうことがあります。
このようなことから自律神経のバランスを整えることが、メンタルヘルスの健全さを保ち、心の健康へと繋がっていくと考えられています。そのため、メンタルヘルスを語るうえで自律神経の話はさけることはできず、メンタルヘルスと自律神経は切っても切れない関係性にあるともいえます。メンタルヘルスのことを理解していく上で自律神経の働きや繋がりなどを知っておくことは非常に重要となります。
自律神経を整えてメンタルヘルス向上へ
これまで「自律神経」や「メンタルヘルス」「自律神経とメンタルヘルスの関係」についてご紹介してきました。もしストレスなどで自律神経が乱れてしまいメンタルヘルスのバランスが乱れてしまった場合、自律神経はどのようにして整えてメンタルヘルスの状態をいい方向へもっていけばいいのでしょうか。ストレスなどによって引き起こされると言われている「自律神経失調症」や「神経性胃炎」「更年期障害」などの症状がでてきてしまう前に、自宅や近所などで日常的に行える予防方法について、いくつか簡単にご紹介していきます。
その1:睡眠時間をしっかりとる
自律神経は「交感神経」と「副交感神経」のバランスがうまくとれていることが重要となりますが、その片側となる「副交感神経」は睡眠状態のときに活動的となります。そのため睡眠は自律神経を整えていく上で欠かすことができません。また睡眠には、しっかりと睡眠をとることで体内時計を整えてくれる効果もあります。
良質な睡眠をとるポイントは、夜はあまり明るい光を見ない、浴びないようにすることがポイントです。パソコン、テレビ、スマホなど、画面の光が強いものを就寝前には見ない、扱わないようにすることが大事です。2つ目は、照明を間接照明などの柔らかい照明に切り替え、部屋をほの暗くすることです。これらによって 副交感神経が活発となり、副交感神経優位な状態で良好な入眠が得られ、睡眠の質も良くなります。
その2:軽度に体を動かす
普段あまり運動をおこなっていない人は、適度な運動をすることで自律神経のバランスを整えることができます。ストレッチやヨガなど体を動かすことで代謝がアップし、全身の血のめぐりが良くなります。血行が良くなるので肩こりや腰痛、冷えなどの機能改善や運動時のパフォーマンス向上にもつながります。適度な運動は自律神経バランスを整えるとても効果的な方法の1つです。
その3:ゆっくり気持ちを整える時間を作る
普段なかなか自分の時間をとることができない、心休まる時間がないといった方は、多少無理をしても「ゆっくりする時間」「心を休める時間」を作るといいと言われています。「ゆっくりする時間」「心を休める時間」はストレスを軽減してくれる効果もあり、リラックスした状態へと体を持っていくので「副交感神経」を働かせる時間となります。
方法は、人それぞれですが、リラックスすることができるやさしい香りの「ゼラニウム」などのアロマをお部屋で炊いたり、ゆったりと好きな音楽を聴いたり、1日を振り返って自分の気持ちを日記に書いたりするなど、自分に合った方法を試されることをおススメいたします。
その4:自律神経を整えると言われている食材を摂取する
「カルシウム」やすっぱいものに含まれる「クエン酸」、キノコや玄米、海藻類などに多く含まれる「食物繊維」、キムチ、納豆、ヨーグルトなどの「発酵食品」などの食品を採ることによって体が毒素などを排出しやすい状態に持って行ってくれるので、消化器系を刺激することへと繋がり自律神経の働きを高める効果があります。
また食事をするときにゆっくりよく噛んで食べることによって、交感神経の急激な高まりを抑えるので、自律神経のバランスを整えることにつながります。
いかがだったでしょうか。自律神経の乱れやメンタルヘルスが不調になる状況は人それぞれ異なる為、必ず自律神経が整えられて、メンタルヘルスが向上するとは一概に言い切ることはできません。しかし、普段の生活で意識して取り入れていただくとストレスが原因の1つとなるといわれている「自律神経失調症」や「更年期障害」などの症状の予防策と考えられるでしょう。
記事 メンタルヘルスコンディショニング講座講師・佐々木幹
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