皆さんは「毒親」という言葉を聞いたことはありますか。毒親は子供の人生を思い通りにしようと行動や言動で子供を束縛し、自分の思い通りになるよう子供の行動を支配したりします。子供は親を悪者にすることができないと言われており、反対に母親に認められよう、期待に添えるよう自分の気持ちを抑えて頑張ってしまうといった行動を取りやすいです。そのため、こういった経験を抱え成長した子供はあの時こうしておけばよかったという自分の本当の気持ちと自分を縛っている親との関係性に悩みを抱えてしまうケースが多いです。このようなケースから救ってくれるのが今回ご紹介する「ゲシュタルト療法」です。ゲシュタルト療法は薬を使用せずに「今ここで何が起こっているか」「患者はそれをどう思うか・判断するか」ということにフォーカスし全身心的洞察(気づき)を目指す療法であると言われています。また今の自分自身と向き合って症状を回復していく方法とも言われています。まだあまり世間には知られていないゲシュタルト療法ですが、今回はゲシュタルト療法がどんな治療を行うのかをはじめ、ゲシュタルト療法の歴史、人間の心理にどのように利用されているのかなどお話ししたいと思います。

ゲシュタルト療法とは

ゲシュタルト療法は、ドイツのフレデリック・パールズとその妻であるローラとポール・グッドマンによって提唱された心理療法です。フレデリック・パールズはドイツ出身の精神科医で、心理学者でもあります。また精神科医としてアメリカで活躍しました。ゲシュタルト療法は冒頭でも述べましたが、幼少期や過去にこうしておけばよかったと悔やんでいることなど、未完結の問題に対し再体験という方法を通して、今・ここでの気づきを得ることを目指す方法と言われています。ゲシュタルト療法は主に、感情表現や考えることが苦手な人やなんでも自己解決してしまう人を対象に行われます。またゲシュタルトという意味は「全体像」という意味であり、患者が自分以外の外部環境をバラバラに捉えて認識するのではなく、1つのまとまりとして外部環境を捉えて認識することを基本概念にしています。またフレデリックの提唱したこのゲシュタルト療法はフロイトの精神分析の影響も受けているとされています。しかし、他の心理療法とゲシュタルト療法が違うのは、話を聞いて過去に何かあったのかという見方をするのではなく、今・現在の自分が何をしているのかにフォーカスすることです。そうすることで過去のトラウマや未解決の問題をセラピーなどで再体験することで過去に囚われているということに気づいてもらう心理療法です。ゲシュタルト療法では毒親によって将来や自分のやりたいことを選択できないことを仕方ないと諦める子供に対して、選択肢がある状況を体験させ選択できること・自分自身で選択できることに気づくことで自分の可能性を広げることに前向きさせる効果が期待されるとともに、無意識な部分を意識化させる効果も期待されています。そのためゲシュタルト療法は無意識に自分の思いを閉じ込める患者を援助する療法とも言えるかとおもます。

ゲシュタルト療法はどんなことをするのか

ゲシュタルト療法は今の気づきを意識することを目的に行われえる心理療法のようですが、具体的にどのような方法が治療に取り入れられているのでしょうか。実際に患者さんに行われる技法をいくつかご紹介します。

・トップ&アンダードッグ
ゲシュタルト療法の1つの方法として身近な人物との間で行われるコミュニケーションをロールプレイングの対話ゲーム感覚で再現して気づきを得る方法があります。この方法ではトップ&アンダードッグという自分自身の両極端な部分にフォーカスした方法が使われます。名称で使われているトップドッグの意味は精神状態が強く人間関係がうまくいっている時を指し、反対にアンダードッグの意味は精神状態が弱く人間関係がうまくいっていない状態のことを表しています。この2つの状態に患者がなりきって会話やコミュニケーションを行なうことで、患者の性格や特徴を把握し行動や考え方を改善する方法がわかると言われています。また自己洞察を深めることで感情の浄化(カタルシス)や気づきの効果が得られ、自分の素直な感情に向き合いアイデンティティの統合につながると考えられています。

・ホットシート
ホットシートも先ほど紹介したトップ&アンダードッグでも用いられる対話ゲームを用いた方法であり、ゲシュタルト療法で用いられる技法の中で一番よく用いられている技法です。ホットシートは、ホットシートと呼ばれる席に座り、対面には誰も座っていない席(エンプティ・チェア)を用意します。ホットシートに座った患者はエンプティ・チェアに自分が対話しようとしている人物がいるかのように想像し対話しロールプレイングを行います。この想像の対話により患者が普段素直な気持ちを言えない苦手な相手を想像して話すことで、無意識に抑えていた感情に気づくきっかけになります。今まで抑圧された感情や思いから解放されて、自分の考えや感情の表出が素直にできることが期待できます。またホットシートによるカウンセリングは個人で行われる方法と考えられますが、実際には集団療法に用いられています。他者の対話を見て自分の感情の解放にも繋がると考えられています。

・ドリームワーク
この方法が他の療法とちがうのは、患者のみた夢を元にロールプレイングを行い他社の視点や自分の考え方と違うことに気づくことです。夢は、その日の情報を記憶する際にみるとも言われており、何か悩みがあった場合の解決策を見出す効果もあるようです。ドリームワークの方法としては、患者がみた夢の登場人物や物になりきって患者が気持ちを語ることで、客観的に自分の意見と違う考えを発見することで別の考えや問題への解決方法を発見する効果があると言われています。

ゲシュタルト療法を学ぶには

今まで説明したゲシュタルト療法を含めメンタルヘルスや心理学に興味のある方の多くは大学などの教育期間で学ぶことを選択される方も多いと思います。しかし、ゲシュタルト療法は利用者も研究でも用いられることが少ないので、大学でも学ぶ機会が難しい場合もあるようで、日本ではゲシュタルト療法が行えるセラピストを育成する教育システムが整っていない現状があるようです。しかし本格的にゲシュタルト療法を学びたいという方が学ぶ場所が全くないというわけではありません。ゲシュタルト療法を本格的に学ぶのであれば心理療法の講座を学んだり、日本ゲシュタルト療法学会が開催しているセミナーやワークショップに参加したりすることをお勧めします。日本ゲシュタルト療法学会では国際的なセラピストがセミナーを開催しているようなので、国内だけでなく海外でのゲシュタルト療法の利用方法も学ぶことができます。またゲシュタルト療法は日本では普及が遅延しているようですが、欧米やオーストラリアでは徐々に認知度が上がってきているようです。

ゲシュタルト療法についてお話ししましたが、いかがだったでしょうか。ゲシュタルト療法は、過去のトラウマや、自分自身の考えや感情表現が難しい方に対して行い回復へ導くことができる少ない役割ですので気になる方はゲシュタルト療法に関するセミナーやワークショップなどに参加して見てはいかがでしょうか。

記事 メンタルヘルスコンディショニング講座講師・佐々木幹

佐々木幹

佐々木幹メンタルヘルスコンディショナーⓇ

投稿者プロフィール

株式会社スマイルエデュケーション3代表取締役
一般社団法人ハッピーライフカウンセリング協会代表理事

大手民間スクールで約30年間スクール経営に携わり、販売マーケティングを皮切りに、商品開発室、教務室、学務室、通信教育センターの各部門責任者を歴任

現在は、自身が企画したメンタルヘルスコンディショニング通信講座の資格(メンタルヘルスコンディショナー)を取得し、「Live」「Love」「Smile」をかけ合わせた造語『LiLoveS』をコンセプトとしたハッピーライフカウンセリング協会と、学ぶすべての方の笑顔を目指すSmileCom(スマイルコム)のスクール運営を行う一方で、当サイト(メンタルヘルス情報サイト)の記事執筆を手掛けている。

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