ココロを整える呼吸の質を、カラダをケアして高める

○自律神経を整える

自分ではコントロール出来ない働きをコントロールしてくれている自律神経。体温だったり血圧だったり内臓の働きだったり、その時その場面に合わせて適切にコントロールしてくれています。国民病と言われる“高血圧”も、血圧を下げたいと念じて血圧を下げることが出来れば国民病にはならないでしょう。良く言えば独立して働いてくれていますが、自分ではコントロール出来ないからこそ不調が起こると厄介です。

○交感神経と副交感神経

自律神経は、交感神経と副交感神経という2つの神経からなっています。何か活動する時や危険から身を守る時に、身体を活性させるために働く交感神経。休息を取ったり食べた物を消化したり回復する時、社会と良い関係を築く時に、心身を落ち着かせるために働く副交感神経。この2つの神経を使って、自分ではコントロール出来ない働きをコントロールしてくれています。それはカラダのコントロールだけでなく、ココロにも大きな影響を与えていて、自律神経を整えることはココロを整えることにもなります。

○呼吸で整える

そんな自律神経を直接コントロールすることは出来ませんが、“呼吸”に意識を向けることによって間接的にコントロールすることが出来ます。呼吸というのは大きく分けて2種類、“吸気”と“吐気”からなっています。忙しい時やイライラしている時などは、呼吸が浅くなっていて、吸うことばかり行なっているのに気付くことがあります。そのため、呼吸でも吸うことに意識を向けたり、吸う方ばかりを強調して呼吸が浅くなっていたりすると交感神経が優位になります。また、ふとした時に体の中にあった息を吐くことで、ココロとカラダが落ち着くのを感じます。吐く方に意識を向けたり、吸う時間の倍の長さで吐くことを行なったりすると副交感神経が優位になります。速めたり遅めたり意識的にコントロールも出来、何か他のことに集中していたり寝ている時など無意識にも行なっている呼吸は、ココロとカラダを密接にする要素を持っています。

○吐くを促す

現代は様々なストレスがあったり、忙しかったりして、交感神経優位の方が多いと言われています。吸う方にアクセントが置かれた、浅くてテンポの速い呼吸をしている方が多いです。だからこそ、自律神経を整えるには、吐く方に意識を向けたり、テンポを遅くして呼吸することが大切です。しかし、どうでしょう。意識を向けている時は良くても、ふとした時には、またテンポが速くなっていたり、呼吸が浅くなっているものです。急に深い呼吸をココロ掛けても、カラダがすぐに対応出来ないものです。効果が半減してしまったり、効果を感じられないなんてことが起こってきます。

○吐く時に使う筋肉と吸う時に使う筋肉

吸う時と吐く時とでは、違う筋肉が使われます。呼吸は肺で行われますが、肺は積極的に呼吸を行いません。ですので、肺の下にある横隔膜という筋肉が肺の働きをサポートします。横隔膜が縮むことによって肺に酸素が取り込まれます。そして、縮んだ横隔膜が元の長さに戻ろうとすることで、肺にある二酸化炭素が吐き出されます。これが呼吸のメカニズムです。その時にたくさんの筋肉がサポートに加わります。胸周りの筋肉が主にサポートに入る呼吸を胸式呼吸、お腹周りの筋肉が主にサポートに入る呼吸を腹式呼吸と言います。胸周りの筋肉は吸う時に使われる筋肉が多いです。吸う動作だけを繰り返すと首や胸周りが動いたり硬くなったりするのを感じます。お腹周りの筋肉は吐く時に使われる筋肉が多いです。吐く動作を強調したり繰り返したりすると、お腹周りの筋肉が動いたり硬くなっているのを感じます。呼吸が「吐く」と「吸う」と対になっている様に、呼吸に関わる胸周りの筋肉とお腹周りの筋肉も相反します。普段呼吸のテンポが速く浅くなっている方は、胸周りの筋肉が緊張していたり硬くなっていたりします。その状態で吐くことを意識したり深い呼吸を心掛けても、胸周りの筋肉がそれを制限したり、普段使っていないお腹の筋肉が上手く使えなかったりします。つまり、ココロで深い呼吸を意識してもカラダが付いて来ません。

○吸う時に使う筋肉をほぐして、吐く時の筋肉を意識する

吸う時に使う筋肉をほぐすと、息が吐きやすくなります。代表的な筋肉として首の側面に付いている斜角筋という筋肉があります。“吸う”動作だけを繰り返し行うと鎖骨の内側の首の側面の辺りが硬く緊張するのが分かります。それが斜角筋です。首の筋肉は大きく分けると3層の筋膜に分けられていて、斜角筋は真ん中の層にあります。手を首の辺りに優しく沈めてから、さすって斜角筋をほぐしてあげます。必ず右側と左側を分けて行なってください。また、伸ばしてあげるのも有効です。一方の肩を軽く持ち上げ、そのまま反対側に頭を倒します。すると、肩ではなく首の側面が伸びるのを感じられます。このまま伸ばしていると少しずつ頭が倒れていき、首の側面が伸びてきます。吸う時に使う筋肉が緊張していたり、硬くなっていたりすると、息を吐こうと思っても、上手く吐くことが出来ません。この様に吸う時に使う筋肉を緩めたり伸ばしたりすると、自然と吐きやすくなり、深い呼吸になります。カラダの準備が出来てから、(息を吸ってお腹を膨らませ、吐いてお腹を膨らませる)イメージをして呼吸をすると、しっかりとお腹周りの筋肉を意識した呼吸になります。
自律神経を整えるために、深い呼吸を心掛けてもカラダが受け付けなくては意味がありません。ココロとカラダの繋がりを意識した、効率良く効果的に呼吸の質を高める方法を紹介しました。試してみてください。

大久保圭祐

大久保圭祐パーソナルトレーナー

投稿者プロフィール

心と体を一体として捉える考え方や身体への働き掛けを特徴とするボディワークの“Rolfing®”に興味を持ち、渡米してRolf Institute®を卒業する。各種メディアや店舗にてエクササイズの監修、セミナー講師、コラムの執筆など幅広く活躍中。

http://keisuke-o.net/

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