アニマルセラピーとは

人間関係や仕事に疲れてしまったら、人に癒しを求めるのではなく動物に癒しを求める方法があります。動物には不思議な力があって、そこに存在しているだけで心が安らぎ、気持ちが軽くなります。動物に心を癒やしてもらうこの療法をアニマルセラピーと呼んでいます。どんな動物がアニマルセラピーとして活躍しているのか、アニマルセラピーによって得られるものはどのようなものか皆さんは、ご存じでしょうか。また、アニマルセラピーが適応する人、適応しないケースはあるのでしょうか。アニマルセラピーについて、その可能性と効果についてご紹介いたします。

アニマルセラピーとは

動物嫌いではない限りかわいい動物を見ていると心が和み、いつまでも眺めていたり、遊んでいたりしたくなるような経験があると思います。アニマルセラピーは人と動物の触れ合いや温もりを通じて精神的な安定を促す療法の一つです。動物は、人の気持ちを読み取り、寄り添うことで心を穏やかにさせる不思議な力をもっています。そのため家で動物を飼うこともアニマルセラピーの一つとされています。

アニマルセラピーを行うことで得られるものは、心理的な効果、社会的な効果、生理的な効果の3つがあるといわれています。身近な動物の力を借りて、医療の一環として行うのが「動物介在療法」と呼ばれており、動物を飼育したり、触れ合ったりすることで医療としてではなく、協調性や共感、命の大切さを伝え、思いやりなどを育むものは「動物介在教育」と呼ばれ、動物との触れ合いで生活の質(QOL)を高める「動物介在活動」と併せて現在行われています。

アニマルセラピーにも向き不向きがあり、元々動物を飼育していた人や、恐怖心がなく動物好きであることが条件になります。動物が苦手な人に行うと当然ながら、アニマルセラピーをおこなうと逆効果になります。またアニマルセラピーの向き不向きは、病状によっても左右されます。この療法を行う際には事前に動物アレルギーはないか、動物に対する苦手意識はないかなど慎重に調べる必要があり、どの動物でもアニマルセラピーが行えるかというとそうではなく、療法に適した動物の性格や性質があり、条件をクリアすれば参加できる可能性があるとのことです。

獣医師による判断やいくつもの訓練を経て病院や公共施設、人に対するマナーを身に付けます。中でも犬や猫は代表的な動物として活躍しています。ほかにうさぎやモルモットなどが人の心の癒しとなっています。アニマルセラピーは海外では昔から精神的な疾患がある人や軍の療養センターなどで動物との触れ合いを推奨し気分転換をさせていたり、精神分析学の創始者が患者をリラックスさせるために動物を側に座らせたりして診察をしていたそうです。日本でのアニマルセラピーは主に動物病院が中心となる団体やNPO団体が、ボランティアを募りアニマルセラピストの育成、アニマルセラピーの普及活動を行っています。

 

アニマルセラピーの活用例

医療としてのアニマルセラピーではなく、もっと身近なところで心を癒す存在としてもアニマルセラピーは活用されています。その一つに動物と一緒に生活を送ることで認知症をはじめとする精神的な疾患を予防します。

アニマルセラピーで動物のお世話をすることで自分が「必要とされている」ことを実感させ、家にこもりがちな人を「散歩」という形で外へ向かわせる効果があります。外へ出るというのは自然に歩くことにつながり、足腰を鍛え寝たきりの予防にもなります。また、外の空気に触れ誰かと交流する機会があれば、さらによい刺激になり脳の活性化にもつなげることができます。

アニマルセラピーは本来、医療従事者とともに本人に適した動物とボランティアの参加者を、選定し目的に合わせた医療内容で計画を立てて行われる医療行為を指す言葉として使われています。日本では動物介在活動がアニマルセラピーとして扱われていることが多く、乗馬や特殊な訓練を受けた動物と触れ合える場所を各団体が提供しています。子どもたちへの動物介在活動では、学校などを動物たちが訪れ正しい動物との触れ合い方や命の大切さ、重さを学びます。総合学習の一環として取り入れるところが増えてきているそうです。

このように、海外と日本ではアニマルセラピーへの認識の違いはあっても、人の心を癒し笑顔を取り戻させ、生活の質を向上させる目的は同じだといえます。動物に触れることで、表情が豊かになり積極的にリハビリに取り組むようになったという事例があります。動物を飼育している人とそうでない人では飼育している人のほうが病院へ行く回数が少ないというデータが残っているそうです。

また一般の企業で買われている動物もいて、そこに居ることで社員の緊張感を和らげたり心の癒やしになったりしています。形態が違って医療行為ではなくても、アニマルセラピーとして成り立っている例はいくつもあります。それだけ動物には人の心を惹きつける力があり、その可能性は未知数で研究が進められています。

動物が私たちにもたらす効果

アニマルセラピーで代表的なセラピー犬や猫などの動物たちと一緒に過ごすことで得られるものは、癒しの効果に加えて、心理的な効果として、緊張感や不安感を和らげる効果があります。飼育することで自己への肯定感や自信がつき、責任感をもつことにより気持ちが前向きになり意欲が出てきます。「またあのワンちゃんに触りたいな」と思い出すことも自分に対して自信をもつ1歩になると言われています。

社会的な効果は、人との関わりが減少する高齢者の場合、人との交流が動物を介して生まれるきっかけになります。散歩や動物病院への通院、ペットフードの購入などで外出する機会が増え、動物に話しかけると言語の活性化が期待できます。動物が居るだけでその場の空気を和ませ、お互いに知らない者同士でも話をする潤滑剤になります。さらに外へ出向くこと、何かに関心をもつことが社会とのつながりを維持するのに役立ちます。

子どもたちについては、共感することや相手を思いやること、協調性が育ち、かけがえのない命について知る機会になります。一緒に同じ時間を過ごすことで、動物たちが家族の一員になってともに成長していくのです。

生理的な効果については動物をなでたりすると血圧の安定や心拍数の抑制、ストレスを軽減しリラックスしている状態になります。「かわいい、触れると楽しい」という感情も脳内のホルモンや伝達物質の働きによるもので、緊張感が緩和されるのです。情緒が安定すると周囲に対して暴力的なことが減少するといわれています。

大きく3つに分け私たちにもたらす効果をあげてみましたが、アニマルセラピーを行い人の心に寄り添うことにより、短時間ながらお互いの信頼関係を築けるというのは動物だからできることなのかもしれません。人同士で信頼関係を築こうとしたら、言葉もたくさん必要で時間をかけないとなかなか難しいものです。話しかけなくても、さわるだけでも効果があるとされているアニマルセラピーは、活動としてこれからの展開が期待されています。

昔から人の心の拠り所として存在していたアニマルセラピーは、単に心を癒やすだけでなく閉じてしまった心を溶かし、本来の生きる力と表情や感情を取り戻す力があります。どんなによい療法でも、人によって向き不向きがあり医療従事者の協力のもと、人や動物にとって前準備がとても大切だということがわかりました。

日本では、主に動物介在活動や動物介在教育がアニマルセラピーの一環として扱われることが多く、アニマルセラピーは本来、医療従事者を交えた医療行為を指す言葉でした。しかし、獣医師など医療従事者の理解とアニマルセラピストによるボランティア活動への協力やセラピーを育成する団体が存在します。アニマルセラピーに対して一般療法の周知と理解が含まることによって、アニマルセラピーを行う人々や団体のこれからの活動を支えとなるかもしれません。

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