適応障害は、数ある精神障害においても知っておくといい症状といえます。なぜなら、身体に特別な異常がない人であっても、人生の節目や環境の変化によって発症するケースが考えられるためです。つまり、現在健康な精神状態であったとしても、今後、適応障害の症状がでてくる可能性もあるからです。適応障害になると、身体的精神的にしんどいだけでなく、仕事や人間関係などの実生活にも影響が出てしまうケースが多いといわれています。そのため適応障害が原因となり長期休養をとる人は少なくありません。適応障害の症状や存在を知っておくことで回避できる可能性もあるので、こちらで適応障害についてご紹介していきます。

適応障害の概要

適応障害とは、その名の通り状況や出来事に適応できないことで起こる精神的な異常です。主な例としては、昇進や転勤・進学・部署異動・結婚・離婚、またその他、苦手な人がいる環境、多くの人に見られる職場など、ストレスのかかりやすいシーンです。新しい環境に移行したり、慣れない場面に遭遇したりして気持ちが不安定になる経験は、誰しもしたことがあるでしょう。しかし適応障害になると、この不安定さが度を超えています。過度のストレスを感じたり、また目に見えて身体の異常が起こってしまったりする人もいるようです。しかし、適応障害の度合いの違いは目に見えないため、見つけにくい障害であることもまた事実です。

適応障害はただ単に精神面が不安定というわけではなく、特定のストレス因があり、社会的機能が著しく障害されている状態。そのため環境の変化、特別な出来事など、精神に支障を来している原因が明確であるのであれば、その精神異常が適応障害である確率は高いといえます。適応障害の判別するポイントとしては、世界保健機構の診断ガイドラインである「ICD-10」にて記されている「ストレス因により引き起こされる情緒面や行動面の症状で、社会的機能が著しく障害されている状態」が参考となるでしょう。

また同ガイドラインでは、「発症は通常生活の変化やストレス性の出来事が生じて1カ月以内であり、ストレスが終結してから6カ月以上症状が持続することはない」という発症期間における基準も記されています。上記の特徴に加え、発症のタイミングと持続期間も照らし合わせてみると良いでしょう。

最大でも半年で治まるとなれば、一見そこまで重要な症状でないようにも感じられるかもしれません。ですが、軽視は禁物です。基本的に6ヶ月以上症状が継続することはないとされていますが、適応障害をきっかけに不調が半年以上に渡り続くことは十分ありえます。その理由として、適応障害からうつ病やPTSD症状へ移行するケースが少なくないからです。そのため、たかが適応障害であると楽観視せず、早めに対策を打つことが大切です。

6タイプに分かれる適応障害

環境に応じて精神が不安定となる適応障害だけに、様々な症状がみられます。適応障害には計6ものタイプが存在しており、原因や症状が数多く存在します。それぞれの特徴を紹介していきます。

一つ目の症状は、抑うつ気分を伴うタイプです。主な症状は、憂鬱感・涙もろさ・絶望感・思考力や判断力の低下・感情コントロールが利かなくなるといった具合です。抑うつといえば気分障害という他の精神疾患も考えられますが、適応障害における抑うつ気分は気分障害ほどではありません。適応障害レベルであるか、うつ病になっているのかの見極めが肝心になってくるので、不安であれば早めに専門医を受診するべきでしょう。

次に、不安が大きく感じられるタイプです。苦手な環境や災害・病気・死といったネガティブなストレス因がきっかけとなり、精神過敏を起こします。これにより起こりうるのが、呼吸困難やパニック発作などの比較的重要度の高い症状です。それこそ普段の生活に大きな影響をも与えかねないので、気をつけるべきでしょう。こちらも前述と同じく、別の精神障害である不安障害に近い症状ですが、また異なるジャンルとなっています。

抑うつと不安の両方を伴うタイプもあります。どちらか一方でも結構な精神的負担であるだけに、両方となるとまたさらにストレスとなりやすいです。原因は、不安に繋がる出来事の起こった場合が多いです。たとえば、健康診断の結果がかなり悪かった、病気による入院で人生に絶望した、パートナーの浮気が発覚して家庭崩壊の危機を感じているといったケースです。不安要素をきっかけとして、抑うつと不安の両方が感じられる人は、このタイプと考えるべきでしょう。

適応障害になったからといって、すべての症状が陰に向かうというわけでもありません。むしろ障害が影響して、してはいけないような行動を起こしてしまうこともあります。それは、行動の障害を伴うタイプです。たとえば、万引きや飲酒運転・暴力・無断欠席や欠勤・公共の場所におけるいたずらなどです。反社会的な、あからさまな禁止行為であるにもかかわらず、精神が不安定であるゆえに起こしてしまうのです。このタイプの場合、他人に迷惑をかけたり最悪警察沙汰になったりすることも考えられるので、要注意といえます。

5つめは、情緒障害と行動の障害両方が見られるタイプです。情緒障害は病名と異なりますが、文部科学省も認定する子供に多く見られる精神異常です。精神が不安定であり、なおかつ不登校やいたずらなどの行動も起こしてしまう子供に困っている場合、ただの性格上の問題と判断せず、一度適応障害を疑ってみてください。

最後に、上記5つのいずれにも当てはまらないタイプの適応障害です。特定不能タイプなどと呼ばれており、特定のストレス因をきっかけとした、肩こりや頭痛、疲労感、その他ひきこもりなどが該当します。上記までと比べると比較的軽い印象も受けますが、毎回同じ状況、環境に立つたび、これら症状に悩まされるとなるとかなりの負担となります。

このように、適応障害は計6タイプに分類することができます。傾向を把握することにより、より対処もしやすくなります。

適応障害の治療方法とは

精神障害にはさまざまなものがありますが、比較的軽度な適応障害は、状況によっては専門機関にたよらなくとも改善できるものもあるようです。

たとえば、ストレス因の除去です。特定のストレス因が原因になって起こるわけですから、単純にそれを除去するといった方法です。しかし、職場や家庭を変更するというのは容易でないので、実践できるケースは限られてきます。大枠でなく、職場内における部署や席の移動、家庭内におけるスタンスの変更といった形から工夫してみると良いでしょう。
また、環境を変えるのではなく、自分の捉え方を変えてみるといった方法もあるようです。原因のモノに対しての見方を変えて適応力を身につけることで、心の持ちようを工夫することも試せる状況らなら試してみましょう。

適応障害は、ひとつのストレス因が原因となって起こる適応に難を抱える障害です。一口に障害といっても幅広く、6タイプに分けられます。いずれも症状は軽度なのが特徴となっています。本人のちょっとした努力で改善を目指すことも状況によっては可能なので、兆候や症状が感じられたら、今回紹介したような対策を取り入れると良いでしょう。しかし、改善が見られない、症状が重い場合は無理せず専門機関へ相談しましょう。専門的なアドバイスや薬物療法により、より効果的な改善が目指せます。

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