臨床心理士になるには

臨床心理

心理学は心の動きを学ぶ学問であり、「悩み解決の糸口を見つけたい」や「自分の心の仕組みを知りたい」、「コミュニケーションを円滑に取るにはどのようにすればいいのかヒントが欲しい」など様々な理由から心理学を学ぶ人が増えてきています。自分の心との向き合い方、対人関係の問題は私たち誰もが持っている課題であり、生活していく中では家族関係、友人関係、異性との関係、ビジネスのシーンでの立ち振る舞いなど悩みが尽きないのも現実であるといえるでしょう。心理学のなかでも臨床心理学は、心の問題を抱えている人々をどう助けていくのか、臨床の場で実践的に学んでいく学問です。

心理学はいくつかの分野に分かれており、様々な分類があり、多岐の分野に渡っています。臨床心理学はどのような内容を学ぶ学問で、他の心理学とはどのような違いがあるのでしょうか。ここでは、臨床心理学の定義は何か、臨床心理学を学ぶことで得られる専門資格である臨床心理士の仕事についてご紹介してまいります。

臨床心理学とは?

心理学というと交渉事を優位に進めたり、異性の気を惹いたりといったイメージもあるかもしれませんが、臨床心理学はそれらの心理学とは大きく異なり、「うつ病」や「ひきこもり」などに代表されるような精神的になんらかの問題を抱え、日常生活を送ることが難しくなってしまった人、身体になんらかの不調が出た人の行動を研究し、改善・回復へと導く学問です。臨床心理学は数ある心理学のうちの1つの分野であり、不調を改善し回復を目指していくという点では、比較的医療の分野に近い存在であるとされています。行動療法や認知行動療法といった手法を活用し、うつ病や虐待、PTSDなどストレスによっても引き起こされる症状を「なぜこの行動を取るのか」「どうすれば治療できるのか」などを研究し、臨床に活かそうとする学問です。

臨床心理学と他の心理学との違いは?

心理学には様々な分野があり、様々な分類があります。今回は心理学を4つの分野に分けてご紹介させていただきます。4つの分類のうちの1つが臨床心理学となりますので残りの3つの心理学について記載いたします。

社会心理学

私たちがよくイメージする心理学は社会心理学の分野に位置することが多く、社会心理学は「恋愛心理」や「ビジネス心理」、「コールドリーディング(話術の一種)」などを考える学問になります。私たちの日常生活において必要となる人の心や行動のクセや物事を優位に進めるための方法を学んでいきます。社会心理学は「暮らしの中の心理学」とも呼ばれ、社会心理学に興味を持つ方も多くいらっしゃいます。

社会心理学を学ぶことで自分自身を見つめなおすこと、人間関係を円滑にすること、社会生活を快適にする学問といわれています。社会心理学は心理学の中でも比較的日常生活に近い分野となりますが、大学や大学院などではこの分野については触れないことも多く、専門学校や書籍、専門の教材などによって学ぶこととなります。教育機関によっても大きく手法が異なるあいまいな学問となります。学ぶ際には信頼のおける教育機関で学ぶなど注意が必要です。

基礎心理学

基礎心理学はその名の通り心理学を学ぶ基礎となる分野です。観察や実験などを基に人間の心の動きを検証する学門です。基礎心理学では個人でなく、集団に焦点を当て、多くの人間に共通する特徴、一般的な人間における認知の仕組みや行動などについて分析していきます。基礎心理学では目の錯覚や誤認の仕組みなどについても学んできます。

基礎心理学は個人でなく社会的集団にフォーカスする分野となりますのでカウンセラーを志す方にとっては実際の人の動きと違うのではないかと違和感が生じることや少し退屈に感じこともある学問となりますが、心理のもととなる学問となりますので勉強することでその後に臨床心理学を学んだ場合にもより理解が深いものとなっていきます。

心理統計

心理統計学は心理学の研究を行う上で欠かせない統計学やデータ解析の手順を学ぶ学問です。精神的な疾患治療では様々な要因が重なり合い、治療として行ったアプローチの効果が実際にあったのか、どのアプローチが有効であったのかなどやや難しい内容です。心理統計は実証的な心理学研究において欠くことのできない学問です。

4つの心理学の中で臨床心理学の特徴は、実践的であることにあります。単に人間の行動を理論的に分析し、考え、研究するだけではなく、実際に心理学によるアプローチを使って健康になるためにはどうすればいいのか、有効な治療法を見出すための学問です。

臨床心理士になるにはどこで学べばいいの?

臨床心理士のための勉強は大学院などで可能です。「公益財団法人 日本臨床心理士資格認定協会」が臨床心理士の資格を発行していますので、資格を取得することで臨床心理学について学んだ証明となります。臨床心理士の資格は国からの認定をうけた公益財団法人の発行している資格ということで比較的信頼度の高い資格であるといえます。昭和63年資格認定をスタートして以来、平成29年4月1日までに32,914名が「臨床心理士」の資格の認定を受けています。

「日本臨床心理士資格認定協会」では臨床心理士の受験資格を基本的に指定の大学院もしくは専門職大学院の課程修了した者であることと定めています。これから臨床心理士を目指す方は受験要項を満たすよう進学の際に念頭おいていく必要があります。

臨床心理士ってどんな仕事?

臨床心理士とは臨床心理学に長けた、精神的な問題に関するスペシャリストです。心に問題を抱えてしまった方や大きな不安を感じている方、精神的な疾患から身体にも支障をきたしてしまった方に寄り添い、患者の生活環境の中にどのような問題があるのかを見つけ、障害への具体的な改善方法を導き出すのが仕事となっています。臨床心理士の資格は心理カウンセラーとして活躍するうえで必須の資格であるというわけではありませんが、心理学の資格の中では比較的信頼度の高い資格となっています。

臨床心理学を学んだあとの就労の場は幅広く、福祉施設だけでなく、教育現場や刑務所、職業安定所などでカウンセラーとして活躍するだけでなく、医療機関や臨床の場で医師などの医療従事者と連携して患者の治療にあたる非常にやりがいのある仕事です。

心の動きをただ分析するのではなく、「その人が抱える問題について、話ができる環境づくり」を整えるおく必要があります。人の悩みや精神的な疾患を抱えた人を支える仕事となりますので、どんなことでも受け入れてあげる包容力や、相談者にとって話しかけやすさ、重大な悩みを打ち明けることのできる信頼感などが必要となってきます。

また精神的な疾患は一朝一夕で解決できるものではありませんので、長期にわたり、相談者が回復していくことを根気よく見守る忍耐強さも大切です。

ストレス社会と呼ばれる現代では、心に何らかの問題を抱えて苦しんでいる人が多くいらっしゃいます。心の傷はふとしたきっかけから大きなダメージに繋がることも多く、自力での回復が難しい場合があります。そのような人の苦しみを軽減し、救うことを専門的に学ぶのが臨床心理学です。精神的な疾患というと薬物治療のイメージを持つ方も多くいらっしゃいますが、臨床心理士によるカウンセリングは薬物療法と並行して患者の回復に大きな効果をもたらしているといわれています。

臨床心理学を学ぶことで理論的に、また体系的に心の問題を解決することができます。臨床心理士というと治療というイメージが強いもしれませんが、臨床心理学の知識を活用することで、具体的な症状が出る前に悩みの本質を理解し、未然に問題の深刻化を防ぐこともできるのです。
臨床心理士は大学院や専門職大学院の卒業が必須となる資格となるためハードルの高い資格となりますが、自分や周りの人の心の健康について興味があれば、調べてみることもお勧めです。

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