メンタルヘルスコンディショナーとは?

メンタルヘルスコンディショナーという言葉は、メンタルヘルスカウンセラーの新資格として使用されています。この資格誕生は、最先端のウェアラブルセンサーを使用することにより「ココロの可視化」を可能にしたWINフロンティア株式会社代表で博士(医学)でもある板生研一氏に多大な協力を得て、2017年10月に誕生した資格です。2018年には一般社団法人ハッピーライフカウンセリング協会の認定資格にもなりました。

このココロの新しい資格は、なぜ生まれたのでしょうか?
今までの心理カウンセラーと、どのような違いがあるのでしょうか?
仕事としては、どのように活かせるのでしょうか?
順を追ってみていきたいと思います。

メンタルヘルスの重要なキーワード「ストレス」 ココロをケアする人はお医者様以外にも必要 今後求められる心理カウンセラー メンタルヘルスコンディショナーまとめ

メンタルヘルスの重要なキーワード「ストレス」

メンタルヘルスにおける重要な項目は「ストレス」関連領域であると考えられます。ある大学病院において精神科からメンタルヘルス科へと標榜を変えただけで、たくさんの患者さんが受診するようになったという事実があります。そこでのキーワードが「ストレス」でした。従来の精神科では、いわゆる精神・心理の障害で受診する患者さんが中心でしたが、メンタルヘルス科になるとストレス関連の障害や病態の患者さんが多く受診するようになったのです。例えば胃の調子が悪くてイライラする、しかも胃には器質的な異常は認められない。そうすると、ストレスが原因と考えられるのでメンタルヘルス科に紹介される。同様にアトピー性皮膚炎で痒くてイライラする、これもストレスが関与しているのでメンタルヘルス科に紹介される。といった具合に一般的な患者さんがストレス関連の愁訴や心身症で受診、あるいは紹介されるケースが急激に増加したと考えられますココロとカラダの健康には、ストレスに対する正しい理解と適切な対応が求められています。

では、ストレスとはそもそもどういうものなのでしょうか?詳細は当サイト「ストレスのメカニズムについて」をご参照ください。

ストレスのメカニズムについて


ストレスの定義は、当サイトの「メンタルトレーナーとは」でも語っていますが、ストレスを現代心理学用語で説明すると、「心身の適応能力に課せられる要求(デマンド:demand)と、その要求によって引き起こされる心身の緊張状態を包括的表す概念」ということになります。日本では悪い意味でストレスという言葉が使われることが多いのですが、ストレスとは本来、物理的な刺激、心理的な刺激、社会的な刺激に適応しようとして、ココロやカラダに生じたさまざまな反応のことを言います。

一方、健康とは1946年にWHO(世界保健機関)が次のように定義してます。
Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.
健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあることをいいます。(日本WHO協会訳)

健康とストレスについて、もう少し掘り下げてみてみましょう。

ココロをケアする人はお医者様以外にも必要

まず、THE21ONLINEにおける健康社会学者河合薫氏への取材記事『今の日本が「ストレス社会」になった理由とは?』をご紹介しておきたいと思います。
「現代だけが特別に、ストレスが多い時代とは思いません。強いていえば情報化社会になり、知らなくて済んだことまで耳に入るようになり、ストレスを感じる機会は増えたかもしれません。それ以外は、いつの時代もストレッサー(ストレスの要因)は存在して、人々の心を悩ませてきました。むしろ大きく変わったのは、ストレスに対処する私たちの資源です。ストレスは、いわば人生の雨です。
雨は草木の生長に必要なように、人間の成長の糧になる。一方、雨に打たれっぱなしでは身体が冷えて風邪をひいてしまう。そうならないために傘を差す必要があるのに、傘となる資源が激減しました。また、本当は傘が目の前にあるのにそれに気づかず、結果的に雨にびしょ濡れになってしまう人が増えてしまいました。」

夢や希望もストレスから身を守る傘になると思いますが、身近に相談できる家族や友人、上司や趣味の仲間などの傘をたくさん持っている人はストレスから守られ、ココロの健康は保たれます。しかし残念ながら現状の日本は「孤独大国」の道を確実に歩んでいます。国立社会保障・人口問題研究所(平成20年3月推計)では2030年に「3世帯に1世帯は単身世帯」になると予測していますし、日本では「友人、同僚、その他の人」との交流が「全くない」あるいは「ほとんどない」と回答した人の割合が15.3%おり、OECDの加盟国20か国中最も高い割合となっています。(OECD,Society at Glance:2005)

メンタルヘルスとりわけストレスに対して正しい知識とスキルを兼ね備えた人材は現代社会では必要不可欠な存在といえるでしょう。

今後求められる心理カウンセラー

日本で認識されている心理カウンセラーは国家資格が存在していなかったこともあり、実に様々な名称のカウンセラーが存在します。その中でも「うつ病」や「パニック障害」などの患者をケア、サポートするのが心理カウンセラーであるとイメージされる方が多いのではないでしょうか?実際に抑うつ障害などの精神障害や、ロジャースが提唱したクライエント中心療法などの心理療法等を学ぶことで心理カウンセラーの資格を取得されている方も数多くいらっしゃると思います。

心理カウンセラーの資格は、2018年9月に「公認心理師」という心理学の国家資格の試験が初めて実施されました。今後はこの国家資格「公認心理師」を中心に心理カウンセラーの活躍が見込まれますが、公認心理師は医師や弁護士のように業務独占資格ではありません。つまり心理カウンセラーは資格を持っていなくても仕事にすることができます。詳しくは当サイトの「心理の資格と通信講座の中身比較」でご確認ください。

心理の資格と通信講座の中身比較


前段でも述べましたが、心をケアする人が数多く求められるのが今の日本社会です。
ただし、うつなどの精神障害の方を心理カウンセラーは治療できません。治療は医師の仕事ですので、心理カウンセラーにできるのはただボランティアとして話し相手になることぐらいです。仕事として、医師と連携して患者をケアできるのは、理学療法士や作業療法士、公認心理師などの国家資格を持っている治療経験者のみです。心のケアができる新時代の心理カウンセラーとは、医療行為ができないため傾聴ばかりをしているカウンセラーのことではなく、ココロとカラダの状態を科学的に知り、そのココロとカラダの状態により医療行為以外の方法でサポートできるカウンセラーであるべきだと思います。病院に行くほどではないけど、毎日将来についての不安が消えないとか、なんとなくやる気が出ない、肝心な場面で身体が固まってしまう、など様々なココロとカラダの不調に対して適切なアドバイスができるカウンセラーが、新時代の心理カウンセラーと言えるのではないでしょうか。

メンタルヘルスコンディショナーまとめ

最先端のウェアラブル心拍センサーを使用することにより、ココロは可視化できます。
メンタルヘルスコンディショナーとは、従来のヒアリング中心の共感や寄り添いだけではなく、可視化されたココロの状態に応じて、相談者へ具体的なアドバイスができるカウンセラーのことをいい、楽しく健康になるライフスタイルを提供できる人です。
必要な知識
心理学全体の概要(進化の歴史、心理検査、精神障害と心理療法など)の理解、メンタルヘルスにおけるストレス状態とストレス反応へのアプローチ法の知識、さらにココロとカラダの健康の源ともいえる自律神経系の医学的知識を必要とします。
必要な実務
最先端のウェアラブル技術を活用し、可視化・客観化されたココロの状態をみて、呼吸法や快眠法、運動や食事のとり方、マインドフルネスなど、相談者に対して健全なメンタルヘルスの改善に関わる実務能力を必要とします。

あなたもメンタルヘルスコンディショナーになって、困っている人の傘になってあげてください。

記事(初版 2018/10/17)  メンタルヘルスコンディショニング講座講師・佐々木幹

佐々木幹

佐々木幹メンタルヘルスコンディショナーⓇ

投稿者プロフィール

株式会社スマイルエデュケーション3代表取締役

大手民間スクールで約30年間スクール経営に携わり、販売マーケティングを皮切りに、商品開発室、教務室、学務室、通信教育センターの各部門責任者を歴任

現在は、自身が企画したメンタルヘルスコンディショニング通信講座の資格(メンタルヘルスコンディショナー)を取得し、「Live」「Love」「Smile」をかけ合わせた造語『LiLoveS』をコンセプトとしたハッピーライフカウンセリング協会と、学ぶすべての方の笑顔を目指すSmileCom(スマイルコム)のスクール運営を行う一方で、当サイト(メンタルヘルス情報サイト)の記事執筆を手掛けている。

メンタルヘルスコンディショニング講座はコチラ
https://smile-learn.com/product/

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コメント

    • 銅鐸
    • 2019年 4月 22日

    なるほど。心理カウンセラーが資格がなくてもできるということを知らなかったので驚きました。心のサポートをできる人は多ければ多いほど良いですもんね。納得しました。

    • 佐々木幹
      • 佐々木幹
      • 2019年 5月 18日

      銅鐸さん

      記事をお読みくださりありがとうございます。

      少し講座の宣伝みたいになってしまいましたが、ストレスの事を少し知っているかいないかで、心のありようが大きく変わることがあると知っていただきたかったのです。
      記事本文中に河合さんの「ストレスは人生の雨」を紹介させていただきましたが、まさに言い得て妙な表現で、ストレスのない人生は成長も少ないのです。ただし、ストレスがありすぎると風邪をひいてしまいます。
      一人でも多くの人が傘を持ち、周りの人たちの傘になって欲しいと願っています。

    • きむ
    • 2019年 6月 17日

    精神科からメンタルヘルス科に名称を変えると受診者が増えたというところでなるほどーと感じました。
    もちろんストレスにかかわる症状で紹介される機会が増えたというのもあるとは思いますが、偏見じゃないですけど…精神科だとちょっと行きづらいというか、なんとなく本当につらくなった時の最後の手段という感じがしていきづらいように感じます。
    メンタルヘルス科だともっと軽い気持ちで受診できるような気がしますし、ココロの健康を保つためにもそういった相談しやすい場所は大切だと感じました。
    たくさんの人がストレスとうまく付き合えるようにメンタルヘルスコンディショナーという仕事は大切ですね。

    • 佐々木幹
      • 佐々木幹
      • 2019年 6月 17日

      きむさん

      投稿ありがとうございます。
      また記事に対するご意見にも重ねて感謝いたします。

      きむさん、「そーなんですよ。」名称ってすごく大切だと思うのです。
      私の中では『精神科』>『心療内科』>『メンタルヘルス科』のようなイメージで、深刻度合いを考えてしまいますので、「なぜ名前を変えないのだろう?」といつも思ってしまいます。ストレスは病気と診断されないことも多いので、保健制度とかの関係で精神科を標榜されたままなのかな?今度調べて記事にしてみたいと思います。

      ついでに付け加えさせていただくと、病名も私たちのイメージに大きな影響を与えます。
      その典型が、かつて「精神分裂症」と呼ばれていた病名です。あまりに人格否定的な病名であるということから今は「統合失調症」と呼ばれています。

      この病気は軽度なものを含めると100人に1人弱がかかる病気だそうです。
      100人に1人なら、自分も含めて私たちの周りにも普通にいる可能性が高いですよね。私が、精神科で「精神分裂症です。」と告げられたら、目の前が真っ暗になりネガティブなことばかり考えてしまいそうです。しかし、メンタルヘルス科で「統合失調症です。」と告げられたら、どのように回復させればよいのだろうか?とポジティブに考えられそうです。名称や呼称はとても大切なものだと思います。
      (参考:統合失調症とは)
      https://mentalhealthjoho.com/mental-syoujyou/441.html

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