ADHDとは、発達障害の一つで注意欠陥多動性障害という意味の英語の頭文字(Attention Deficit Hyperactivity Disorder) をとったものです。

ADHDは神経発達症の障害と言われており、子供から大人に成長すると表面上見える多動性や不注意、衝動性などが目立たなくなったり、問題行動が矯正されたりすることもあるため、これまでは大人になれば問題がなくなる障害であると思われてきました。しかし実際には大人になっても、なお社会生活で辛い思いをしている方が多くいらっしゃいます。最近になってようやく少しずつ理解されるようになってきたADHDの症状や対処方法、上手な付き合い方をご紹介します。

ADHDの症状とその特徴 子ども・大人別対処法 上手な付き合い方

ADHDの症状とその特徴


ADHDは、自閉症、アスペルガー症候群などと同じように発達障害者支援法(参考:特別支援教育について_発達障害者支援法_文部科学省)で定義付けられた発達障害の1つです。ADHDとは目に見えない脳の障害で、一見しただけでは障害を抱えているようには見えません。また、知的障害を伴っていないことも多く、できることもたくさんあるので、ミスが多いとか、やればできるのにやろうとしない、などと言われてしまうこともあります。ADHDの大きな症状は、不注意、多動性、衝動性の3つに大きく分けられます。

不注意の症状とは、忘れ物が多く物をなくしやすい、集中力が続かない、気が散りやすい、に加えて、興味のあることに対しては集中しすぎて時間の切り替えが難しい、片付けや整理整頓が苦手で、何かをやりかけたままほったらかしにしてしまうことが多いなどが挙げられます。多動性は、じっと座っていられず貧乏ゆすりなどそわそわと動いてしまったり、静かにするべきところで静かにしていられなかったり、過度におしゃべりが続いてしまうというのが特徴です。最後の衝動性は、順番が待てず、気に障ると乱暴な言動をしたり、人の行動を邪魔し、さえぎって自分がやってしまったり、会話の流れを無視して思いついたときにすぐに発言してしまうなどがあります。

さらに、ADHDは多動性・衝動性優勢型、不注意優勢型、混合型の3つのタイプに分けられ、多動性・衝動性優勢型は比較的に男の子に多く、不注意優勢型は女の子に多い症状とされています(参考:注意欠如・多動症(ADHD)ー MSDマニュアル 家庭版23. 小児の健康上の問題/学習障害と発達障害)。混合型は多動性、衝動性、不注意の全ての症状が混ざってあらわれるタイプで、約80%が混合型のタイプです。早期のうちに発見されやすいものの、アスペルガー障害と症状が似ているため、判断が難しい場合もあるようです。

ADHDの症状を抱える方は、子供の頃から症状が続き、大人になるにつれて多くの方はそれぞれ工夫や対策をして生活をしていますが、大人になっても状況の改善がうまくいかず、辛い思いをしながら生活している方も少なくありません。また落ち着きがなかったり、忘れ物が多かったりなどの行動は子供の頃にはADHDでなくてもよく見られるため、症状に気付かないまま大人になってしまい、その後も自分自身がADHDだと知らずに生活している方もいるようです。

子ども・大人別ADHDの対処法


ADHDは、集中力が続かず、じっとしていることが困難で、考えるよりも先に行動してしまうという症状です。忘れ物や簡単なミスが目立ったり、授業中に落ち着いてじっと座っていられないでいたりという症状は、小学生くらいまでの小さな子どもであれば良く見られる行動で、ADHDと判断しづらいことが多く、「大人になれば落ち着くだろう」と思われてそのままになってしまっているケースも多く見られるようです。

ADHDは発達障害の一つで、ある意味、その人が生まれ持った特性とも言えるため、治療しても根本的に治るというものではありません。症状をよく理解し、上手く付き合っていくことで社会生活に支障が出ないようにするというのが主な対処方法となります。ADHDの方の中には、子どもの頃からずっと症状に悩まされている人もいます。わかってはいても忘れ物や簡単なミスをしてしまって周りの人から怒られたり、状況を省みず発言や行動をしてしまい、周囲の人たちから距離ができ、うまく人間関係を形成できないことがも多いのです。

ADHDの症状で悩まれている方は、やはりまず心療内科など専門の医療機関での診断を受けることをお勧めします。ADHDの治療には薬物療法と行動療法がありまが、特に児童の場合には、たとえば活発さを多動性として過剰診断される心配もありますし、薬物療法では副作用の心配もあるので専門医を避ける場合もあるかもしれません。ただ、心理士など医師以外の方に相談する事自体はもちろん良いのですが、情緒障害や脳機能の異常などがみられるケースもあるため、ADHDの症状で悩まれているのであれば、まず専門医の診断を受けられる方が良いでしょう。

子どもの場合は、親や教師など監督者は、5分や10分など小さな目標をこまめに与え、じっと席に座っていられたら積極的に褒めてあげましょう。あらかじめ、注意しておくべきことを伝えてから行動させることによって、簡単なミスを少なくすることができます。興味があることから始めて、小さな目標設定をしてあげましょう。

大人になると、子どもの頃よりもADHDに悩まされることが多くなります。子どもの頃には学校や周りの大人たちからのサポートがありますが、社会に出ると周りからのサポートがなかなか得られないということがあります。そのため、自分の症状についてよく理解したうえで、自分で細かく目標を設定したり、しなければならないことをリスト化したりして、自分なりに思考を整理することが大切です。意識することで簡単なミスや忘れ物を少なくしていくことができると思います。

ADHDと上手に付き合うには


前述の通り、ADHDは子どもの頃に発症していても疑われるケースが多くないため、自分がADHDであることを知らないまま大人になり、辛い思いから抜け出せないという方も多く見られます。大人になるにつれて自分なりの工夫や対策によって何とか生活に馴染んだという方もいますが、まずは病気についてしっかりと理解しなければ、生活の改善は期待できません。

なお、ADHDの症状は、他の精神疾患と同じく人によって異なります。ADHDといわれているような症状で悩んでいるのであれば、まず心療内科などの医療機関で正しい診断を受け、適切な治療を施してもらうようにしてください。そして、自分の症状の特徴を理解し、自分の特性に合った仕事や環境に身をおくようにしましょう。症状の中には、日常生活や仕事の面で支障をきたす場合も多いですが、特徴を知っていれば上手く活かせることもあります。

例えば、色々なことが気になって一つのことに集中できないということは、周りのさまざまなことに目をむけ、独特の感性や発想につなげられるということです。また、不注意やミスも、自分の失敗が多いので他人の失敗にも寛容だったりするのも大きな強みではないでしょうか?特に小さなミスや忘れっぽいことはリスト化したり、同僚やチームでのダブルチェックで軽減できたりしますので、ADHDだからと言ってネガティブに考えるのではなく、積極的に能力を活かしていってください。またADHDの方の最大の特徴である、得意な分野や興味があることに対しては集中力が高いまま長時間過ごせるのもぜひ活かしたいところです。得意な分野では簡単なミスも少なくなるため、自分の趣向に合わせた仕事を選ぶことによってADHDと上手く付き合いながら強みを活かして生活を送ることができます。

このように、ADHDと上手く付き合うためには、自分の症状を理解し、強みと弱みをしっかりと把握することが大切です。強みを活かせる状況に自分の身をおき、弱みに対して改善するためには、小さな目標を焦らずこまめに達成していくという方法をとりましょう。前述したように、ADHDは脳の特性のひとつで、怠けや努力不足ではありません。

ADHDを正しく理解することで、ADHDをネガティブに捉えるのではなく、良い部分に光を当て、自分の存在にもっと自信を持って生活していくことが、本人やその周りの方たちを幸せにすます。
ジョンソン・エンド・ジョンソングループの医薬品部門として、人々の健康に貢献しているヤンセンファーマ株式会社が運営しているサイトのなかにあった「ADHDの有名人_ADHDナビ」をご覧ください。これらの偉人たちは、ADHDであればこそ人類の歴史を変えることができたのかもしれません。

ADHDの方はもちろん、自分の周りにADHDに似た症状の人がいるなと思っている方たちも、ADHDを正しく理解して幸せなコミュニケーションを築いていきましょう。

記事 メンタルヘルスコンディショニング講座講師・佐々木幹

佐々木幹

佐々木幹メンタルヘルスコンディショナーⓇ

投稿者プロフィール

株式会社スマイルエデュケーション3代表取締役
一般社団法人ハッピーライフカウンセリング協会代表理事

大手民間スクールで約30年間スクール経営に携わり、販売マーケティングを皮切りに、商品開発室、教務室、学務室、通信教育センターの各部門責任者を歴任

現在は、自身が企画したメンタルヘルスコンディショニング通信講座の資格(メンタルヘルスコンディショナー)を取得し、「Live」「Love」「Smile」をかけ合わせた造語『LiLoveS』をコンセプトとしたハッピーライフカウンセリング協会と、学ぶすべての方の笑顔を目指すSmileCom(スマイルコム)のスクール運営を行う一方で、当サイト(メンタルヘルス情報サイト)の記事執筆を手掛けている。

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