アドラー心理学とは?

アドラー心理学は、心理学に詳しい方はもちろん、近年はアドラー心理に関する書籍がヒットしたり、ドラマのテーマなどでも取り上げられたりしているため、一般の方も耳にする機会が増えてきています。心理学の3大巨頭と称されるアルフレッド・アドラーが提唱した心理学であり、欧米では個人心理学とも呼ばれていますアドラー心理という言葉は知っていても実際にどのような内容なのかをしっかりと理解している人は少ないのではないでしょうか。そもそもアドラー心理学とは何なのか?他の心理学とどのような違いがあり、どのように活かすことが出来るのかを交えて、ご紹介していきます。

アドラー心理学って何?

アドラー心理学は、オーストリアのとある精神科医によって作られた心理学の理論、思想です。理論的な特徴としては、人間を1つのものとして捉え、理性と感情、また、意識と無意識の対立を認めないという全体論、目的論です。つまり行動の原因でなく目的を理解しようとすること、客観事実に対する個人の主観的認知システムを客観事実自体よりも重視すること、そのほか対人関係論、精神面よりも個人とその相手との対人関係を理解しようとすること、などがあります。

その中でも最も重きを置いているのが目的論で、人は過去の出来事によって突き動かされて生きているのではなく、現在の目的を達成するために生きているという考え方です。過去のトラウマを否定する考え方でもあり、人生は常に自分で選択をすることができるものであり、これまでの人生において辛くて仕方のないことがあったとしても、過去とこれから未来をどう生きるかは無関係であると唱えました。この考え方は、自分の選択や気持ち次第で未来はいくらでも切り開いていけるというもので、勇気の心理学とも呼ばれています。

アドラー心理学は、自己啓発の手法としても重要視されています。思想的な特徴に関しては、 他者を支配することなく生きる決心をすることや、他者に関心を持って相手を援助しようとすることなどがあります。そのため、アドラー心理学は自分自身が変わるための心理学とも考えられています。アドラーは、人は皆客観的な世界に住んでいるというわけではなく、自らが意味付けを施した主観的な世界に住んでいる、と言っています。

今起きていることの原因を考えるのではなく、今自分がしたいこと、そして何をするべきなのかを考えたうえで、行動として現実的に行うことができる方法を考える心理学なのです。日本人であれば特に、周りの目を気にしすぎて行動や発言を控えたり、過去に捉われて自由に行動したりすることができない人が多い人種と言われています。だからこそ、それを覆すアドラー心理学に注目が集まるのかもしれません。

他の心理学と何が違うのか

最も注目されるアドラー心理学の特徴としては、悩みというものはすべて対人関係の悩みであるという考えのもと、根底からフロイト的な原因論を覆す、目的論の立場をとるところです。分かりやすい例としては、小さなときに感じたトラウマが原因となって社会で上手くやっていけないと考えるのがフロイトの原因論であり、社会で上手く周りの人と関わることができない、または関わりたくないから、過去の嫌な記憶を持ち出して言い訳にしていると考えるのが、アドラーの目的論です。

アドラー心理学が、そのほかの心理学と決定的に違う事は、他の心理学が現在から過去に向かって考えるが、アドラー心理学は、現在から未来に向かって考えるという点です。これからの未来を幸せに生きていくためにどのようにして自分の目的を達成していくのかを考え、行動にうつしていきます。自分自身の力で変化し、未来を切り開いていくということがアドラー心理学の最も大切な部分です。

これまでのフロイトに代表される心理学のほとんどは、人間の行動の原因に何があるのかを探し、人間をいくつかのグループに分けて考え、環境の影響からは免れることができないと考えます。こういう心理学は、有名な数学者たちの科学思想をそのまま心理学にあてはめる考えを基礎にして成り立っています。一方でアドラーは、これらの伝統のある科学思想とは違って、新たな理論を構築した1人目の心理学者と言えるでしょう。

周りの環境や人、過去に起きたこと、運などに縛られて、上手くいかないことが起きた時にそれらを持ち出して嫌なことから逃げてしまうのではなく、どのようなことがあったとしても言い訳せずに、原因を探さずに、いかにして目的を達成するのか、そのためには自分がどう行動するべきなのかということを前向きに考えることを最も大切にしているという点も、アドラー心理学が他の心理学と違う点でもあります。

心理学というと、どうしても過去に起きたことや心の中を分析し、問題を排除することを目的としているように思われがちですし、実際カウンセリングなどではそのような手法が用いられることが非常に多いです。そんな中で、自分の認識や考え方、選択次第で全てを変えることができる、ただ目的を達成するために前向きに行動していくことで幸せな人生を送ることが出来るというアドラー心理学は非常に特別なものです。

アドラー心理学で活かせることとは

数ある心理学の中でも、働く人々に役立つ心理学として注目されているのがアドラー心理学です。活かせる考え方としてまずは、課題の分離つまり自分で対処すべき課題と、自分にはコントロールすることができない他者の課題を明確に分けるということです。職場に限らずですが、人間関係の問題は他社の課題に踏み込むことと自分の課題に踏み込まれることが原因となってひき起こります。

そして、周囲からの承認を求めないことです。人間は、周りの人からほめられたい、認められたいという欲求が非常に強いです。それは仕事の場面ではさらに顕著ですが、アドラー心理学ではそれを否定しています。周囲の人がどのような評価を下すのかは、自分の課題ではなく他者の課題です。仕事をすることを含め、私達は誰かに認めてもらい、評価してもらうために生きているわけではありません。そのように考えることができれば、より仕事を自分の目的の為に懸命に励むことが出来ますし、無駄なストレスを感じる必要がなくなります。

アドラー心理学の考え方は、現代のストレスが非常に多い環境の中で働く人々にとって、前向きに楽しく仕事に励み、人生を充実させる助けになるかもしれません。また、仕事以外でも生活に大きなストレスを感じて生きている方は非常に多いと思います。そしてそのストレスの原因は、ほとんどの場合が対人関係にあります。アドラーも、全ての悩みは対人関係の悩みであると唱しています。これを解決する1つの考え方としてアドラーは嫌われる勇気を持つということを示しています。自分の思うように行動し、それが正しいことであったとしても、それを見た人の中には必ず悪く言う人は居るものです。

全ての人に認められ、全ての人に評価されるということはほとんどありません。全ての人に認められようとして、他者からの評価ばかりを気にして行動していると、強いストレスを感じまったく自由に生きることができなくなります。そのような人生はもはや自分の人生を生きているとはいえなくなってしまいます。自分の人生を自由に生きる、その目的のために自分はどう考え、行動すべきなのか、そう考えることでより楽しく、充実した人生を送ることが出来るのではないでしょうか。

ストレスを感じることが非常に多く、悩みを抱える人も多くいる現代社会においてアドラー心理学は非常に有用であると言えます。人々が感じるストレスの大半は対人関係から引き起こされるもので、回りの人からの見られ方や評価を気にしすぎて生きているということが問題であるという考えです。しかし、人生は人のためにあるものではなく自分のためにあるもので、自分の人生は自分の目的を達成するために生きるべきものです。

アドラー心理学を実践することによって、周りの目や過去の出来事、周囲の環境などにばかり目を向けて後ろ向きに生きるのではなく、自分の目的を考え、それを達成するためにどうすべきかを考え行動することで、人生をより楽しむことが出来るでしょう。悩みを抱える人には、ぜひ一度アドラー心理学を学び自分と向き合ってみることをお勧めします。

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