ロールシャッハテストって?

テスト 黒板

ロールシャッハテストは、精神医療や職業の適性検査などに用いられている診断方法です。テレビドラマや映画などでもしばしばロールシャッハテストが行われているシーンがあるため、何となくご存知の方も多いのではないでしょうか。
受検者の深層心理を探るためのテストとして知られているロールシャッハテストがどのようなもので、どんな機関で受けることができるのか、またこのテストでどんなことがわかるのかを詳しくご説明します。

ロールシャッハテストとは何か テストの目的 テストはどこで受けられるのか

ロールシャッハテストとは何か

ロールシャッハテストとは、1921年にスイスの精神分析家であるヘルマン・ロールシャッハによって考案された性格検査の診断方法の一つです。心理学における投影法を用いた検査で、深層心理を探ることができるとされています。
投影法とは、受検者に比較的自由度が高く正誤や優劣の評価を下すことが難しい課題の遂行を求め、その結果からパーソナリティを測定する方式をとる性格検査の1つのカテゴリーをいいます。曖昧な視覚的、言語的刺激に対する被験者の連想、自由な発想や想像の産物、およびそれを産み出す過程を評価します。心理検査のなかでも、人格目録法*と異なり、無意識のレベルにおける個性を測定することが可能であるとされ、受検者が意図的に結果を操作することも難しいという利点があります。
*人格目録法:性格傾向のさまざまな側面に関する記述に対し、自らが該当するか否かを判断して回答(「はい」「いいえ」のいずれかなど)する形式の心理検査の総称。
ロールシャッハテストのほかにも、アメリカの心理学者マレーによって開発されたTAT(主題統覚検査)やスイスの心理学者コッホによって開発されたバウム・テスト(1本の実のなる木を描いてもらう)など様々な投影法の検査方法があります。

メンタルヘルスコンディショニング講座:メインテキスト2<3章>:ストレスを測る

一方で、ロールシャッハテストは検査側も受検者への回答の解釈が非常に難しく、専門的な知識と経験が必要で鋭い洞察力が求められます。ロールシャッハテストは考案されてから90年以上の歴史があり、日本では1930年代に紹介され、臨床心理の現場で今でも広く用いられている診断方法です。病気や障害の有無を診断するものではなく、性格や人格など内面を理解するためのもので、職業の適正検査や、ストレスの原因を探るためなどに実施されています。

ロールシャッハテストは、インクブロット・テストと呼ばれていましたが、そのテストはカード上にインクを数滴垂らして二つ折りにし、それを広げてできた左右対称になったインクのシミ(無彩色、赤と黒の2色、複数の色彩)を用い、何に見えるか、どんな風に見えるか、何故そう見えるかという質問と回答を繰り返すことによって行われます。シミを見たときの受検者の反応や態度、回答にかかった時間も全て記録され、判断されます。
ロールシャッハテストは面談形式が一般的ではありますが、記述式や感じたことに一番近いものを選ぶというテスト形式もあります。正解が存在しないテストのため、図柄を回転させたり、一部分だけを見せたりしてからの回答も可能で、思い浮かばないということも回答になります。面談形式での場合は回答に対して掘り下げた質問をされることもあり、検査時間が2時間以上もかかることもあるようです。

ロールシャッハテストの目的

女性 寝顔
ロールシャッハテストは、前述の通り、無意識レベルにおける個性を測定することが可能とされており、優れた検査者によって受検者の性格や思考様式、感情状態、対人関係、自己認知などのパーソナリティの構造を捉えることができます。それゆえロールシャッハ・テストは、「発達支援」として活用されることがあります。発達支援ではカウンセリングや治療の経過で、受検者の内面や思考がどのように変遷しているかを調べるという目的で、一度だけではなく何度もロールシャッハテストが行われる場合もあります。

また、ロールシャッハテストは病気や障害の有無を診断するものではありませんが、原因不明の頭痛や腹痛、不眠や拒食などメンタルヘルスが要因と疑われる症状の際に、「心理カウンセリング」で活用することもできます。ロールシャッハテストは、こうした不調が現れている際に精神面の問題の有無を探るという目的や、より患者に適した治療方法やカウンセリングを提案するために、患者の深層心理を理解する目的で用いられているようです。(参考:治癒力アップ「不規則な生活から身を守るには」

その他、ロールシャッハテストは「職業適性検査」に使用されることもあります。ただし、このテストは候補者一人一人に時間をかける必要がある上、優れた専門家による分析が必要なので、あまり実用的といえず一般企業で用いられることはほとんどありません。、職業適性に使用される場合は、受検者が自覚していない深層心理の中にある反社会性や暴力性、衝動性の有無などをチェックする目的に使用されることが多く、警察官や教員、航空会社の採用試験の1つとして活用されることがあります。

ロールシャッハテストの回答は精神科医や臨床心理士など専門の有資格者が、統計データを基に受検者の人格を判定しますが、受検者の育った環境や文化に大きく影響され、普遍性が欠けているため統計データだけで判断するのは不十分との見方もあり、あくまでも受検者の人間性を理解するための一つの方法として捉えられているようです。

ロールシャッハテストはどこで受けられるのか

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ロールシャッハテストは、実施するのに長くて2時間以上かかる場合があり、回答の解釈も難しく、専門的な知識を要する有資格者の診断が必要です。技術も必要なため、希望すればどこでも受けられるというわけではありません。ロールシャッハテストを行っている機関の多くは精神科や心療内科のある病院か、臨床心理士が在籍している施設で、テストを実施していないところも存在しています。また、ロールシャッハテストを行っていても、医師や臨床心理士がロールシャッハテストの知識と技術が乏しい場合もあります。

テストを希望する場合は、知識と技術が豊富な医師や臨床心理士のいる専門機関を紹介してもらいましょう。当サイトの「メンタルヘルスに関するリンク集」からも自分の住んでいる地域の相談窓口を探すことができます。また、全国の発達障害者支援センターは、国立障害者リハビリテーションセンターによる「発達障害情報・支援センターの相談窓口情報」から探すことができます。

ロールシャッハテストは多くの場合、カウンセリングや治療の一環で行われます。そのため、ロールシャッハテストを行っていたとしても、テストのみを受検できるかどうかは施設によって変わります。紹介してもらった機関が、テストのみを受け付けてくれるのかどうか必ず問い合わせるようにしてください。また、診療や治療のためのものであれば保険が適用されますが、特別な理由がなく本人の希望でテストのみを受けたいという場合、保険が適応されないことが多いです。

保険適用の場合と不適用の場合とでは費用に大きく開きがあり、保険不適用の場合、テストを受ける施設によって数千円で済む場合もあれば数万円かかる場合もあります。例えば「北里大学附属臨床心理相談センター」は3000円程度で実施しています。ロールシャッハテストを受ける場合は事前に確認しておくようにしましょう。ロールシャッハテストの結果は明確に病気や障害の有無を診断するものではなく、医師や臨床心理士との相性も結果に大いに影響するものであるため、テストを受ける際はよく理解した上で信頼できる機関を選ぶようにしましょう。

深層心理の欲求や感情、人格を知ることができるというロールシャッハテストについて、どのように診断されていくのか、どのようなところで受検できるのかをご紹介しました。近年ではロールシャッハテストを使ってインターネットでの簡単な性格診断ができるサイト「ロールシャッハ・テスト オンライン」※なども増え、心理テストの一つとして身近なものになってきました。
※海外サイトを日本語に機械翻訳しているサイトですので、日本語の表現に一部不適切な表現がありますが、無料で簡単に利用できます。

ロールシャッハテストは精神面、情緒面の治療やカウンセリングで用いられるとは言え、正確に人格を診断できるものではないため、診断結果に囚われすぎず、こんな一面もあったのかという気楽な気持ちで受検されることをおすすめします。

記事 メンタルヘルスコンディショニング講座講師・佐々木幹

佐々木幹

佐々木幹メンタルヘルスコンディショナーⓇ

投稿者プロフィール

株式会社スマイルエデュケーション3代表取締役
一般社団法人ハッピーライフカウンセリング協会代表理事

大手民間スクールで約30年間スクール経営に携わり、販売マーケティングを皮切りに、商品開発室、教務室、学務室、通信教育センターの各部門責任者を歴任

現在は、自身が企画したメンタルヘルスコンディショニング通信講座の資格(メンタルヘルスコンディショナー)を取得し、「Live」「Love」「Smile」をかけ合わせた造語『LiLoveS』をコンセプトとしたハッピーライフカウンセリング協会と、学ぶすべての方の笑顔を目指すSmileCom(スマイルコム)のスクール運営を行う一方で、当サイト(メンタルヘルス情報サイト)の記事執筆を手掛けている。

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https://smile-learn.com/product/

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