カラハラに悩んだら

精神的、肉体的苦痛を与えるハラスメントには、様々な種類がありますが、近年になって登場したハラスメントに、カラハラというものがあります。あまり、有名なものではないので初めて耳にするという方も多いのではないでしょうか?しかし、その言葉自体は知らなくとも、歌いたくないのにカラオケで歌を歌うことを強要されたことがあるという方は多いと思います。それが、カラハラです。実際に起きている事例としてどのような被害ケースがあるのか、発生を防ぐためにはどうしたら良いのかなどを分かりやすく紹介いたします。

カラハラとは何か

カラハラとは、カラオケハラスメントの略語で歌を歌うことを嫌だと言っている人や歌うことが苦手な人に、立場関係や職権などを振りかざして歌を歌うことを強要することを言います。

もともとは、権力を振りかざすパワーハラスメント、つまりパワハラの一種です。取り引き先や上司など仕事関係の人とカラオケに行くことを断ったり、参加したとしても歌を歌わなかったりすることで、仕事に支障が出てきてしまうなどの不利益や精神的苦痛を感じさせられることに特化した問題として、クローズアップされるようになりました。

一見一緒にカラオケに行って歌を歌うことを促すくらいではカラハラにはなりませんし、よくある光景と言えます。しかし、相手が嫌がっているのに強制的に歌を歌わせたり、歌わざるを得ない状況に追い込んだり、取り引きや昇進などを盾にして強要し、精神的な苦痛を与えることは全てカラハラになります。

カラオケで、歌うことを拒否するとその場の盛り上がっている雰囲気を壊してしまうのではないかと考え、断ることができずに渋々歌ったことがあるという方も多くいらっしゃるでしょう。しかし、歌が苦手な人にとって皆の前で歌を歌うということは非常に精神的な負担がかかります。そして、その苦しみを理解せずに、恥ずかしがるな、歌も歌えないなんでだらしない、つまらないやつだなどと罵って無理に歌わせることでカラハラは起きてしまいます。

強制的にカラオケで歌わせるために、仕事の内容を持ち出すということが非常に深刻な問題となっています。断りたいのに、仕事をスムーズに進めるため、上司に認めてもらうため、嫌われないためには断ることは出来ない、という思いはとても大きなストレスとなります。

カラハラはこれだけカラオケが普及し、一種のコミュニケーションの手段として成立しているからこそ起こる、現代ならではのハラスメントと言えます。本来娯楽であるはずのカラオケがカラハラという苦痛を感じるものの要因となってはいけません、相手を思いやり一緒にカラオケの空間を楽しもうという気持ちを皆が持つことが必要です。

カラハラの被害例

実際にカラハラが起こる事例としてはどのようなものがあるのでしょうか。3つご紹介します。

1.社内で発生するカラハラの事例
まず挙げられる例としては、社内で飲み会があった際に2次会などでカラオケに行くことになった時です。歌が苦手な人や歌うことが嫌いで歌うことを拒否している人に、社内の上下関係や立場を振りかざして無理に歌を歌わせることや、そうせざるを得ないように仕向けるということがあります。要求に従わなかったことでプロジェクトから外されるなどの不当な扱いを受けたり、社内で立場が悪くなったりするなどの不利益や精神的苦痛を被るケースがあります。このような場合は、カラハラと認定されます。また、要求を呑んで無理に歌わされ、精神的な苦痛を味わったにも関わらず、その歌が上手ではなかったために取り引き先との接待の場から外される、など仕事に影響が出てしまう場合もあるようです。

2.社外で発生するカラハラの事例
そして、接待中に起こるカラハラもあります。取り引き先とカラオケに一緒に行くことになり、取り引き先に歌うように言われたが、歌が苦手で断ったため取り引き先が気分を害し、怒号を浴びせられたり取り引きが上手くいかなくなってしまったり、と言った例もあるようです。そして上司になぜ歌わなかったのか、歌を練習しておくべきだったと叱責を受けたり、担当から外されたりと、これも立派なカラハラです。

3.そのほかで発生するカラハラの事例
その他にも拒否する相手に男女のデュエットを強要したり、歌っている姿の動画や写真を本人の許可無く撮影して、勝手にインターネット上に投稿したりすることも、カラハラの一種です。特にSNSが盛んな現代社会ならではですが、勝手に動画や写真をインターネット上にアップするということは、カラハラだけに留まらず肖像権の侵害という犯罪になる恐れのある深刻な問題といえるでしょう。

カラハラが起きないようにするためには

歌が苦手、または歌うことが嫌いな人にとって非常に深刻で精神的な負担の大きいカラハラですが、カラハラを引き起こさないようにするためには一体どうしたら良いのでしょうか?そもそも歌いたくないのであれば、カラオケに行かなければいいという意見もあるでしょう。個人的な集まりのものであればそれが一番だと思います。

しかし、仕事上の付き合いや業務の一貫となればどうでしょう。自分が歌を歌うことが嫌い、または苦手だからといってカラオケに参加すること自体を拒否するということは、非常に難しいです。仕事上の立場が悪くなってしまったり上司からの評価が悪くなってしまったり、取り引き先との関係が悪くなってしまったりする危険性があるからです。本来カラオケは業務ではありませんので、こういったことがあること自体が問題ですが、この風潮を完全に無くすということはなかなか難しいことでしょう。

カラハラを避けるために最も重要なのは、断る側、誘う側、双方が相手に対しての思いやりをきちんと持つことです。初めから悪意を持って誘う人はほとんど居ませんし、ただ一緒に楽しみたい、その場の雰囲気を盛り上げたいという思いから声をかけているということを断る側も忘れてはいけません。そのため、ピシャリとぶっきらぼうに「歌いません!」というような態度では、相手の気持ちを害してしまいます。その場の雰囲気を壊さないように、そして皆に納得してもらえるような伝え方、そして申し訳ないという思いをきちんと伝えて断るようにしましょう。一緒に参加している人の中に相談できる人がいるのであれば、事前に助けてもらえるようにお願いしておくこともおすすめです。

そして誘う側は、歌を歌いたくない人の気持ちを、きちんと考えなければなりません。誰にだって得手不得手はありますし、好きなこと、嫌いなことはあります。皆が同じではないのです。そして、カラオケは業務ではありませんし、仕事とは根本的には関係がないということを忘れてはいけません。仕事を上手く進めるためのコミュニケーション手段の一つなのです。一度拒否されたら、相手の気持ちを察し、引くということが必要です。

カラオケは、本来参加者皆で楽しむための娯楽です。仕事関係のメンバーで行うとしても、それはあくまで関係性を築くためのコミュニケーション手段の一つです。それが、歌を歌えないからといって精神的苦痛を感じたり、不当な扱いを受けたりするものであってはいけないはずです。歌を歌えない人を批判したり、貶したりするのではなく、お互いに相手の気持ちを考える思いやりを持って一緒にその空間を楽しむことで、より良好な関係性を築くことができるのではないでしょうか。

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