カラハラに悩んだら

精神的、肉体的苦痛を与えるハラスメントには、様々な種類がありますが、近年になって登場したハラスメントに、カラハラというものがあります。あまり有名なものではないので初めて耳にするという方も多いのではないでしょうか?しかし、その言葉自体は知らなくとも、歌いたくないのにカラオケで歌を歌うことを強要されたことがあるという方は多いと思います。それが、カラハラです。実際に起きている事例としてどのような被害ケースがあるのか、発生を防ぐためにはどうしたら良いのかなどを分かりやすく紹介いたします。

カラハラとは何か 被害例 ストレスの危険性 カラハラ予防法

カラハラとは何か

カラハラとは、カラオケハラスメントの略語で、歌を歌うことを嫌だと言っている人や歌うことが苦手な人に、立場関係や職権などを振りかざして歌を歌うことを強要することを言います(「カラハラ」に悩む人たち 苦手な歌を無理強いされ、拒否したら異動 | 企業ニュース | 転職・就職に役立つ情報サイト キャリコネ)。

もともとは、権力を振りかざすパワーハラスメント、つまりパワハラの一種です。厚生労働省は、パワーハラスメントを「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」として定義しています(職場のパワーハラスメントについて |厚生労働省 )。

カラハラは、取り引き先や上司など仕事関係の人とカラオケに行くことを断ったり、参加したとしても歌を歌わなかったりすることで、仕事に支障が出てきてしまうなどの不利益や精神的苦痛を感じさせられることに特化した問題として、クローズアップされるようになりました。カラハラという言い方は1999年ごろから、俗語として使われ始めたようです(カラハラ(からはら) – 日本語俗語辞書)。

一緒にカラオケに行って歌を歌うことを促すくらいではカラハラにはなりませんし、よくある光景と言えます。しかし、相手が嫌がっているのに強制的に歌を歌わせたり、歌わざるを得ない状況に追い込んだり、取り引きや昇進などを盾にして強要し、精神的な苦痛を与えることは全てカラハラになります。マイナビの新社会人向けの記事では、より具体的な事例がいくつも紹介されているので「これってカラハラなのだろうか?」と思う方はご参照ください。(これってカラハラ!? カラオケでドン引きしたエピソード「10回連続で『女々しくて』」「必ず洋楽を3曲歌うこと」 | 社会人ライフ全般 | 社会人ライフ | フレッシャーズ マイナビ 学生の窓口)

カラオケで、歌うことを拒否するとその場の盛り上がっている雰囲気を壊してしまうのではないかと考え、断ることができずに渋々歌ったことがあるという方も多くいらっしゃるでしょう。しかし、歌が苦手な人にとって皆の前で歌を歌うということは非常に精神的な負担がかかります。そして、その苦しみを理解せずに、恥ずかしがるな、歌も歌えないなんてだらしない、つまらないやつだなどと罵って無理に歌わせることでカラハラは起きてしまいます。

強制的にカラオケで歌わせるために、仕事の内容を持ち出すということが非常に深刻な問題となっています。断りたいのに、仕事をスムーズに進めるため、上司に認めてもらうため、嫌われないため、に断ることは出来ない、という思いはとても大きなストレスとなります。

カラハラはこれだけカラオケが普及し(カラオケ人口は2015年度時点でおよそ4750万人 | カラオケ白書 カラオケ業界の概要と市場規模)、一種のコミュニケーションの手段として成立しているからこそ起こる、現代ならではのハラスメントと言えます。本来娯楽であるはずのカラオケがカラハラという苦痛を感じるものの要因となってはいけません、相手を思いやり一緒にカラオケの空間を楽しもうという気持ちを皆が持つことが必要です。

カラハラの被害例

実際にカラハラが起こる事例としてはどのようなものがあるのでしょうか。3つご紹介します。

1.社内で発生するカラハラの事例
まず挙げられる例としては、社内で飲み会があった際に2次会などでカラオケに行くことになった時です。歌が苦手な人や歌うことが嫌いで歌うことを拒否している人に、社内の上下関係や立場を振りかざして無理に歌を歌わせることや、そうせざるを得ないように仕向けるということがあります。要求に従わなかったことでプロジェクトから外されるなどの不当な扱いを受けたり、社内で立場が悪くなったりするなどの不利益や精神的苦痛を被るケースがあります(「カラハラ」に悩む人たち 苦手な歌を無理強いされ、拒否したら異動 | 企業ニュース | 転職・就職に役立つ情報サイト キャリコネ)。このような場合は、カラハラと認定されます。また、要求を呑んで無理に歌わされ、精神的な苦痛を味わったにも関わらず、その歌が上手ではなかったために取り引き先との接待の場から外される、など仕事に影響が出てしまう場合もあるようです。

2.社外で発生するカラハラの事例
そして、接待中に起こるカラハラもあります。取り引き先とカラオケに一緒に行くことになり、取り引き先に歌うように言われたが、歌が苦手で断ったため取り引き先が気分を害し、怒号を浴びせられたり取り引きが上手くいかなくなってしまったり、と言った例もあるようです。そして上司になぜ歌わなかったのか、歌を練習しておくべきだったと叱責を受けたり、担当から外されたりと、これも立派なカラハラです。

3.そのほかで発生するカラハラの事例
その他にも拒否する相手に男女のデュエットを強要したり、歌っている姿の動画や写真を本人の許可無く撮影して、勝手にインターネット上に投稿したりすることも、カラハラの一種です。特にSNSが盛んな現代社会ならではですが、勝手に動画や写真をインターネット上にアップするということは、カラハラだけに留まらず肖像権の侵害という犯罪になる恐れのある深刻な問題といえるでしょう。

ストレッサーが重なると危険

メンタルヘルスコンディショニング講座:メインテキスト2<1章>臨床心理学とメンタルヘルス

「たかがカラオケでしょ。」とか「私は音痴だからあまり歌わないけど、もしマイクが回ってきても平気。」あるいは「歌うことに神経質になりすぎる方が問題かも?」など、カラハラに関しては被害にあう人に問題があるかのような意見もあるでしょう。

ただ、ストレッサー(stressor/暑さや寒さ、病気や精神的緊張など、外部から加わる刺激のこと)の1つ1つが軽微なものであっても、それが重なり合うと深刻なストレス状態を引き起こす場合がありますし、そもそもカラハラなどハラスメントとは、嫌がらせや相手を不快にさせる行動のことですが、毎日同じ職場や同じメンバーではたらく関係では、意識しないうちに発生しやすい問題です。職場が忙しすぎてゆとりがなくなると自分のことを一方的に優先させ、仲間の気持ちや立場を考慮しない状態になりがちです。これを「他者配慮性が失われる」といいますが、これがひどくなると職場などの集団の欲求不満解消のため、不満のはけ口として誰か1人を排除して犠牲にしようとする傾向が生じることもあります。

深刻になりすぎるのも良くないですが、軽く考えたり一方的に我慢しすぎるのはとても危険なことです。もし被害にあわれている方がいらっしゃれば、当サイトのリンク集にもありますが、厚生労働省のホームページ「あかるい職場応援団には、無料で秘密厳守な相談窓口のご案内のページもありますので、深刻なストレスに陥る前に相談されてみてはいかがでしょうか。
解雇や配置転換、パワーハラスメントなど、労働問題に関するあらゆる分野について、専門の相談員が面談あるいは電話で受け付けてくれる「総合労働相談コーナー(各都道府県労働局)」や、差別や虐待、パワーハラスメントなど、様々な人権問題についての電話相談を受け付ける「みんなの人権110番(全国共通人権相談ダイヤル)」などがあります。

カラハラが起きないようにするためには

歌が苦手、または歌うことが嫌いな人にとって非常に深刻で精神的な負担の大きいカラハラですが、カラハラを引き起こさないようにするためには一体どうしたら良いのでしょうか?そもそも歌いたくないのであれば、カラオケに行かなければいいという意見もあるでしょう。個人的な集まりのものであればそれが一番だと思います。

しかし、仕事上の付き合いや業務の一環となればどうでしょう。自分が歌を歌うことが嫌い、または苦手だからといってカラオケに参加すること自体を拒否するということは、非常に難しいです。仕事上の立場が悪くなってしまったり上司からの評価が悪くなってしまったり、取り引き先との関係が悪くなってしまったりする危険性があるからです。本来カラオケは業務ではありませんので、こういったことがあること自体が問題ですが、この風潮を完全に無くすということはなかなか難しいことでしょう。

カラハラを避けるために最も重要なのは、断る側、誘う側、双方が相手に対しての思いやりをきちんと持つことです。初めから悪意を持って誘う人はほとんど居ませんし、ただ一緒に楽しみたい、その場の雰囲気を盛り上げたいという思いから声をかけているということを断る側も忘れてはいけません。そのため、ピシャリとぶっきらぼうに「歌いません!」というような態度では、相手の気持ちを害してしまいます。その場の雰囲気を壊さないように、皆に納得してもらえるような言い方であったり、そして申し訳ないという思いをきちんと伝えて断るようにしましょう。一緒に参加している人の中に相談できる人がいるのであれば、事前に助けてもらえるようにお願いしておくこともおすすめです。

そして誘う側は、歌を歌いたくない人の気持ちを、きちんと考えなければなりません。誰にだって得手不得手はありますし、好きなこと、嫌いなことはあります。皆が同じではないのです。そして、カラオケは業務ではありませんし、仕事とは根本的には関係がないということを忘れてはいけません。仕事を上手く進めるためのコミュニケーション手段の一つなのです。一度拒否されたら、相手の気持ちを察し、引くということが必要です。

カラオケは、本来参加者皆で楽しむための娯楽です。仕事関係のメンバーで行うとしても、それはあくまで関係性を築くためのコミュニケーション手段の一つです。それが、歌を歌えないからといって精神的苦痛を感じたり、不当な扱いを受けたりするものであってはいけないはずです。歌を歌えない人を批判したり、貶したりするのではなく、お互いに相手の気持ちを考える思いやりを持って一緒にその空間を楽しむことで、より良好な関係性を築くことができるのではないでしょうか。

記事 メンタルヘルスコンディショニング講座講師・佐々木幹

佐々木幹

佐々木幹メンタルヘルスコンディショナーⓇ

投稿者プロフィール

株式会社スマイルエデュケーション3代表取締役
一般社団法人ハッピーライフカウンセリング協会代表理事

大手民間スクールで約30年間スクール経営に携わり、販売マーケティングを皮切りに、商品開発室、教務室、学務室、通信教育センターの各部門責任者を歴任

現在は、自身が企画したメンタルヘルスコンディショニング通信講座の資格(メンタルヘルスコンディショナー)を取得し、「Live」「Love」「Smile」をかけ合わせた造語『LiLoveS』をコンセプトとしたハッピーライフカウンセリング協会と、学ぶすべての方の笑顔を目指すSmileCom(スマイルコム)のスクール運営を行う一方で、当サイト(メンタルヘルス情報サイト)の記事執筆を手掛けている。

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https://smile-learn.com/product/

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