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プライミング効果というものをご存知でしょうか。プライミング効果という名称を聞いたことはなくとも、この現象についてはご存知の方も多いかもしれません。人間は、さまざまな刺激により影響を受けやすいものです。そして、その受けた影響によって、その後の考え方や行動が変わっていきます。名称は知らなくとも、わたしたちは知らず知らずのうちに、プライミング効果を体験しているのです。そんなプライミング効果とは、どのようなものなのか、どう活用していくとよいのかについてまとめてみました。

プライミング効果とはどんなものか

プライミング効果とは心理学用語の一つで、事前にあるものを見たり、聞いたりしておくと、別のことが思い出しやすくなったり、覚えやすくなったりすることです。事前に得た情報が、無意識のうちにあとのことに影響を与えているのです。事前に得る情報のことをプライムと呼び、あとで認識したいもののことをターゲットと呼びます。

プライミング効果は、もともと促進的に与えられる影響に関して使われていましたが、抑制的な影響にも使うことができます。最近の研究では、プライミング効果は心理学の面だけでなく、脳波や脳血流にも影響を与えるということがわかっているようです。プライミング効果は、プライムである刺激の示し方によって、大きく二つに分けることができます。

1つ目が、「直接的プライミング」です。これは、同じ刺激を長期間何度も与えることによって、ターゲットの処理を促進させるというものです。「直接的プライミング」では覚えるものであるプライムと、思い出すものであるターゲットは同じものです。

2つ目が「間接的プライミング」です。間接的プライミングは、先行刺激となるプライムがターゲットとはなりません。関連性の高い刺激となるプライムを短期間のうちに連続して与えた結果ターゲットとが出てきます。意味的に関連の高い「意味的プライミング」や音韻的に関連の高い「音韻プライミング」を用いることで、よりターゲットの認知が促進されているのです。

人間の脳内には、膨大な量の情報、知識が蓄えられています。そして、それらは関連のあるもの同士が一つ一つ結びついて、ネットワークになっています。したがって、うまく刺激を与え、情報を関連付けて認識することができれば、記憶力がよりアップするということです。何かを無理やり丸暗記するよりも情報を関連付けてつなげていくと、覚えにくかったものも楽に覚えられるようになります。

身近な、プライミング効果の事例

ゲーム

ここからは、身近なゲームの例を挙げてプライミング効果をわかりやすく説明します。まずは、連想ゲームです。連想ゲームを行う前に、何となく果物の話をしておきます。すると、連想ゲームで「赤」と言ったときに、「イチゴ、りんご」という言葉が出やすくなります。事前に与えられていた果物という情報がプライムとなり、のちに連想する言葉に影響を与えているのです。

次に、10回ゲームです。「ピザ」と10回言ったあとに、「ここは?」とひじを指したときに、「ひざ」と言ってしまいます。これも、先行する情報である 「ピザ」の音韻の影響を受けてしまうという人間の心理をついた引っ掛けゲームだったのです。

また、穴埋めのゲームにおいても、プライミング効果を表すことができます。例えば、「○クラ」に穴埋めをして言葉を作るゲームをします。その前に、春や花といった話題をしておくと、「サクラ」と言う言葉が思い浮かびやすくなります。夜、寝る、休むなどの話をしていると「マクラ」という言葉が思い浮かびやすくなるでしょう。

わたしたちは無意識のうちに、考え方に影響を受けているのです。また、考え方だけでなく行動にも影響は現れます。ある実験では、「高齢者」に関する情報を与えておき、そのあとにその情報を得ていた人たちは、無意識のうちに歩く速度が遅くなっていたというのです。また、「無作法」と「礼儀正しい」ということをイメージするような情報を与えていた人たちでは、そのあとに試験官に呼びかけをする場合の行動に差が出ています。

「無作法」という情報を得ていた人たちは、呼びかける際に割り込みをするなどして、より短い時間で試験官のもとへ行っています。しかし、「礼儀正しい」という情報を得ていた人たちは、そのような割り込みの行動をする人の割合が少なかったのです。受け取っていた言葉のイメージから、無意識のうちに自分の行動が影響されていたのです。これらのような、ゲームや実験により、人間は簡単にプライミング効果の影響を受けてしまうということがわかります。

プライミング効果をうまく役立てるには?

アイデア ひらめき 気づき 理解

身近なゲームの例でもわかったように、先に与える情報があるかないかで、人間の考えた方や行動を変えることができます。したがって、このプライミング効果をうまく使えば、わたしたちによい影響を与え役立てることができるのです。

実際に、プライミング効果としてよく使われているのが、商品などの広告、プロモーションです。繰り返し、印象に残る広告を目にすることで、わたしたちは無意識のうちに買いたいという気持ちになってしまいます。このような気持ちにさせるために、広告の中では写真や映像、音、キャラクター、においなどさまざまな工夫を凝らして、印象付けようとしているのです。

また、口コミの評判というのも、プライミング効果によるものです。事前に、「おいしい」という口コミを聞いていたら、特別おいしいわけではなく、普通のものだったとしても、「おいしい」と感じてしまうのです。もちろん、反対に悪い口コミを聞いていて、悪いイメージがついていると、手にとりたくないと感じたり、ほかのものと比較して劣っているように感じたりしてしまいます。

このプライミング効果は、日常生活においても役立たせることができます。例えば学校や職場で何か指導を行うときに、プライミング効果を使ってみてはいかがでしょうか。事前に手本を示しておいたり、覚えさせたいこと、身に付けさせたいことに関する雑談をしておいたりします。ここから意図的に目標にたどりつきやすくなるような細工をしておけば、学習効率が比較的上昇することが期待できます。いきなり課題を行うよりも、一通りウォーミングアップを行っておくと良いでしょう。

また、自分一人で勉強するときにも、わたしたちは知らず知らずのうちにプライミング効果を発揮させているのです。例えば、試験勉強をする場合に、同じ問題を繰り返し解いたり、似ている問題を何回も解いたりします。そうすることにより、実際の試験のときにも、自動的に解法が思い浮かび、すらすらと問題を解けるようになり、応用問題にも挑戦できるようになるでしょう。このように、脳に繰り返しの刺激を与え続けていけば、自然と反射的に行動できるようになるのです。

わたしたちが普段何気なく考えたり、行動したりしているのも、実は知らず知らずのうちに誰かによる何らかの影響を受けているのかもしれません。わたしたちが子どものころに遊んでいた連想ゲームや10回クイズも、プライミング効果に基づくものだったという事実に驚いた方もいるのではないでしょうか。このプライミング効果をうまく使えば、他者を操ることもできるのかもしれません。自分の子ども、部下などの指導に役立ち、効率よく勉強させることも可能です。ぜひ、このプライミング効果を役立たせて、考え方や行動に良い影響を与えられるように試してみましょう。

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