プライミング効果とは?

メンタル 意識 無意識

プライミング効果というものをご存知でしょうか。プライミング効果という名称を聞いたことはなくとも、この現象についてはご存知の方も多いかもしれません。人間は、さまざまな刺激により影響を受けやすいものです。そして、その受けた影響によって、その後の考え方や行動が変わっていきます。名称は知らなくとも、わたしたちは知らず知らずのうちに、プライミング効果を体験しているのです。そんなプライミング効果とは、どのようなものなのか、どう活用していくとよいのかについてまとめてみました。

プライミング効果とは 身近な効果事例 うまく役立てるには まとめ

プライミング効果とはどんなものか

プライミング効果とは心理学用語の一つで、事前にあるものを見たり、聞いたりしておくと、別のことが思い出しやすくなったり、覚えやすくなったりすることです。事前に得た情報が、無意識のうちにあとのことに影響を与えているのです。事前に得る情報のことをプライムと呼び、あとで認識したいもののことをターゲットと呼びます。

プライミング効果は、もともと促進的に与えられる影響に関して使われていましたが、抑制的な影響にも使うことができます。最近の研究では、プライミング効果は心理学の面だけでなく、脳波や脳血流にも影響を与えるということがわかっているようです。プライミング効果は、プライムである刺激の示し方によって、大きく二つに分けることができます。

1つ目が、「直接的プライミング」です。これは、同じ刺激を長期間何度も与えることによって、ターゲットの処理を促進させるというものです。「直接的プライミング」では覚えるものであるプライムと、思い出すものであるターゲットは同じものです。例えば、単語を完成させる問題で事前に「ちょくせつ」という単語をプライムとして提示した場合、そのあとに示される「ち□□□つ」という問題(ターゲット)には「ちょくせつ」と書き入れやすくなります。

2つ目が「間接的プライミング」です。間接的プライミングは、先行刺激となるプライムがターゲットとはなりません。関連性の高い刺激となるプライムを短期間のうちに連続して与えた結果ターゲットとが出てきます。意味的に関連の高い「意味的プライミング」や音韻的に関連の高い「音韻プライミング」を用いることで、よりターゲットの認知が促進されているのです。(参考:中川陽子・猪木省三「意味的プライミング効果と音韻的プライミング効果の関連性」『県立広島大学人間文化学部紀要』通号3, 121-128, 2008)

人間の脳内には、膨大な量の情報、知識が蓄えられています。そして、それらは関連のあるもの同士が一つ一つ結びついて、ネットワークになっています。したがって、うまく刺激を与え、情報を関連付けて認識することができれば、記憶力がよりアップするということです。何かを無理やり丸暗記するよりも情報を関連付けてつなげていくと、覚えにくかったものも楽に覚えられるようになります。Study Hackerの記事では、”意味があまりない単語より、意味があって容易に想像ができ、ほかの言葉とも関連付けられる単語の方が、記憶に残りやすい”ことが紹介されています。(引用元:記憶は能力より “技術” が大事! 世界の記憶王に学ぶ「記憶のきほん」 STUDY HACKER)

身近な、プライミング効果の事例

ゲーム

ここからは、身近なゲームの例を挙げてプライミング効果をわかりやすく説明します。まずは、連想ゲームです。連想ゲームを行う前に、何となく果物の話をしておきます。すると、連想ゲームで「赤」と言ったときに、「イチゴ、りんご」という言葉が出やすくなります。事前に与えられていた果物という情報がプライムとなり、のちに連想する言葉に影響を与えているのです。

次に、10回ゲームです。「ピザ」と10回言ったあとに、「ここは?」とひじを指したときに、「ひざ」と言ってしまいます。これも、先行する情報である 「ピザ」の音韻の影響を受けてしまうという人間の心理をついた引っ掛けゲームだったのです。

また、穴埋めのゲームにおいても、プライミング効果を表すことができます。例えば、「○クラ」に穴埋めをして言葉を作るゲームをします。その前に、春や花といった話題をしておくと、「サクラ」と言う言葉が思い浮かびやすくなります。夜、寝る、休むなどの話をしていると「マクラ」という言葉が思い浮かびやすくなるでしょう。

わたしたちは無意識のうちに、考え方に影響を受けているのです。また、考え方だけでなく行動にも影響は現れると言われています。Barghが行なった有名な実験では、「高齢者」に関する情報、たとえば「しわ」「髪が薄い」「忘れっぽい」といった単語を与えておき、そのあとにその情報を得ていた人たちは、無意識のうちに歩く速度が遅くなっていたというのです。ただ、Barfh以降の研究ではその知見と応用可能性を指摘しながらも、必ずしも肯定できない実験結果も発表されています。(参考:金井槙太朗、井出野尚、中山真里子、林幹也、竹村和久「連想が評価に及ぼす影響の検討ー心理実験を用いてー」早稲田大学、明星大学)(参考:中分遥、竹澤正哲「二重盲検法を用いた老人プライミング効果の検討」上智大学総合人間科学研究科、上智大学総合科学部)
いづれにしても、ゲームや実験例により、人間は簡単にプライミング効果の影響を受けてしまうということがわかります。

プライミング効果をうまく役立てるには?

 

身近なゲームの例でもわかったように、先に与える情報があるかないかで、人間の考えた方や行動を変えることができます。したがって、このプライミング効果をうまく使えば、わたしたちによい影響を与え役立てることができるのです。

「広告、プロモーション」
実際に、プライミング効果としてよく使われているのが、商品などの広告、プロモーションです。繰り返し、印象に残る広告を目にすることで、わたしたちは無意識のうちに買いたいという気持ちになってしまいます。このような気持ちにさせるために、広告の中では写真や映像、音、キャラクター、においなどさまざまな工夫を凝らして、印象付けようとしているのです。実際、Facebook社が過去に行なったマーケティング調査でも、消費者行動にプライミング効果の影響があることが指摘されています(さまざまな画面での広告接触: モバイルとテレビのクロスチャンネル効果 | Facebook for Business)。

「口コミ」
口コミの評判というのも、プライミング効果によるものです。事前に、「おいしい」という口コミを聞いていたら、特別おいしいわけではなく、普通のものだったとしても、「おいしい」と感じてしまうのです。もちろん、反対に悪い口コミを聞いていて、悪いイメージがついていると、手にとりたくないと感じたり、ほかのものと比較して劣っているように感じたりしてしまいます。(参考:「活用したいプライミング効果」 ~ビジネスで活用できる心理術 vol.5~ | ミラサポNEWS|ミラサポ 未来の企業★応援サイト)

「試験勉強」
自分一人で勉強するときにも、わたしたちは知らず知らずのうちにプライミング効果を発揮させているのです。例えば、試験勉強をする場合に、同じ問題を繰り返し解いたり、似ている問題を何回も解いたりします。そうすることにより、実際の試験のときにも、自動的に解法が思い浮かび、すらすらと問題を解けるようになり、応用問題にも挑戦できるようになるでしょう。このように、脳に繰り返しの刺激を与え続けていけば、自然と反射的に行動できるようになるのです。

「教材」
一般的な大学受験や資格取得のための教材の場合、インプットとアウトプットが適度に絡み合います。良質なテキストは学習内容の単元ごとに「まとめ」をつけ、その単元のためのアウトプット(問題集や模擬試験など)が効果的にシンクロしています。たとえば法律関係の国家試験の学習などでは、最初はチンプンカンプンでもプライミング効果によって、脳細胞が徐々に覚えていくので、受験予備校などでも「最初は理解ができなくてもテキストは一通り一読してください。」と指導しているスクールも多く見受けられます。それに加えて、前述にもありましたように、「意味的プライミング」や「音韻プライミング」を用いると、よりターゲットの認知が促進されやすくなる傾向があります。つまりプライミング効果の高い教材とは、五感に訴えやすい要素が整っており、脳に繰り返しの刺激を与えるような教材といえます。

また、このプライミング効果は、日常生活においても役立たせることができます。例えば学校や職場で何か指導を行うときに、プライミング効果を使ってみてはいかがでしょうか。事前に手本を示しておいたり、覚えさせたいこと、身に付けさせたいことに関する雑談をしておいたりします。ここから意図的に目標にたどりつきやすくなるような細工をしておけば、学習効率が比較的上昇することが期待できます。いきなり課題を行うよりも、一通りウォーミングアップを行っておくと良いでしょう。

プライミング効果まとめ

わたしたちが普段何気なく考えたり、行動したりしているのも、実は知らず知らずのうちに誰かによる何らかの影響を受けているのかもしれません。わたしたちが子どものころに遊んでいた連想ゲームや10回クイズも、プライミング効果に基づくものだったという事実に驚いた方もいるのではないでしょうか。このプライミング効果をうまく使えば、他者に操られることもなくなり、逆に他者を操ることもできるのかもしれません。自分の子ども、部下などの指導に役立ち、効率よく勉強させることも可能です。ぜひ、このプライミング効果を役立たせて、考え方や行動に良い影響を与えられるように試してみましょう。

記事 メンタルヘルスコンディショニング講座講師・佐々木幹

佐々木幹

佐々木幹メンタルヘルスコンディショナーⓇ

投稿者プロフィール

株式会社スマイルエデュケーション3代表取締役
一般社団法人ハッピーライフカウンセリング協会代表理事

大手民間スクールで約30年間スクール経営に携わり、販売マーケティングを皮切りに、商品開発室、教務室、学務室、通信教育センターの各部門責任者を歴任

現在は、自身が企画したメンタルヘルスコンディショニング通信講座の資格(メンタルヘルスコンディショナー)を取得し、「Live」「Love」「Smile」をかけ合わせた造語『LiLoveS』をコンセプトとしたハッピーライフカウンセリング協会と、学ぶすべての方の笑顔を目指すSmileCom(スマイルコム)のスクール運営を行う一方で、当サイト(メンタルヘルス情報サイト)の記事執筆を手掛けている。

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