セクハラに悩んだら

相手の意思に反した性的な嫌がらせは、セクハラです。セクハラは職場や学校などの私たちの身近な場所で日常的に起きるケースが多いとされています。職場や学校は、ほぼ毎日のように通ったり、多くの時間を過ごしたりするため、はっきりと拒絶できないところがあり、知らず知らずのうちに被害者は耐えてしまいがちです。中には、重大な犯罪ともいえるセクハラ行為も存在します。「性」というプライバシーな部分に関わるため、外部や周囲に相談するには勇気が必要なのです。そもそもセクハラの定義や内容はどうなっているのでしょうか。その類型や具体的な言動、被害に遭ったときの対処法について、ご紹介していきます。

セクハラとは何か

世間では、性別によるさまざまな振る舞いが求められる傾向があります。セクハラは、社会的な権力を利用し相手の意思に反して行われる、性的な暴力や嫌がらせです。社会的な権力が振る舞われやすい場所などで、職場、学校、就職活動などをあげられることが多いです。上司から部下、教員から学生、先輩から後輩、採用担当者から学生、といったように強い立場にある側から弱い立場にある相手側に対し、遠慮なく、時には冗談めかしてセクハラが行われるケースが多いといわれています。

それでは、どこからがセクハラになるのでしょうか?恋愛経験や結婚についての詮索、性的な噂を流すなど、基本的に相手の意思に反して行う場合は、すべてセクハラ発言に該当するとされているようです。そのため嫌がっているにも関わらず、性的なポスターを見せたり、性的な行動を強要したりする行為は、セクハラといわれてしまう可能性があるかもしれません。

セクハラは男女ともに被害を受けている人がいると言われていますが、比較的女性のほうが多いとも言われています。また周囲に相談したり、嫌だという事実を伝えにくかったりする現状もあるといわれています。セクハラが嫌だと相談をしても「一方的な妄想や勘違いでは?」「誘惑したのはあなた」「危機管理がなっていないからだ」などの暴言などを受けるケースも珍しくありません。このように、被害者側の落ち度や責任を問われるために、一人で被害を抱え込み、精神的に不安が拡大していきます。

また、性被害は周囲も似た環境にいる場合やそうではない場合も含め、誰も味方してくれないことが多いようです。その理由として社会的権力が働いていることや、被害を受けているにも関わらず性という極めてプライベートな領域に口を挟むのを避けるため「我関せず」や「見て見ぬふり」をする人が多いことを挙げられるでしょう。

このようにセクハラ被害者は、セクハラをうけたことがキッカケで周囲への不信感も高まるといわれており、ひどい孤立感に襲われる方も多くいるようです。セクハラは職場におけるパワハラにも該当し、被害者の権利を精神的に侵害していきます。強い立場から行われることが多いと言われているセクハラは、心理的に被害者を追い詰め、精神疾患の病気を発症させる恐れがあります。女性の場合だと男性恐怖症や対人恐怖症、婦人科の障害を発症し、被害者は後々まで心身への影響に苦しむこともあります。意思に反していても、人権侵害されている事実や屈辱感を認めたくないなどの理由で、被害者本人が気づかないふりをしてしまうケースも大変多いです。

セクハラにはどんな種類がある?

職場におけるセクハラは、事業主が措置を考えるよう義務付けられています。セクハラと認められる行為は、対価型と環境型に分類されています。

1.対価型
対価型は、権力を利用しているところが特徴とされています。要求を受け入れなければ相手に不利益をもたらす、と性的関係を強要します。職場での労働条件や、商取引と引き替えに性の差し出しを要求されるのです。拒否した場合は配置転換や、解雇、減給処分されるなどの強迫性をともなっています。「断れば出世できないだろう」と、相手が断りにくい状況と知っていて行う、卑劣なセクハラです。性的な要求の内容には、愛人契約などもあるといわれています。相手より上位にいる立場を利用して、執拗にデートに誘ったり、交際を迫ったりするのも対価型の特徴です。

セクハラで定義づけられる職場とは、通常業務を行っている場所だけではありません。取引先や出張先、取材先や打ち合わせをする飲食店、車内、顧客の自宅など、業務上使用する場所は基本的に含まれます。

2.環境型
環境型は、就労環境を不快にすることでその場に居づらくなるような性的発言や行動での嫌がらせなどの行為が特徴です。日常的に性的内容の噂話や卑猥な冗談、容姿や個人の恋愛事情の話題など、言われると不快になる言葉を投げかけることもこの行為の特徴です。また貞操観念や性経験の質問も含まれます。他には、性的なポスターを見えるように掲示したり、無意味な接近をしてきたりや身体的接触を行ったりなどする行為も特徴としてあげることができます。そのため本人は故意的に見せているつもりはなくとも、目につく場所に性的な週刊誌を置いていたり、性的な新聞を広げて読んでいたりする場合も視覚的にセクハラになってしまっているといった場合もあります。

無意味に接近したり、胸、腰や下半身に触る、抱きついたりするなどの行為は、意思に反して行われれば当然不快であり、労働環境を害するでしょう。しかし、環境によっては不快と感じていても、合わせなければ「ノリが悪い」とレッテルを貼られやすい側面があります。

職場などのこのような風土を変えない限り、環境型はなかなか改善されないと言われています。企業自らがセクハラを見過ごさないように意識を高め、改革する必要があるでしょう。また、2007年には男性、2014年には性同一性障害を抱える人に対しても、企業はセクハラ行為をなくすように配慮することが義務付けられました。誰もがセクハラ加害者になる可能性があるのです。

セクハラに遭ったときの対処法

心と体は正直です。不快な感情を抑圧すると、自分でも気づかない内に心身に傷を残してしまいます。そのためセクハラを受けている場合は我慢せずに、セクハラを止めさせるように、行動を起こすことが大切です。

1.証拠を集めて会社に相談
事業者には、セクハラ相談を受ける義務があります。雇用管理上の体制を配慮するなど、事業者は措置を考えなければならないのです。会社に相談するときは、内容証明郵便で伝えるなど、なかったことにされない手段で確実に行うといいでしょう。手紙のあて名や差出人、日付、内容を郵便局が証明してくれるため、後々も有効な証拠となります。

証拠集めは、権利を主張するために大変重要です。レコーダーの音声記録や動画、メールや手紙の他にも、「いつ・どこで・誰が・どんな言動をとったか」という被害の記録は自分を守ってくれます。

2.労働局に相談
会社が何の措置も考えてくれない場合は、労働局に相談しましょう。労働局では、相談窓口の他に、無料で被害者と会社との紛争解決を行っており、労働局側から是正案を出すこともできます。もし会社が労働局の勧告に従わなければ、企業名が公表されます。しかし、企業は簡単にセクハラと認めない可能性もあるようです。

3.弁護士などの専門家に相談
集めた証拠を整理し、弁護士など法律の専門家に相談することも可能です。会社や加害者に法的責任を問いましょう。セクハラと認められる行為は、民事上の不法行為に当たるとして、事業者は損害賠償責任を負う義務があります。セクハラの判決事例は多く、裁判所で示談によって解決する手段は珍しくありません。慰謝料の相場は、セクハラ被害の悪質性や期間、強い上下関係にあるかどうかによって異なり、強姦や強制わいせつのケースでは100万円単位になることもあるようです。

退職に至った、精神疾患を発症したなどの影響も考慮されます。弁護士などの代理人が間に入ってくれるため、加害者と連絡を取り合わなくても訴えることは可能です。セクハラ問題は、客観的事実が曖昧にならないためにも、早期発見、早期解決が大切です。身近な人にも相談し、証人になってもらうのもいいようです。

男女雇用機会均等法ができてから長い年月が経っているにもかかわらず、職場での性的な嫌がらせは未だに残っています。対価型や環境型は、上下関係の権力が根強い職場で起きやすいです。拒絶することを恐れずに、性や自尊心を侵害されないよう、自分の身を守りましょう。また、自分が気づかないうちに加害者になっている可能性もあります。「このぐらいは許容されるはず」と、一方的に性の話題や身体的接触を行わないよう、気を付けましょう。親しみを込めたつもりでも、相手が不快と感じればセクハラになるのです。

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