不規則な生活から身を守るには

不規則な生活

健康なメンタルヘルスを維持するには「不規則な生活を改善し、規則正しい生活を守ることが大切である」という言葉を耳にしたことがある方も多いかと思います。なぜ不規則な生活はよくないのでしょうか。不規則な生活を送り続けるとどのようなことが起こってくるのか、不規則な生活を改善するにはどのようにすればいいのか、健康で心地よい毎日を過ごすために役立つ知識やちょっとしたコツについてお話していきます。

不規則な生活を続けると 改善が難しい 睡眠の質 食生活 ストレスケア

不規則な生活を続けるとなにが起こるのか?

私たちは日々の生活の中で疲れやストレスなど、大なり小なり心と体に負担をかけながら生活をしています。ですが、人間の体には日々受けたダメージを自然に回復する自然治癒力が備わっていると言われています。自然治癒に関しては、山田養蜂場代表の山田 英生氏と渥美和彦記念未来健康医療財団理事長で東大名誉教授の渥美 和彦氏が、わかりやすい対談をされてましたので興味にある方は参考にしてください。「人間には生まれながらにして自然治癒力が備わっており、そのバランスが崩れた状態を「病気」と捉えます。その病気の状態を食事や休息、適度な運動などの自然な方法で元のバランスのとれた状態に戻すというのが、東洋医学の根本的な考え方です。」(1部引用:山田養蜂場運営の「みつばち健康科学研究所」
もともと備わっている自然治癒力も、「寝る時間が不規則である」、「十分な休養がとれていない」、「食生活が不規則でありバランスが良くない」、「定期的な運動を行っていない」など健康バランスが崩れた生活が続くと十分に機能しなくなり、自律神経に異常をきたしてしまいます。自律神経は循環器や消化器、呼吸器など人が活動を調整するために欠かせない神経です。不規則な生活を行うと自律神経のバランスが徐々に崩れていきます。自律神経に不調をきたすことで、人間が本来持つ治癒の力、つまり自然治癒力が限界を越え、体に様々な不具合を生じるようになってくるのです。

メンタルヘルスコンディショニング講座:メインテキスト3<1章>:自律神経系の医学的な役割

不規則な生活により、心や体に不調を感じるようになった場合には生活習慣を見直してみてはどうでしょうか。「喫煙、食生活、運動習慣、休養、飲酒」などの生活習慣の乱れにより発症・進行する慢性的な疾患を生活習慣病といい、不規則な生活の積み重ねは生活習慣病と深い因果関係があるといわれています。自律神経のバランスの乱れは、「不規則な生活を早急に改善しなさい」という身体からのSOSでもあるのです。

改善が難しい不規則な生活

不規則な生活
不規則な生活を送ってしまう原因は様々です。学生の方であれば「試験やレポート等の締め切りに追われて眠る時間が取れない」、「アルバイトが忙しい」、「趣味にのめり込むあまり通常の生活習慣に気を配ることが出来ない」や、仕事をしている方の中には「夜勤やシフト制である」、「激務のため深夜まで働く必要がある」など、不規則な生活となる原因の中には改善が難しい場合もあります。また、不規則な生活を行う中で、疲れが溜まり仕事の効率が下がり、さらに業務に時間がかかってしまうという悪循環も少なくないかもしれません。生活は日々の習慣となり、時間か経つと改善が難しくなる傾向があります。不規則な生活を改善するための方法について、いくつかご紹介いたします。不規則な生活を送っていると感じている方は、是非ご活用ください。

睡眠の質を上げる

不規則な生活を送っていると睡眠の質が下がるといわれています。夜勤のある仕事やシフト制で働く方の中には、「なかなか眠れない」、「慢性的な睡眠不足となりいつも眠い」などの症状に悩まされている方も多くいらっしゃいます。人間には体内時計が備わっていまが、不規則な生活を送ることで体内時計と生活のリズムが合わず、混乱をきたすことでこれらの症状が出てくると考えられています。本来であれば眠気は、起床後14~15時間ほどの後にくると言われています。また、人間の睡眠は太陽の光とも大きな関係があり、日中十分な光を浴びることで初めて正常な生活リズムが整えられると言われています。特に朝日を浴びることが重要です。朝日を浴びるとカラダが“今は1日のスタートのとき”であると認識し、体内時計(時計遺伝子)が自律神経を本来の内因性リズムで活動させるようにはたらきはじめるのです。
また、朝日を浴びると目から受ける光の刺激によって体内時計がリセットされ、気分の浮き沈みなどを抑制する神経伝達物質のセロトニン(serotonin:5-HT)が分泌されます。このセロトニンは精神を安定させる役割を担っていますので、不足すると気分が沈むなどしてココロのバランスが崩れ、うつ病などの気分障害の原因にもなります。朝日を浴びることは、セロトニンの分泌量を増やし、安定したメンタルの状態を手に入れることでもあるのです。

メンタルヘルスコンディショニング講座:メインテキスト4<1章>:自律神経を整える

深夜勤務など不規則な生活を送らざるを得ない場合は、意識して体内時計を崩さない生活を送ることで睡眠の質が大きく向上します。体内時計を崩さないために次の2つの項目を意識した生活を送ってみてください。

1、体内時計を守り仮眠を大切にする

夜の時間帯に仕事をされている方の中には夜から朝まで働いているため、「朝日を浴びてから寝る」のように体内時計に逆らって生活せざるを得ないという方もいらっしゃるかと思います。「どうすれば良いのか?」「どうすべきか?」について様々な機関で医学的なデータなども取りながら研究されていますが、明確な「解」は出ていないようですが、日経電子版に参考になる記事がありましたので、紹介させていただきます。
『夜勤の心得5カ条とは 体内時計はそのままに』
(1)体内時計は日勤に合わせて固定する
(2)夜勤時の眠気には仮眠やカフェインで対処する。特に若者には仮眠が効果大
(3)夜勤中の仮眠は体内時計の時刻を安定化させる効果もある
(4)ただし眠気がとれてもパフォーマンスも向上しているとは限らないことに留意する
(5)夜勤明けの運転も要注意
(引用:睡眠/夜勤の心得5カ条とは 体内時計はそのままに/NIKKEI STYLE)
夜間勤務などで不規則な生活を送らなければならない人は、15~20分のクイックに抑えた仮眠をとることをお勧めします。クイック仮眠で自律神経のバランスが整い、疲労の軽減につながり、だるさやぼーっとしてしまうなどの症状を緩和する効果があります。

2、睡眠のゴールデンタイム

以前は、疲労回復に最も効果的な睡眠のゴールデンタイムは夜の22時から翌2時までの間とよく言われていましたが、この時間帯について医学的な根拠はありません。「寝入りばなの3時間」が現在のゴールデンタイムの定義のようです。
東京疲労・睡眠クリニック院長の梶本 修身医学博士は、「眠りにつくと、約5~30分で一気に深い眠りのノンレム睡眠になり、次に浅い眠りのレム睡眠へと移行します。これを約90分周期で一晩に4~5回、一定のリズムで繰り返します。睡眠中で最も深い眠りとなるのが、寝入ってすぐの1回目のノンレム睡眠の時間帯です。このあと、レム睡眠にスムーズに移行すると、朝まで睡眠のリズムが整い、質が良い睡眠をもたらすことになります。このことから、寝入ってから約3時間が睡眠のゴールデンタイムであるわけです。」と語っていらっしゃいます。(参考:「これカラダ」webマガジン

また、緊張やストレスで活性化する「交感神経」とリラックスすることで活性化する「副交感神経」の2つの神経系からなる自律神経の観点からみてみると、夕食後の3時間が睡眠のゴールデンタイムといえます。食事すること自体は交感神経の活動を上昇させますが、同時に消化に伴って副交感神経の活動が上昇してきます。その変化には時間差がある ので、食後にすぐ就寝すると交感神経が活発の状態のまま寝ることになるので睡眠の質は悪化し、消化不良となって腸内に消化物が残り腸内環境も悪化します。食後の3時間は副交感神経の活動が上がってくる、いわばゴールデンタイムです。その間は就寝せずに、寝る準備をすることに当ててください。

メンタルヘルスコンディショニング講座:メインテキスト3<2章>:自律神経と食事


食生活に気を配る

不規則な生活を送っている方の中には太りやすくなったなどと感じる方も多いかもしれません。忙しいとどうしても手軽に摂取できるインスタント食品やスイーツ、パンやおにぎりといった手軽に摂取できる食品に頼りがちになる傾向があります。これらを中心にした食事を続けていくことで、エネルギーの材料となる炭水化物と脂質は摂取しているものの、ビタミンやミネラル、食物繊維などの栄養素が不足した状態となります。手軽に摂れる食品を中心とした食生活はお腹がいっぱいになるものの、身体は栄養不足であるというバランスの悪い状態に陥りやすい傾向があります。生野菜や果物、肉や魚など栄養素を意識した食事をすることが大切です。

日テレの世界一受けたい授業で紹介されていた「酢キャベツ」はデブ菌を減らしてヤセ菌を増やすとして、ダイエットに良い!と放映されていましたが、自律神経の観点からみても、この食材は腸内環境を整えてくれますので、血液がサラサラになり、栄養素がエネルギー源として無駄なく利用され、代謝が上がり痩せやすくなるという効果があり、結果として副交感神経が上がり自律神経バランスが整う、というきわめて身体によいダイエット法といえます。さらに糖質を制限することで血糖値が急激に上がることも防いでくれるので生活習慣病などにも効果があります。お酢に抵抗がない人にはぜひお薦めしたい食材であり、ダイエット法です。

ストレスケアを行う

マッサージ
不規則な生活にストレスがプラスされると人間の免疫力は途端に低下していくと言われています。
肉体の疲れ以上に精神的なダメージは私たちの体に大きな影響を及ぼします。手軽にできるストレスケアやリフレッシュ方法を身につけていくとよいでしょう。マッサージをしてもらうこと、ランニングをすること、お気に入りの音楽を聴くこと、映画や本の世界に入り込み感情を発散させること、などはおすすめのストレス解消法です。そのほかにも仲の良い友人とおしゃべりをしたり、適度なアルコールを摂取したり、ショッピングなどを楽しむことも、良いリフレッシュ方法といえますし、森林浴や海外旅行などの非日常的なこともストレス発散に効果的です。

不規則な生活を行っていることは通常の生活を行う以上にストレスを感じやすい状態にありますので、意識してケアを行っていくことが大切です。人間の体は私たちが考えている以上に微妙なバランスの上で成り立っているといえます。現代生活を生きる上で規則的な生活やストレスのない日常を過ごしていくことは非常に難しいことになりますが、ちょっとしたコツや捉え方を変えることで生活の質は大きく向上します。

不規則な生活によって自律神経に深刻なダメージを感じる前に、自分に最適なストレスケアの方法をみつけていきましょう。

記事 メンタルヘルスコンディショニング講座講師・佐々木幹

佐々木幹

佐々木幹メンタルヘルスコンディショナーⓇ

投稿者プロフィール

株式会社スマイルエデュケーション3代表取締役

大手民間スクールで約30年間スクール経営に携わり、販売マーケティングを皮切りに、商品開発室、教務室、学務室、通信教育センターの各部門責任者を歴任

現在は、自身が企画したメンタルヘルスコンディショニング通信講座の資格(メンタルヘルスコンディショナー)を取得し、「Live」「Love」「Smile」をかけ合わせた造語『LiLoveS』をコンセプトとしたハッピーライフカウンセリング協会と、学ぶすべての方の笑顔を目指すSmileCom(スマイルコム)のスクール運営を行う一方で、当サイト(メンタルヘルス情報サイト)の記事執筆を手掛けている。

メンタルヘルスコンディショニング講座はコチラ
https://smile-learn.com/product/

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コメント

    • しょこら
    • 2019年 3月 18日

    食事した後すぐってすごく眠くなってすぐにでも寝たくなりますが、食後3時間の間に寝るとあまり質の良い睡眠はとれないとのことで、これからは眠くなっても食後3時間は我慢しようと思いました!

    • 佐々木幹
      • 佐々木幹
      • 2019年 5月 13日

      しょこらさん

      投稿ありがとうございます。
      「寝る前3時間は何も食べない」は、良眠にもダイエットにも良いことが、さまざまなデータで実証されています。

      たしか、グルメで年がら年中おいしいものを食べ歩いているアンジャッシュの渡部さんが次のようにTVで言ってました。
      共演者「渡部さんはカロリーの高い料理などをしょっちゅう食べてるのになぜ太らないの?」
      渡部さん「食事してから寝る前は絶対に3時間空けています。」「おなかにモノを残した状態では絶対に寝ないようにしています。」

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