ストレスに効く呼吸とは

体にいい呼吸があることをご存知でしょうか。生きていくためには常に呼吸をしなければいけません。普段何も意識せずに息を吸い、吐いていると思います。ですが、緊張していて気分を落ち着かせたいときや落ち込んでいるときに、深呼吸やため息をついた経験は誰でもあると思います。私たちはいろんな場面で呼吸の仕方を変えています。その時の状況に合わせて無意識に変えていることもあれば、意識して整えることもあるでしょう。

今回のコラムでは、ストレスに効果のある呼吸、間違った呼吸法でストレスが溜まる理由、どこでも簡単にできる体にいい方法を調べてみました。

浅い呼吸でストレスが溜まる理由


肩や胸でする浅い呼吸は胸式呼吸といいます。胸式呼吸では、肺に十分な酸素が取り込まれずに、そのまま浅い呼吸が続くと酸素不足になってしまいます。酸素が不足すると体のあらゆる箇所に影響が出ます。悪化すると、自律神経失調症や内臓疾患にもなってしまいます。特に、デスクワークが多い人や姿勢が悪いと肺で充分な動きができずに、どうしても浅い呼吸になる傾向があります。

呼吸が浅くなると具体的にどうなるのでしょうか。例を挙げると、睡眠時間は十分取れているのに眠った気がしなくなったという方は非常に多いです。人は眠っている間に疲労回復をしますが、呼吸が浅いと代謝が悪い状態が続き充分な回復ができていないことになります。朝起きても体がすっきりせず、眠気と疲労感が残るのです。また、冷え性や便秘になりやすくなってしまう場合もあり、結果、太りやすい傾向があるという説もあります。

呼吸が浅くなると太りやすくなるという説でのメカニズムは下記と通りです。

呼吸が浅くなり、血液中の酸素が不足してくると血液がドロドロとした状態になります。

血液がドロドロになるというのは、全身の血の巡りが悪くなるという状態です。

血液のめぐりが悪くなると、代謝が落ちる傾向があります。

これにより太りやすい身体につながってくるということです。

代謝が落ちる影響は、肥満につながりやすいというだけではありません。代謝が下がると、体温が下がり、体が冷えやすい状態になります。体温の低下は、免疫力の低下につながると同時に、内臓の働きが鈍くなる傾向もあるようです。

内臓の働きが鈍くなるという点でいくと下記のような兆候も考えられます。

  • 主に腸の働きが鈍いと便秘に、
  • 内臓のあるお腹を冷やさないように守る手段として、腹回りに脂肪がつきやすい

健やかで、健康な生活を送るためには、悪い姿勢の改善の改善はもちろん、呼吸の乱れの元となる緊張感や悩み事の解決についても務めていきたいものです。とくに精神的な問題についての解決は簡単ではないかもしれませんが、周囲の人の助けを借りてでも取り除く努力は必要です。意識するだけで、症状が改善される場合もあります。諦めず改善を目指していきましょう。

緊張が続くときは、休憩を挟むなどして気分の切り替えも大切です。とはいえ、ストレスではなく、なんらかの身体の不調、病気などによって呼吸が浅くなることもあります。油断せず、改善が見られないときは、かかりつけ医に診てもらうようにしましょう。

今の呼吸をチェックしてみよう

ストレスに効く呼吸、身体によい呼吸を心がけるには、自分が実際にどんな呼吸をしているか把握することも欠かせません。周りの人に言われて初めて呼吸の乱れを知ることもあります。それだけに普段無意識に行っている呼吸を意識するのは難しいものです。今どんな状態の呼吸をしているのか、セルフチェックしてみましょう。

《呼吸のチェック方法》
女性ならアンダーバストにメジャーをぐるっと巻きます。息を吐いている状態と吸っている状態との差が5センチ以上あれば、しっかり深い呼吸をしていることになります。3センチ以下の人は要注意です。そして、息を20秒以上吐いてみてください。このとき鼻と口のどちらでもかまいません。みぞおちに手を当てて、息を吐くほど柔らかくなっていけば問題ありませんが、横隔膜が硬くなる人も浅い呼吸をしている可能性があります。

呼吸したときの差が3センチ以下、もしくは、20秒以上の息が吐けない人は、今の呼吸の仕方で姿勢の悪さやストレスなどの心当たりがないか考えてみる必要があります。

体調の変化の自分自身でも気付けないことも少なくないものです。忙しい日が続いたとき、これまでにない緊張感や不安を感じたときなどは、セルフチェックをお勧めします。そうすることで、自分の体の状態やストレスの溜まり具合を簡易的にでも把握することができます。

結果が悪かった場合でも気をやむ必要はありません。ストレスが溜まっていること、体調が万全でないことがわかれば、それ以上悪化しないように気を付けることができるのです。

パソコンなどのデスクワークが続いてしまうと、どうしても集中している分、呼吸がおろそかになりやすいものです。意識して、深く息を吸うようにすることすることで、浅い呼吸を未然に防ぐことができます。焦りや不安を感じているときも同様です。立ち止まって深く息を吸ってみてください。気分的にも落ち着き、平穏な状態を取り戻せるのではないでしょうか。

呼吸のチェックは休憩時間などに、意識的に行うと良いでしょう。口呼吸になっていないかについても確かめてみてください。口呼吸が続くと、口の中が乾燥し細菌が体内へ入りやすくなること、口から呼吸を行う癖がつき、睡眠時のいびきの原因にもなりかねません。起床時に口の中がカラカラに乾燥している人は特にいつもの生活の中で、鼻からの呼吸を意識することから始めてみましょう。

ストレスに効く呼吸法とは

ストレスに限らず、健康にいい、ダイエット効果があるとされている呼吸法があります。誰もが一度は聞いたことがある、腹式呼吸です。会社や外出先では椅子に座るか立ったままなら肩幅くらいに足を軽く開いた「休め」の状態で、自宅では椅子に座るか仰向けになったほうがリラックスできます。軽く目を閉じて行うとより効果的です。

腹式呼吸は文字通りお腹を膨らませる呼吸法です。まず、息を吐き出します。ゆっくりなるべく時間をかけて口から息を限界まで吐いていくことが大切です。口から細く長く息を吐くようにします。体の中の悪いものをすべて吐き出すイメージです。お腹がへこむのが確認できたら、今度は鼻から息を思いきり吸い込みます。お腹に手を当てて、膨らませるのを意識します。これを5回から10回繰り返します。

正しい腹式呼吸ができていれば、体が酸素で満たされ気分的にスッキリした状態になるはずです。実は多くの酸素を取り込むことで程よい有酸素運動にもなります。また、眠る前にすると、全身の力が抜けてリラックスした状態になり、気持ちの良い眠りに入れます。さらに、緊張や不安が高まったときにすると、体のこわばりがほぐれます。通勤や通学の車中や休憩中の隙間時間を使って、普段から腹式呼吸を取り入れてみましょう。一息つくことが、ストレスの予防になります。

自宅でするときは、近所の迷惑にならない程度のボリュームで細く長く発声することで、よりリラックス効果が期待できます。立っているときと座っているときで、やりやすさには個人差があります。両方を試して楽だと思える方法ですると良いでしょう。一回身に付けることができると、場所も時間も問わずにできるようになります。

なお腹式呼吸は、アナウンサーが原稿を読む時に行っているほか、歌手などのボイストレーニングでも基本として覚える方法です。この方法では、吐く息の量を自由に調整することができます。話をするときに大きな声を長く出せるのは複式呼吸を意識するおかげであるともいわれています。複式呼吸はお腹内部の筋肉も使いますので、下腹が気になる方へのダイエット法の1つとしてもお勧めです。体にいいことがたくさんある、この方法でストレスに強くなりましょう。

呼吸の種類には胸式と腹式があります。日々の緊張感やストレスによる胸式の浅い方法では、自律神経の乱れや血液の質の低下など体全体の不調につながります。パソコンなどのデスクワーク作業に集中すると自然に意気をすることを忘れてしまうこともあります。ストレスを溜めないようにするために、意識して深く息を吸う時間をつくることが大事です。一度身に付けてしまえば、気軽にどこでもできるのが腹式です。腹式は、多くの酸素を取り入れることができるので、長い呼吸を続けることが有酸素運動にもなります。正しい方法を身に付けて、ストレスに負けない体を作っていきましょう

記事 メンタルヘルスコンディショニング講座 講師・佐々木幹

佐々木幹

佐々木幹メンタルヘルスコンディショナーⓇ

投稿者プロフィール

株式会社スマイルエデュケーション3代表取締役

大手民間スクールで約30年間スクール経営に携わり、販売マーケティングを皮切りに、商品開発室、教務室、学務室、通信教育センターの各部門責任者を歴任

現在は、自身が企画したメンタルヘルスコンディショニング通信講座の資格(メンタルヘルスコンディショナー)を取得し、「Live」「Love」「Smile」をかけ合わせた造語『LiLoveS』をコンセプトとしたハッピーライフカウンセリング協会と、学ぶすべての方の笑顔を目指すSmileCom(スマイルコム)のスクール運営を行う一方で、当サイト(メンタルヘルス情報サイト)の記事執筆を手掛けている。

メンタルヘルスコンディショニング講座はコチラ
https://smile-learn.com/product/

この著者の最新の記事

コメント

    • momo
    • 2019年 4月 04日

    呼吸の仕方によって太りやすい体質になるということにびっくりしました!
    呼吸のチェック方法やストレスに効く呼吸法、試してみようと思います^^

  1. この記事へのトラックバックはありません。

メンタルヘルス記事一覧

おすすめ記事

  1. メンタルヘルスを語るうえで、自律神経の話は欠かすことができません。「メンタルヘルスについても自律神経…
  2. 臨床心理
    心理学は心の動きを学ぶ学問であり、「悩み解決の糸口を見つけたい」や「自分の心の仕組みを知りたい」、「…
  3. 成長 発達
    心理学には非常に沢山の分野がありますが、その中でも発達心理学という言葉を耳にした事はありますか?発達…
  4. うつ病は、自分では気づかないうちになっていることも多い病気の一つです。自分から病気の経験を口にする人…
  5. リス 蓄え 食事 家
    ローボールテクニックという手法をご存知ですか?心理学を利用した手法というのは、社会の中に非常に多く存…
  6. メンタルヘルスケア
    メンタルヘルスケアについて学ぶ 近年では大きなストレスにさらされ、心の健康を損ない生活に支障をきた…
  7. パニック障害という病気を知っていますか。テレビや雑誌などで有名な人などが、過去にパニック障害にかかっ…
ページ上部へ戻る